妹に婚約者を寝取られたので姉を辞めます~婚約破棄という運命に抗って~

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その38

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「あの……ステロン様?????????」

レイナはステロンに質問をした。

「なんでしょうか」

「ええ、それで、私の妹のことなんですけどね……」

「レイナ様、ひょっとして……イコンさんのことを考えているのですか?????????」

「ええ、まあ、そうなのです」

「ああ、そうなのですか??????」

「はい」

「なるほど……ですが、何度も申し上げております通り、いくら、あなた様が口添えをしたとしても……」

「ええ、分かっております。ですから、私は何も言いません。ステロン様が、判断に困ることのないよう、私は特に注文を付けません。それでよろしいですか?????????」

「なんと……非常に素晴らしいことではありませんか!!!!!!!!これならば、心意気なくあの2人を処刑することができます!!!!!!!!!!」

「処刑ですって??????????」

「おや、不満ですか????????」

ステロンがこう言うと、レイナは少し考え込んでしまった。これも悪い癖だった。

「いいえ、別に不満というわけではないのですが……そうですか、あの者たちは、もう死ぬのですか……」

レイナはそう言った。

「ええ、罪を犯した人間は、そのまま潔く死ななくてはいけません。それが世の理というものです」

「なるほど……私がステロン様の元に嫁いだ理由が、いまやっと分った気がいたしました……」

「それは……どういう意味でしょうか????????????」

「どうもこうもありませんわ。ただ……あなたが素晴らしい王様になるということは……これは、私どもと対比しますと、非常に明確なことなのですね……」

レイナはそう言って、天井を見上げた。

「ああ、ほら。空が高いのですよ」

「見えないのに??????????」

「ええ、見えなくても、この空は……本当に高いのです」

「そうなのですか…………」

ステロンは礼をして、自室に戻った。

「レイナ?????????生きている?????????」

母親が確認した。

「はい、お母様。私はここで生きております」

「そう、それならよかったわ。あなたが死んでいないか……心配になってしまうから…………」

「そうですか。心配をかけてしまいまして、申し訳ございません………………」

「ええ、私が心配することではないわね…………」

「ありがとうございます……」

「イコンは……でも、このまま死んでしまえば、あなたも少しは楽になるでしょうよ。あんな小娘に振り回されていては、あなたも本当に可愛そうなことになってしまうから…………」

「ええ、私は本当はそう思いたいところなのでございますが……それにしても……やはり、不安になってしまうことはよくあります……」

イコンとチャーリーの処刑が行われる日は、その2日後と判明した。2人が最後、どのように過ごしたのか、レイナはその詳細を知ろうとは思わなかった。どちらにしても、母親にとっては祝うべきことであり、また、レイナにとっても、この処刑が滞りなく行われるのであれば、それはまた、彼女の人生にとっては、新たな第一歩になる予感を携えることにもなった……。


だが……それは新たな戦いの火種を生む瞬間でもあった…………。
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