妹に婚約相手を寝取られたので辺境に引っ越します

その63

私は彼らについていってないから、その後の成り行きをあまり詳しくは知らない。しかしながら、彼らの凄まじい力に対して、おそらく人間にはなす術がなかったと思う。

私を裏切ったハルトマン王子は、もう死んだのだろうか？世界がこれからどんどんどんどん暗くなっていく。一度崩壊して、全てが焼け野原になって、今度はジャークたちが新しく復活させるのだろう。

私はただ傍観者になるだけ。歴史を作る偉大な冒険者たちの心の支えになるだけ。私は人間じゃなくても、ものすごく弱い存在だから、私の力で何かできるわけではない。そんな私を、お母さんと慕ってくれる子供たちの活躍に少しでも期待しながら。

「世界はもうすぐ滅ぶだろう。でも私には、もう止められないから……」

こんなことを言うと、誰か私を叱ってくれるような気がした。誰かって?私のことを少しでも思ってくれる人は数少ない。1人挙げるとすれば、それは私の母親かもしれない。

「あなたが生きてきた証を全て壊してしまうの?」

どうか、私のことは責めないで。これが答えだから。