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その43

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「正しき心を持ち合わせたものに……絶対的な力が授かると、言い伝えにはあります。つまり、ローズ様がこの力を手に入れることは、最初からできなかったのですよ……」

そう言って、ロンメル伯爵は再び精霊たちを呼び出しました。

「あなたがたの協力にも感謝します。私はマリア様と婚約することによって、正しき心を持つことができました。そしていま……私はこの封印を最後に解除することによって、絶対的な力を手にするのです!!!」

私は納得しました。ロンメル伯爵に絶対的な力が宿るのだとしたら、それは最も素晴らしいことだと思いました。少なくとも、ローズの手に渡るよりは、遥かによいことだと思ったのです。

黄金色に光り出した精霊たちと、その中心で何か口ずさんでいるロンメル伯爵。その中に、私もこっそりと入ってみました。簡単なバリアを潜り抜ければ、そこはロンメル伯爵に与えられた楽園が広がり、私を招いておりました。私はロンメル伯爵に近づき、

「おめでとうございます」

と言いました。すると、ロンメル伯爵も、

「ありがとうございます。この様なことになるとは……想像しておりませんでした」

と言いました。この空間にいるだけで、私たちはとても不思議なくらいの幸福を得ることができました。

「マリア様。私にこの力を授けられた以上、これほどの幸福をみんなが感じられる世界を作る義務が生じました。そのために、頑張っていきましょう!!!」

ロンメル伯爵はそう言いました。先程、ローズを殺すか、殺さないか、そんな議論をしている時の顔とは違って、あの人懐っこい昔の笑顔が戻ってきました。
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