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その11

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マリアの件について、一通り方のついたバビンスキーは、昼間にしては珍しく、王宮に姿を現した。

その姿を見た侍従たちは、慌てて、

「お帰りなさいませ、バビンスキー様!!!」

と、挨拶をした。

「ああ、堅苦しい挨拶はいいぞ。もっと気楽にしてくれ!」

バビンスキーの異様なるテンションに、侍従たちは困惑した。

「何かいいことでもあったのでしょうか?」

「そうだな……今までのバビンスキー様は、何か重い病を抱えているかのようにずっしりとした表情だったのが……どういうわけだか、清々しい感じになっているじゃないか?」

「ええ、どうしたんでしょうねえ?」

「分からない。分からないが……きっと、何かいいことがあったんだろうな……」

ベテランから若手まで、それぞれの侍従たちが、考えを個別に巡らせた。だが、結論は出なかった。

「おーい、キャシーはいないのか?なんだ、いないのか……」

バビンスキーは、部屋を探したのだが、キャシーの姿がどこにもなかったので、不思議がった。

「キャシーは……一体どこに行ったのだ?せっかく、仕事が片付いたから、食事でも一緒に……なんて思ったのに……」



そのキャシーは、城の庭を散策していた。普段、バビンスキーが進んでいく方向に、何か手がかりがあるのではないか、と睨んだ。そして、それは正解だった。



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