婚約者の隣には義理の妹がいて婚約破棄された令嬢は荒野に送られる

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その14

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ボスミン氏に案内された集落は、人間の営みと全く変わらない風景でした。別に、人間が一番優れているとは思いません。しかしながら、獣たちの集団生活が、これほど高度に進化していたとは思いませんでした。

そして、私はなぜか、懐かしさを感じました。種族を超えた進化というのでしょうか?私たちも元々は獣だったわけですから、当然なのでしょう。

「だって、私たちはもう少しすると人間になるのですから……」

ボスミン氏がボソッと呟きました。なるほど、その通りだと思いました。

たくさんの獣たちが、私の姿を見て、その場にしゃがんで頭を下げました。ボスミン氏が、現地の言葉で、

「こちらにいらっしゃるのは神様だ」

なんて、説明しているのでしょうか?それとも、一種のオーラでしょうか?

「神様!私たちをお救いください!このままでは滅びてしまいます!」

彼らが脅威を感じているのは、恐らく人間なのでしょう。人間が、この地の存在に気付いてしまったら、そして、これほど高度に進化した獣を見つけたら……マルタイ様だったら、すぐに大軍を率いてやってきそうですね。

「私がいる限り、この世界は安全です。ですから、みなさん、安心してください!」

女なのにヒーローに憧れていました。でも、この世界では夢がかないました。この世界を守る神様としての一歩を、今もこうして刻んでいるのです。
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