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その6
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すると、突如、城の方が騒がしくなった。看守の歌が届いたのだろうか?まさか、とは思ったが、マリアは一応、スコープで城の様子を観察した。特にこれといって変わったことはなかったが、やはり、騒がしそうだった。
「ひょっとして……また誰か来るのかしら?」
と、誰かが来るのを待っていると、やはり、馬に乗ったバビンスキーが大急ぎでやって来た。
「マリア!!!何をやっているんだ!!!」
「何をやっているって……食事ですよ?」
「そんなことではなくて……」
マリアは再び青ざめたゾンビのような歩き方で台所に向かい、綺麗に拭いたナイフを持って、ニコニコしていた。
「分かった、分かったから。とりあえず、そのナイフは置いてくれないか?」
「ええ、仕方がありませんね。それで、こんな夜遅くにいったい、何の用ですか?私、もう眠いのでそろそろ寝たいと思うんですけど……」
「おいおい、それがワインを飲んでる人間の言うことか?それに……まだ零時じゃないか?お前のことだから、夜は長いんじゃないのか?おい、看守!!!見張りはどうしたんだ、貴様の仕事だろうが!!!それなのに……囚人と一緒にワインを飲んで、その上、下らない歌まで歌いおって!!!喧しいぞ!!!」
「それを伝えるために、わざわざいらっしゃつたのですか?」
「ああ、そうだ。他に何か理由がいるか?」
「いえ、別にどうでもいいですけど……」
マリアはしばらく黙りこくった。そして、陽気な看守をなんとかいさめようとした。しかしながら、完全に酔いが回っていた看守は、マリアの言うことも、そして、バビンスキーの言うことも聞かなかった。
「マリア!!!こいつをなんとか黙らせろ!!!」
「そうおっしゃいましても……酔っているので無理ではありませんか?」
「そこを何とかしろと言ってるんだ!もとはと言えば、お前が蒔いた種だろうが!ええ?こいつの声は何だかすごく響くものだから、耳障りなんだよ!!!」
バビンスキーが、耳障りと言った瞬間、看守は、
「耳障りだと、このやろう!!!」
と言って、バビンスキーに突っかかった。
「おい!!!マリア、なんとかしろ!!!」
「なんとかするのは、お前の方だろうが!!!」
看守は、バビンスキーに抱き着き、動きを封じた。
「あら、あなたも結構お上手なのね?」
マリアが感心すると、看守は再び陽気に戻って、
「どうもどうも、そう褒められたものではないんですが!!!力だけが取り柄でございますから!!!」
なんて、答えた。
「おい、王子に向かって不敬だろうが!!!」
「王子だって?へん、こんな時間にどうして王子様が一人で、こんな田舎をぶらぶら歩きまわってるんだよ!!!そんなバカな話があるわけねえだろう!!!」
看守は余計に力づいて、ついには、バビンスキーを倒してしまった。
「あらあら……看守さん。さすがに、これはやりすぎじゃないかしら?」
倒れたところが悪かった。泥のぬかるみに、顔から真っ逆さまに突っ込んだバビンスキーは、中々抜け出すことができなかった。手と足を必死に動かして、救助を要請しているようだった。マリアは、このままバビンスキーが死んでも構わないと一瞬思ったが、そうなると、看守が確実に死刑になってしまうと思ったので、仕方なく助けることにした。
バビンスキーの手と足を無理やり引っ張って、見事にぬかるみから抜け出すことができた。バビンスキーの端麗な白い肌は、夜だから見えないということもあるが、煤けた野蛮人、あるいは、泥塗れになった農家のせがれのように黒茶っぽく染まってしまった。
「まあ、なんて顔をしているんでしょう……」
そして、マリアは吹き出してしまった。
「おお、兄ちゃん。良い顔になったじゃねえか!やっぱり、若者はこうでなくっちゃ!!!最近は、王様でもなんでも、白い肌がもてはやされているみたいだが、俺はちっとも感心しねえな!こうやって、黒焦げになるのが、元気な男の証ってもんよ!!!うわあっ……随分と臭くなったな!!!」
看守がそう言うものだから、臆すること泣く、マリアもバビンスキーの匂いを嗅いでみた。確かに、今まで感じたレベルの匂いではなかった。
「お前たち……それほどまでに私を愚弄して……覚悟はできているんだろうな!!!」
バビンスキーは、本当に怒っているようだった。そして、昼と同じように、懐から刀を抜いた。
「あん?それは本物かい?どうせ、どっかの張りぼてじゃないのかい?なあ、お嬢さん」
「いや、そんなことはないみたいだけど……。さっき、壊れてなかったっけ?」
マリアは、自分の壊した刀が、数時間でいとも簡単に直っていることを不思議に思った。
「私たちをバカにし過ぎだぞ、マリア!!!城にはな、武器の手入れを専門とする技官がざっと50人はいるんだ。奴らに任せれば、いくら壊れたって、この通り、すぐに修復できるのさ!!!」
バビンスキーはそうやって自慢した。
「あら、そうなんですか?それにしても……切れ味は鈍るのではなくて?」
「だから……バカにするなって言ったろ!!!切れ味だって抜群なのだ!!!」
「へえ、そうなんですか……わかりました。では、これから、この大根を輪切りにしてもらいましょうか?」
「大根だと?お前、ふざけているのか?」
「ふざけてなんかいません。いやね、私のナイフ、少し錆びついちゃってるもので、大根が切れないんですよ。でも、バビンスキー様の刀はもう直ったのでしょう?だったら、切ってごらんなさいって。それで、もし切れるんだったら、あなた様は私たちに勝つわけですよ?」
マリアがこう言うと、バビンスキーは少し考えて、
「よかろう」
と答えた。
「それでは……はい、こちらをお願いします……」
マリアは、大根を机に置いた。
「こんなの、楽勝だぜ……」
楽勝がっていたバビンスキーは、刀を見事、大根に命中させた!!!
