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その4

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洗濯が済むと、今度は食事の準備をすることになった。これだって本来は料理人がいるから、彼らに全て任せてしまえばいい話だった。しかしながら、母親は、

「全て娘のためだから!」

とかなんとか言っちゃって、全部私に押し付けた。実はと言うと、料理人たちは結構イケメンで、母親は彼らと話すのが好きだった。つまり、彼らには仕事をさせないで、私が仕事をすると言うことになった。実際、私が見ても、かなりのイケメンであり、ひょっとして女神様が言っていた、超イケメンの王子様というのが、本当は彼らのうちの1人なのではないかと思ったほどだ。

でも、彼らは私の相手などしなかった。ずっとずっと、母親とだけ話していた。だから、それは違うと思った。

「マリー!食事はまだできないの?」

母親は何度も何度も私を急かした。別に急かしたから早くできると言うものでもない。これも一種の嫌がらせだった。

「今しばらくお待ち下さいませ!」

これ以上あーだこーだ言われるのが嫌だった。でも、母親はお構いなしだった。

「あなたは本当に何もできない子なのね!ああ、これから一体どうすればいいのかしら? 」

母親がまな板の上に乗っていれば……。私はまな板の上のきゅうりを母親だと思って、何度も何度も包丁で突き刺した。
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