婚約者は妹の御下がりでした？～妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡～

その1

私がローズに劣っていることは、認めなくてはなりません。しかしながら、ローズが私の婚約者を寝取って奪っていくことを許容することはできませんでした。

由緒あるゲルストマン公爵家の長女として生まれた私マリアは、将来の皇帝とも目される第一王子様と婚約することが決まっておりました。しかしながら、その婚約を根底から覆してしまったのが、ローズだったわけです。

「お姉様が、王子様と婚約しても、あんまり意味はないでしょう。だって、この私よりも不細工なお姉様が、王子様の相手なんて、務まるわけないじゃないですか？？？？」

まあ、そう言われますと、確かにそうだと思いました。ローズは全てにおいて、私を凌駕していました。頭がよくて、体力があって、そして、女子力も非常に高く、そして、誰よりも美しい、貴族社会の華でした。そんなローズに求婚する貴族は多かったのです。でも、さすがに、王子様がローズに直接プロポーズすることはできませんでした。それは、両家で既に決まったことだったので、仮に二人が相思相愛だったとしても、強引に婚約することは不可能だと思いました。

でも……その不可能だと思われていた婚約を、ローズはやってのけてしまったのです。しかも、ローズは私のことを非常にライバル視していたようでした。だから、私が手に入れたものは、自分も欲しがるということでした。

そして……ローズは王子様を私から奪うことに見事成功したわけでございました……。