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その11
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何とか言いくるめて、お客さんは私を抱いた。そこへ、カメラを持った母親が現れた。彼女は満面の笑みだった。
「さすが!よくやるじゃない! 」
私の記憶の限りでは、母親が私のことを褒めるのは、今回が二度目だった。繰り返すが、こんなことで褒められてもちっとも嬉しくない。私は人間として最低なことをしているのだ。これではせっかく私に転生のチャンスを下さった女神様も、さすがに怒っているだろう。ひょっとすると、現実世界であった時のように死んで、今度は本当に地獄行きにでもなるのではないか? 私は少し心配になってきた。
「私好みのイケメンだわ! 」
母親はたいそう喜んでいた。そして、お客さんに向かって恭しく頭を下げた。
「娘がお世話になりました!」
母親がこう言うと、お客さんは非常に怖がっていた。母親がカメラをお客さんに見せた。
「娘としたことは全て、このカメラに記録されております。あなた様は……そのお身なりから察するに、本土の王家の方ですね?」
お客さんの顔には全く余裕がなかった。どうやら、図星のようだった。
「そんな方が、どこぞの馬の骨とも知らない女の子と寝ていたことがばれたら……これは大問題ですよね? 」
母親はゆっくりと、それでもって確実に、お客さんを窮地に追い詰めていった。
「さすが!よくやるじゃない! 」
私の記憶の限りでは、母親が私のことを褒めるのは、今回が二度目だった。繰り返すが、こんなことで褒められてもちっとも嬉しくない。私は人間として最低なことをしているのだ。これではせっかく私に転生のチャンスを下さった女神様も、さすがに怒っているだろう。ひょっとすると、現実世界であった時のように死んで、今度は本当に地獄行きにでもなるのではないか? 私は少し心配になってきた。
「私好みのイケメンだわ! 」
母親はたいそう喜んでいた。そして、お客さんに向かって恭しく頭を下げた。
「娘がお世話になりました!」
母親がこう言うと、お客さんは非常に怖がっていた。母親がカメラをお客さんに見せた。
「娘としたことは全て、このカメラに記録されております。あなた様は……そのお身なりから察するに、本土の王家の方ですね?」
お客さんの顔には全く余裕がなかった。どうやら、図星のようだった。
「そんな方が、どこぞの馬の骨とも知らない女の子と寝ていたことがばれたら……これは大問題ですよね? 」
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