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パーティー その4
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「聖女様……恐れながら、ただいまハマーが申し上げたことは、真実でございましょうか?」
皇帝陛下の審問が始まった。聴衆は固唾をのんで見守っていた。
「仮に……私がそうだとしたら、あなた様は、私を聖女と認めないわけですか?」
クリスは、質問を返した。
「いいえ、決してそのようなことはございません。何があろうと、聖女様はあなたお一人と決まっているのでございます。この事実を今更変えようなどと企てるものではございません」
「そうですか……。まあ、大方ハマー様の申すことは当たっています。私は……確かに聖女ですが、持つべき妹を間違えたのかもしれませんね……」
クリスは、マリアの方を一目見た。マリアにとって、クリスが何を言おうと、どうでも良かった。それよりも早く、この婚約が皇帝陛下によって認められることを待ちわびていた。
「嫉妬……これが人間たる由縁であるとするならば、私はきっとそうなのでしょう。聖女ではなく、人間なのかもしれません。皇帝陛下が言うように、私は聖女であって、しかしながら、聖女に値しないのかもしれません。正直なところ、自分でもわかりません。私は一体何のために存在しているのでしょうか?聖女として国の安泰を祈り続けるのでしょうか?だとしたら、王家と婚約しなくても、果たせるのではありませんか?私のような聖女らしからぬ聖女を、わざわざ人間世界の一角に落とし込む必要なんて、ないのでは?そう思います。ですから……この度、妹であるマリアがハマー様と婚約することについて、私は異論ございません。皇帝陛下がお認めにならないというのであれば、この場でお二人とも切り捨てになるのがよろしい。それか、もしくは、この私を葬るのがよろしい。さあ、どうなさいますか?」
皇帝陛下はクリスに迫られて、何も言えなかった。
「よろしい。それが答えとあらば、私はこの場から潔く消えることといたしましょう。後は……皆さんで楽しく盛り上げてください。よろしく」
こう言い残して、クリスはパーティー会場を去った。
皇帝陛下の審問が始まった。聴衆は固唾をのんで見守っていた。
「仮に……私がそうだとしたら、あなた様は、私を聖女と認めないわけですか?」
クリスは、質問を返した。
「いいえ、決してそのようなことはございません。何があろうと、聖女様はあなたお一人と決まっているのでございます。この事実を今更変えようなどと企てるものではございません」
「そうですか……。まあ、大方ハマー様の申すことは当たっています。私は……確かに聖女ですが、持つべき妹を間違えたのかもしれませんね……」
クリスは、マリアの方を一目見た。マリアにとって、クリスが何を言おうと、どうでも良かった。それよりも早く、この婚約が皇帝陛下によって認められることを待ちわびていた。
「嫉妬……これが人間たる由縁であるとするならば、私はきっとそうなのでしょう。聖女ではなく、人間なのかもしれません。皇帝陛下が言うように、私は聖女であって、しかしながら、聖女に値しないのかもしれません。正直なところ、自分でもわかりません。私は一体何のために存在しているのでしょうか?聖女として国の安泰を祈り続けるのでしょうか?だとしたら、王家と婚約しなくても、果たせるのではありませんか?私のような聖女らしからぬ聖女を、わざわざ人間世界の一角に落とし込む必要なんて、ないのでは?そう思います。ですから……この度、妹であるマリアがハマー様と婚約することについて、私は異論ございません。皇帝陛下がお認めにならないというのであれば、この場でお二人とも切り捨てになるのがよろしい。それか、もしくは、この私を葬るのがよろしい。さあ、どうなさいますか?」
皇帝陛下はクリスに迫られて、何も言えなかった。
「よろしい。それが答えとあらば、私はこの場から潔く消えることといたしましょう。後は……皆さんで楽しく盛り上げてください。よろしく」
こう言い残して、クリスはパーティー会場を去った。
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