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その12

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「お金が欲しいんですか!お金だったらいくらでも払いますよ!だから、どうかこのことは誰にも言わないでください! 」

お客さんは、もう金の力にすがるしかなかった。

「私が欲しいのはお金じゃないんですよ……」

そう言って、母親は、お客さんに近寄った。もう一度じっくりと見てみると、確かに私より美しくはない。しかしながら、大人の色気というのだろうか、そういうものが好きな男に関しては、あながち悪くは無いのだろうと思った。実際、お客さんのテントは、私の時よりも、もう少し尖っていたように感じた。私ってそんなに魅力ないのかしら、と思わせるほどに。

「私が欲しいのは……あなたの身体なんです……」

お客さんはもう母親から抜け出すことができそうになかった。

「こういう可愛い子が欲しかったのよ……。たっぷりいじめてあげるから……」

そう言い残して、お客さんと母親は、別の部屋へと消えていった。私は残されたお客さんの洋服を静かにたたんだ。これくらいのことしかできないと思ったから。私は本当に申し訳ないと思った。
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