だがしかし、ボキボキと音がして、バビンスキーの大事な刀はすぐに折れてしまった……。
マリアの予想通りだった。そして、バビンスキーは再びショックを憶えた。
「おい、どうしてだよ?ちゃんと修理したのに!!!どうして、こんなに役立たずなんだよ!!!」
「そんなの決まっているぞゃないですか。あなたの管理があまりにも雑で、思った以上に速いスピードで、錆びついてしまうからですよ……」
「そんなわけあるか!!!」
バビンスキーは必死に対抗しようと試みた。だが、結果は虚しくも惨敗だった。戦わずして勝つ、これが、マリアのやり方だった。
「ううう……悔しいが、仕方ないのか……」
「バビンスキー様?これ以上無暗な意地の張り合いはやめにしませんか?これでわかったでしょう?あなた様に勝ち目はないのですよ?」
「あああ……そんなことはない……そんなことはないんだ……」
バビンスキーはまともに返事をせずに、のこのこと帰っていった。
「いやあ、お嬢さん。今回もすごいね!!!感心しちゃったよ!!!さあさあ、もっと飲もうじゃないか!!!」
嵐の過ぎ去った大地は、再び静けさを取り戻した。その静けさの中に陽気な看守の歌だけが響き渡った。
「仕方ないわね。まあ、今夜くらいはいいかしら?」
マリアも看守に同意して、もっともっとたくさんのワインを飲むことにした。
「ひょっとして……また誰か来るのかしら?」
と、誰かが来るのを待っていると、やはり、馬に乗ったバビンスキーが大急ぎでやって来た。
「マリア!!!何をやっているんだ!!!」
「何をやっているって……食事ですよ?」
「そんなことではなくて……」
マリアは再び青ざめたゾンビのような歩き方で台所に向かい、綺麗に拭いたナイフを持って、ニコニコしていた。
「分かった、分かったから。とりあえず、そのナイフは置いてくれないか?」
「ええ、仕方がありませんね。それで、こんな夜遅くにいったい、何の用ですか?私、もう眠いのでそろそろ寝たいと思うんですけど……」
「おいおい、それがワインを飲んでる人間の言うことか?それに……まだ零時じゃないか?お前のことだから、夜は長いんじゃないのか?おい、看守!!!見張りはどうしたんだ、貴様の仕事だろうが!!!それなのに……囚人と一緒にワインを飲んで、その上、下らない歌まで歌いおって!!!喧しいぞ!!!」
「それを伝えるために、わざわざいらっしゃつたのですか?」
「ああ、そうだ。他に何か理由がいるか?」
「いえ、別にどうでもいいですけど……」
マリアはしばらく黙りこくった。そして、陽気な看守をなんとかいさめようとした。しかしながら、完全に酔いが回っていた看守は、マリアの言うことも、そして、バビンスキーの言うことも聞かなかった。
「マリア!!!こいつをなんとか黙らせろ!!!」
「そうおっしゃいましても……酔っているので無理ではありませんか?」
「そこを何とかしろと言ってるんだ!もとはと言えば、お前が蒔いた種だろうが!ええ?こいつの声は何だかすごく響くものだから、耳障りなんだよ!!!」
バビンスキーが、耳障りと言った瞬間、看守は、
「耳障りだと、このやろう!!!」
と言って、バビンスキーに突っかかった。
「おい!!!マリア、なんとかしろ!!!」
「なんとかするのは、お前の方だろうが!!!」
看守は、バビンスキーに抱き着き、動きを封じた。
「あら、あなたも結構お上手なのね?」
マリアが感心すると、看守は再び陽気に戻って、
「どうもどうも、そう褒められたものではないんですが!!!力だけが取り柄でございますから!!!」
なんて、答えた。
「おい、王子に向かって不敬だろうが!!!」
「王子だって?へん、こんな時間にどうして王子様が一人で、こんな田舎をぶらぶら歩きまわってるんだよ!!!そんなバカな話があるわけねえだろう!!!」
看守は余計に力づいて、ついには、バビンスキーを倒してしまった。
「あらあら……看守さん。さすがに、これはやりすぎじゃないかしら?」
倒れたところが悪かった。泥のぬかるみに、顔から真っ逆さまに突っ込んだバビンスキーは、中々抜け出すことができなかった。手と足を必死に動かして、救助を要請しているようだった。マリアは、このままバビンスキーが死んでも構わないと一瞬思ったが、そうなると、看守が確実に死刑になってしまうと思ったので、仕方なく助けることにした。
