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その14
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「私は案外、この小さな島国が好きなのです……」
私はいつもみたいに、そっと母親の方を見た。母親は何度もウインクしていた。
「そうなのか?随分と物好きなんだね。まあ、いいや。気が向いたらいつでも本土に来なさい……」
そう言い残して、今回も母親につないだ。
何はともあれ、この高貴なお客さんが娼館最後の客になるだなんて、私も考えていなかった。
お客さんが帰ると、いつものように勘定を始めた。収益の半分は私に分け与えられ、男をもてなすための洋服や化粧、それにいかがわしい下着を購入するのに使った。残りの収益とお客さんたちは、全部母親の所有物になった。
こういう生活がどうして終わってしまったのか、その背景にある帝国本土の複雑な政治事情などについて、今後説明していこうと思う。とにかく、色々と混迷に陥っていった。
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