婚約者の隣には義理の妹がいて婚約破棄された令嬢は荒野に送られる

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その10

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「私たちをお守りください……」

獣の言葉が分かるはずもなかったのに、なぜかそう聞こえました。支配者が跪くと、他の獣たちも、

「お守りください」

と言いました。

「あなた様は人間ですか?そうは見えませんね。人間を止めたんですか?」

普通に考えれば、私はいま、人間と神様の中間にいるみたいなのです。それにしても……本当に人間らしさを失ったのでしょうか?

「私たちはいま、危機に瀕しています。それは後々わかることでしょう。どうか、あなた様のお力で私たちをお救い下さいませ!」

支配者は、私を連れて、荒野を案内してくれました。

「普通の人間には小さな森にしか見えません。でも、この世界はもっともっと広いのです。一度目を閉じてごらんなさい。世界が変わって見えるはずです」

支配者の言う通り、瞳を閉じて、もう一度世界を眺めてみると、それは今まで生きてきた世界がちっぽけだと感じるほどに広大な世界でした。



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