28 / 52
その28
しおりを挟む
さて、私とロンメル伯爵は相変わらず、精霊たちを呼び出す練習であったり、あるいは、魔法の特訓をしているわけでした。その中で、呼び出した精霊たちが不安を口々に呟くようになりました。
「ねえ、何かあったの???」
精霊たちは、まるで凍えた大地に立ち尽くしているようでした。身体を思いっきり震わせて、こちらが何か提案をしても、
「少々お待ちください……」
と言うばかりで、あからさまに変でした。
「ねえ、ロンメル伯爵。これは一体、どういうことなのかしら???」
ロンメル伯爵は少し考えて、
「ひょっとして、いまこの世界のどこかで、非常に危険なことが起きようとしているのではないでしょうか???」
と言いました。
「危険なこと???それは何かしら???」
「そうですね。例えば……邪悪な魔術師が現れて、この世界を独り占めしようとする……とか???」
「ああ、そう言う物語に出て来そうな話なの???」
「ええ、でもこれは一例です。実際はもっと厄介な現象かもしれません……」
「ひょっとして……」
「ええ、まずいですね……」
そんなおり、都から使者が遣わされました。
「ロンメル伯爵ですね????お願いしたいことがございまして……」
「あの……私も宜しいかしら???」
「あなたは???」
「私は……公爵令嬢で……ローズの名前を言えば分かるかしら。その姉のマリアです……」
私がこう言いますと、使者は、
「承知しました。それでは、都までご案内します!!!」
と言って、私たちを馬車に乗せました。
「一体何があるのでしょうか???」
「さあ、分かりませんね……」
それは、私たちの想像を遥かに超えたある種の冒険でした。
「ねえ、何かあったの???」
精霊たちは、まるで凍えた大地に立ち尽くしているようでした。身体を思いっきり震わせて、こちらが何か提案をしても、
「少々お待ちください……」
と言うばかりで、あからさまに変でした。
「ねえ、ロンメル伯爵。これは一体、どういうことなのかしら???」
ロンメル伯爵は少し考えて、
「ひょっとして、いまこの世界のどこかで、非常に危険なことが起きようとしているのではないでしょうか???」
と言いました。
「危険なこと???それは何かしら???」
「そうですね。例えば……邪悪な魔術師が現れて、この世界を独り占めしようとする……とか???」
「ああ、そう言う物語に出て来そうな話なの???」
「ええ、でもこれは一例です。実際はもっと厄介な現象かもしれません……」
「ひょっとして……」
「ええ、まずいですね……」
そんなおり、都から使者が遣わされました。
「ロンメル伯爵ですね????お願いしたいことがございまして……」
「あの……私も宜しいかしら???」
「あなたは???」
「私は……公爵令嬢で……ローズの名前を言えば分かるかしら。その姉のマリアです……」
私がこう言いますと、使者は、
「承知しました。それでは、都までご案内します!!!」
と言って、私たちを馬車に乗せました。
「一体何があるのでしょうか???」
「さあ、分かりませんね……」
それは、私たちの想像を遥かに超えたある種の冒険でした。
0
お気に入りに追加
717
あなたにおすすめの小説
【完結】義母が斡旋した相手と婚約破棄することになりまして。~申し訳ありませんが、私は王子と結婚します~
西東友一
恋愛
義母と義理の姉妹と暮らしていた私。
義母も義姉も義妹も私をイジメてきて、雑用ばかりさせてきましたが、
結婚できる歳になったら、売り払われるように商人と結婚させられそうになったのですが・・・・・・
申し訳ありませんが、王子と結婚します。
※※
別の作品だと会話が多いのですが、今回は地の文を増やして一人の少女が心の中で感じたことを書くスタイルにしてみました。
ダイジェストっぽくなったような気もしますが、それも含めてコメントいただけるとありがたいです。
この作品だけ読むだけでも、嬉しいですが、他の作品を読んだり、お気に入りしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
追放された悪役令嬢は辺境にて隠し子を養育する
3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)
恋愛
婚約者である王太子からの突然の断罪!
それは自分の婚約者を奪おうとする義妹に嫉妬してイジメをしていたエステルを糾弾するものだった。
しかしこれは義妹に仕組まれた罠であったのだ。
味方のいないエステルは理不尽にも王城の敷地の端にある粗末な離れへと幽閉される。
「あぁ……。私は一生涯ここから出ることは叶わず、この場所で独り朽ち果ててしまうのね」
エステルは絶望の中で高い塀からのぞく狭い空を見上げた。
そこでの生活も数ヵ月が経って落ち着いてきた頃に突然の来訪者が。
「お姉様。ここから出してさし上げましょうか? そのかわり……」
義妹はエステルに悪魔の様な契約を押し付けようとしてくるのであった。
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
貧乏神と呼ばれて虐げられていた私でしたが、お屋敷を追い出されたあとは幼馴染のお兄様に溺愛されています
柚木ゆず
恋愛
「シャーリィっ、なにもかもお前のせいだ! この貧乏神め!!」
私には生まれつき周りの金運を下げてしまう体質があるとされ、とても裕福だったフェルティール子爵家の総資産を3分の1にしてしまった元凶と言われ続けました。
その体質にお父様達が気付いた8歳の時から――10年前から私の日常は一変し、物置部屋が自室となって社交界にも出してもらえず……。ついには今日、一切の悪影響がなく家族の縁を切れるタイミングになるや、私はお屋敷から追い出されてしまいました。
ですが、そんな私に――
「大丈夫、何も心配はいらない。俺と一緒に暮らそう」
ワズリエア子爵家の、ノラン様。大好きな幼馴染のお兄様が、手を差し伸べてくださったのでした。
捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。
亜綺羅もも
恋愛
アニエル・コールドマン様にはニコライド・ドルトムルという婚約者がいた。
だがある日のこと、ニコライドはレイチェル・ヴァーマイズという女性を連れて、アニエルに婚約破棄を言いわたす。
婚約破棄をされたアニエル。
だが婚約破棄をされたのはアニエルだけではなかった。
ニコライドが連れて来たレイチェルもまた、婚約破棄をしていたのだ。
その相手とはレオニードヴァイオルード。
好青年で素敵な男性だ。
婚約破棄された同士のアニエルとレオニードは仲を深めていき、そしてお互いが最高のパートナーだということに気づいていく。
一方、ニコライドとレイチェルはお互いに気が強く、衝突ばかりする毎日。
元の婚約者の方が自分たちに合っていると思い、よりを戻そうと考えるが……
冷遇された王女は隣国で力を発揮する
高瀬ゆみ
恋愛
セシリアは王女でありながら離宮に隔離されている。
父以外の家族にはいないものとして扱われ、唯一顔を見せる妹には好き放題言われて馬鹿にされている。
そんな中、公爵家の子息から求婚され、幸せになれると思ったのも束の間――それを知った妹に相手を奪われてしまう。
今までの鬱憤が爆発したセシリアは、自国での幸せを諦めて、凶帝と恐れられる隣国の皇帝に嫁ぐことを決意する。
自分に正直に生きることを決めたセシリアは、思いがけず隣国で才能が開花する。
一方、セシリアがいなくなった国では様々な異変が起こり始めて……
王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐
当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。
でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。
その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。
ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。
馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。
途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる