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その6
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見張りが全ていなくなったので、私はもう自由でした。つまり、このまま荒野に行く必要はありませんでした。皇帝陛下は私のことを十分気遣っています。そして、私は強力な武器を持っています。この世界を終わらせるのに十分な武器……それは、私がまるで、神様の使いであるかのようです。
そんな大それたことをしなくても、別にいいんです。そこそこ人の集まる集落にお邪魔して、統治してみるとか、あるいは、新しい国を作るとか、やり方は色々あるのですが、とにかく、今まで背負ってきた肩書を全部抹殺して、最初からスタートすることができるのです。
なんて素晴らしいことでしょう。過去のしがらみほど、面倒なものはありません。貴族とは、そういったものを一生背負いこまないといけないのですから、大変ですね。
色々考えましたが、やはり荒野に行ってみることにしました。人間とか、そういうのも全部忘れて、自然の中で生きてみるのもいいと思ったからです。そうと決まれば、足取りもまた軽くなりました。
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なんて素晴らしいことでしょう。過去のしがらみほど、面倒なものはありません。貴族とは、そういったものを一生背負いこまないといけないのですから、大変ですね。
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