婚約破棄？ あなたが？ 私に？

その1

私はある男性に恋をしています。そしてこの恋は必ず叶うのです。

何故かって？当たり前じゃないですか？私のこと知らないんですか？

あっ、自己紹介がまだでしたね。桐子と申します。

これで分かっていただけましたね？ 話を続けましょう。

私は今高校に通っているのですが、これがまあ、つまらないんですよ。まるでイモムシの行動を観察しているようで、ずっとずっと単調なんです。そんなある日のことでした。

学園には、ものすごく小さな校庭があるんですけど、そこで男たちが喧嘩をしていたんです。その原因が私であることは置いておきます。ファイターの中に、一際貧弱な男が混ざっていました。ふぅっと一息かければどこかへ飛んで行ってしまいそうなほどでした。

「それじゃあ、ドッジボールで勝負を決めようじゃないか！」

ある男が言い出して、皆それに賛成しました。

「そんなのやめたほうがいいよ……」

貧弱男は言いました。

「なんだ、怖いのか？」

まるで不良が集団でリンチをしているようでした。まあ、私としても、そんな貧弱な人間に私の遺伝子を分けることはできませんから、どうでもよかったんです。

ところが……。

試合が始まると瞬く間に、貧弱男のテリトリーとかしました。正確な放物線を描き大砲のように降り注ぐボールを、不良どもはただ口をばかみたいに開けて見ていました。

「あの男、なかなかできる……」

私はその日から貧弱男の調査を開始しました。