バビンスキーの手と足を無理やり引っ張って、見事にぬかるみから抜け出すことができた。バビンスキーの端麗な白い肌は、夜だから見えないということもあるが、煤けた野蛮人、あるいは、泥塗れになった農家のせがれのように黒茶っぽく染まってしまった。
「まあ、なんて顔をしているんでしょう……」
そして、マリアは吹き出してしまった。
「おお、兄ちゃん。良い顔になったじゃねえか!やっぱり、若者はこうでなくっちゃ!!!最近は、王様でもなんでも、白い肌がもてはやされているみたいだが、俺はちっとも感心しねえな!こうやって、黒焦げになるのが、元気な男の証ってもんよ!!!うわあっ……随分と臭くなったな!!!」
看守がそう言うものだから、臆すること泣く、マリアもバビンスキーの匂いを嗅いでみた。確かに、今まで感じたレベルの匂いではなかった。
「お前たち……それほどまでに私を愚弄して……覚悟はできているんだろうな!!!」
バビンスキーは、本当に怒っているようだった。そして、昼と同じように、懐から刀を抜いた。
「あん?それは本物かい?どうせ、どっかの張りぼてじゃないのかい?なあ、お嬢さん」
「いや、そんなことはないみたいだけど……。さっき、壊れてなかったっけ?」
マリアは、自分の壊した刀が、数時間でいとも簡単に直っていることを不思議に思った。
「私たちをバカにし過ぎだぞ、マリア!!!城にはな、武器の手入れを専門とする技官がざっと50人はいるんだ。奴らに任せれば、いくら壊れたって、この通り、すぐに修復できるのさ!!!」
バビンスキーはそうやって自慢した。
「あら、そうなんですか?それにしても……切れ味は鈍るのではなくて?」
「だから……バカにするなって言ったろ!!!切れ味だって抜群なのだ!!!」
「へえ、そうなんですか……わかりました。では、これから、この大根を輪切りにしてもらいましょうか?」
「大根だと?お前、ふざけているのか?」
「ふざけてなんかいません。いやね、私のナイフ、少し錆びついちゃってるもので、大根が切れないんですよ。でも、バビンスキー様の刀はもう直ったのでしょう?だったら、切ってごらんなさいって。それで、もし切れるんだったら、あなた様は私たちに勝つわけですよ?」
マリアがこう言うと、バビンスキーは少し考えて、
「よかろう」
と答えた。
「それでは……はい、こちらをお願いします……」
マリアは、大根を机に置いた。
「こんなの、楽勝だぜ……」
楽勝がっていたバビンスキーは、刀を見事、大根に命中させた!!!
だがしかし、ボキボキと音がして、バビンスキーの大事な刀はすぐに折れてしまった……。
マリアの予想通りだった。そして、バビンスキーは再びショックを憶えた。
「おい、どうしてだよ?ちゃんと修理したのに!!!どうして、こんなに役立たずなんだよ!!!」
「そんなの決まっているぞゃないですか。あなたの管理があまりにも雑で、思った以上に速いスピードで、錆びついてしまうからですよ……」
「そんなわけあるか!!!」
バビンスキーは必死に対抗しようと試みた。だが、結果は虚しくも惨敗だった。戦わずして勝つ、これが、マリアのやり方だった。
「ううう……悔しいが、仕方ないのか……」
「バビンスキー様?これ以上無暗な意地の張り合いはやめにしませんか?これでわかったでしょう?あなた様に勝ち目はないのですよ?」
「あああ……そんなことはない……そんなことはないんだ……」
バビンスキーはまともに返事をせずに、のこのこと帰っていった。
「いやあ、お嬢さん。今回もすごいね!!!感心しちゃったよ!!!さあさあ、もっと飲もうじゃないか!!!」
嵐の過ぎ去った大地は、再び静けさを取り戻した。その静けさの中に陽気な看守の歌だけが響き渡った。
「仕方ないわね。まあ、今夜くらいはいいかしら?」
マリアも看守に同意して、もっともっとたくさんのワインを飲むことにした。
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