5 / 26
その5
しおりを挟む
「王子様のご意向です。今日限りであなた様との婚約を破棄させて頂きます」
「どうしてですか?」
お父様もお母様も、そして、お姉様も、みんな驚きました。私は正直言って、別に何も思いませんでした。だって、そんな成り行きだったのですから。
「これ以上のことはお伝えできません」
そう言って、引き上げて行きました。私は内心ホッとしました。別に王子様が嫌いっていうわけじゃないですけれど、やっぱり王家の伴侶となる器ではないと気がついていましたから。それ相応のご身分の方が相応しいかと。
しかしながら、お父様やお母様は大層ご立腹なようでした。
「どうしてだ……こんなことがまかり通るようでは、この国も滅んでしまうぞ!」
お父様の演説が始まりました。自分たちに都合が悪いことが起きると、責任をなすりつけるというもの。その矛先は紛れもなく王家でした。
「あなた、なんとかなりませんの?これじゃ、あの子が可哀想じゃないですか!」
お母様は私のことを気遣っているのでしょうか?いいえ、私は存外に平気なんです。お母様の嘆きは、お家繁栄のチャンスがいとも簡単になくなってしまったことに対する怒りでした。
「お二人とも、私は平気ですから……」
「おまえがよくても、こっちがよくないんだ!」
お父様のお怒りを聞けば、分かるでしょう。私のことなんて二の次なのです。
「いくら王子様の判断だからと言ったって、これはおかしいに決まっている!早速、王朝へ訴えよう」
かつて、王国を守る兵士だったころの勇ましさを思い出したのでしょうか。
「よろしくお願いします……あなただけが頼りだから……」
お母様のお墨付きもしっかり取り付けました。お父様は私を王朝へ連れて行くつもりでした。私としては、本当にどうでもいいんですが……。
「ほら、行くぞ!」
お父様に逆らうことはできなかったので、仕方なくお城へ向かうことにしました。
「どうしてですか?」
お父様もお母様も、そして、お姉様も、みんな驚きました。私は正直言って、別に何も思いませんでした。だって、そんな成り行きだったのですから。
「これ以上のことはお伝えできません」
そう言って、引き上げて行きました。私は内心ホッとしました。別に王子様が嫌いっていうわけじゃないですけれど、やっぱり王家の伴侶となる器ではないと気がついていましたから。それ相応のご身分の方が相応しいかと。
しかしながら、お父様やお母様は大層ご立腹なようでした。
「どうしてだ……こんなことがまかり通るようでは、この国も滅んでしまうぞ!」
お父様の演説が始まりました。自分たちに都合が悪いことが起きると、責任をなすりつけるというもの。その矛先は紛れもなく王家でした。
「あなた、なんとかなりませんの?これじゃ、あの子が可哀想じゃないですか!」
お母様は私のことを気遣っているのでしょうか?いいえ、私は存外に平気なんです。お母様の嘆きは、お家繁栄のチャンスがいとも簡単になくなってしまったことに対する怒りでした。
「お二人とも、私は平気ですから……」
「おまえがよくても、こっちがよくないんだ!」
お父様のお怒りを聞けば、分かるでしょう。私のことなんて二の次なのです。
「いくら王子様の判断だからと言ったって、これはおかしいに決まっている!早速、王朝へ訴えよう」
かつて、王国を守る兵士だったころの勇ましさを思い出したのでしょうか。
「よろしくお願いします……あなただけが頼りだから……」
お母様のお墨付きもしっかり取り付けました。お父様は私を王朝へ連れて行くつもりでした。私としては、本当にどうでもいいんですが……。
「ほら、行くぞ!」
お父様に逆らうことはできなかったので、仕方なくお城へ向かうことにしました。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
クズな義妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢は、ショックのあまり前世の記憶を思い出し、死亡イベントを回避します。
無名 -ムメイ-
恋愛
クズな義妹に婚約者を寝取られ、自殺にまで追い込まれた悪役令嬢に転生したので、迫りくる死亡イベントを回避して、義妹にざまぁしてやります。
7話で完結。
金の力で殴ります! 〜非モテ令嬢は楽しくざまぁする〜
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
「私みたいなデブスで性格悪な男爵令嬢に優良物件の子爵子息が結婚を申し入れしてくるなんて怪しい。絶対裏がある!」
資産家の娘である「私」はそう確信して婚約者を調べさせたら、案の定、彼には本命の平民の女性がいた。
そうか、ならば仕返しだ!と幼なじみをも巻き込み、やるなら楽しんでやろうぜ☆彡という、どっかずれたお嬢様の話。
全3話
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる