妹に婚約相手を寝取られたので辺境に引っ越します

その43

「はいはい、可愛い子供たち。今日もいっぱい運動して疲れたね。ゆっくり休みましょうね……」

イングリットの生活は、ダイナソーたちの面倒を見ることが大半だった。一応、伴侶であるジャークの面倒も見た方がいいと思ったが、ジャークは、

「特に何もしなくていい」

と言うばかりだった。だから、文字通り、イングリットは何もしなかった。

数か月が経過し、ダイナソーたちは大部大きく育っていった。ヒヨコが鶏になっていくのと似ていた。しかしながら、イングリットは自分の手で育てたことに誇りを持ち、逞しく育っていく子供たちをこれからも見守っていこうと思った。

「そろそろ、厳選の時がやってきたようだな……」

ジャークは食用の草をむしりながら、こうつぶやいた。

「何かおっしゃいましたか？」

イングリットが尋ねると、ジャークは、

「今夜は祭りだ」

と答えた。

「祭り？何ですか、それは？」

イングリットには知る由もなかった。しかしながら、ジャークにとっては、非常に重要なイベントだった。