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その6

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さて、お城にたどり着いたからといって、簡単に王子様と会えるわけではありません。王子様の護衛を蹴散らして、王子様のいらっしゃる、世界の頂上へ辿り着かなければなりません。普通では無理でしょう。しかしながら、お父様にとっては容易なことでした。

「これはこれは……皆さんお揃いで……」

「王子様!」

お父様が威勢良く叫んだので、王子様は少し驚いていました。

「我が娘との婚約を急遽破棄されたとのことですが!」

「ああっ、その話ですか……」

「理由をお聞かせ願いましょう!」

お父様は明らかに興奮していました。王子様の返答によっては、このまま王子様を葬ることも予想されたので、そちらの方がよっぽど怖かったです。お家取り潰しどころでは済まない大罪になってしまいますから。私も命を差し出さなければならなくなったでしょう。こんな王子様のために命を捨てるのは、本当に嫌でした。

「理由というのは、特にないんですが、やっぱりまだ早かったかなぁ、と」

その時、お父様が王子様に照準をしっかりと合わせていることに気がつきました。あっ、止めないと私も終わる……いや、でもこのままお父様が王子様を葬ったら……この王国が、ひょっとして滅ぶのかしら?

「我が娘を陵辱した罪を償っていただきますぞ!」

お父様は王子様の元へ駆け寄りました。

「なんだなんだ……どうしたというのだ!」

あの静かな王子様がやかましく叫びました。

「王子様、ご覚悟!」

一瞬でした。懐から取り出したピストルを構え、一発放ちました。

「うわああああああああああああああああっ!」

鈍い銃声の後に、王子様の悲鳴が轟きました。

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