妹に婚約者を寝取られたので姉を辞めます~婚約破棄という運命に抗って~

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その13

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レイナは、公爵の話を静かに聞いていた。もちろん、反論することはできたのだが、いまさらなにを言っても、公爵の耳には届かないと、半ば諦めムードだった。

「結果として、私が責任を取ることになる。だが、お前もこのまま生き続けるのは忍びないだろう。だから……一生、この家にいなさい。私の責任で匿ってあげるから…………もう、世間はお前を必要としないし、お前も、世間に出ることはないだろうさ…………」

公爵はそう言い終えて、レイナは部屋を出た。レイナは、これほど惨めな人生が今すぐやって来ることを悟り、泣きたくてもこれ以上流す涙はどこにもなくて、月のような顔をするのだった。

家に匿われる…………もちろん、死ぬまで生活することはできる。金は十分にある。だが、それでは、公爵令嬢レイナは死んでいる……。公爵は全て承知していた。だが、これがレイナにとっては最善の方法だったのだ……。

「レイナ……ここにいますか??????????????????」

レイナは夜になっても、姿を現わさなかった。ずっと部屋に籠って、ひたすら天井と空を見つめていた。そんな折に、母親がやって来た。

「お母様…………」

この日になって、レイナは初めて声を出した。母親には信頼を寄せていた。それは、幼い頃からだった。公爵がいつも怒り出すと、母親はすぐさま宥めてくれる。そして……レイナの窮地をいつも救ってくれたのだ。

「ご飯の準備、できてますよ?????????????????」

そう言って、母親は、レイナの分の食事を持ち運んだ。母親の手作りだと、レイナはすぐに分かった。その匂いは、こうしてしょぼくれたレイナを励ますための手料理だったのだ……。
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