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本編

48 父上おねが〜い(超絶プリティおねだり)

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 「ま、またなのか!この短期間でおまえはいくつ拾ってくるつもりなんだ!」

 「犬と人形と人間だからまだ1種類ずつしか連れてきてません!それにユディがローゼンミュラー公爵から聞いたそうですよ。父上もよく色々拾ってきたって」

 「種類ってなんなんだ・・・というかアイツ!娘にまで言いやがったのか!絶対シメる・・・」

 「父上おねがーい、トルーデ今度から良い子にするからあ。それに、合格のお祝いも兼ねて大目に見てほしいですう。私が連れてきた子、家も家族がいない上に発熱してるようだし、私のせいで気絶させてしまったし、父上~」


 私は持ちうる全ての力を出し、瞳をうるうるとさせ上目遣いをしながらどんな人でもイチコロな超絶プリティフェイス(カリーン先生談)でおねだりをする。
 父上にも私のこの超絶可愛い攻撃はこうかはばつぐんだったようで、わかったと言質を取ることができた。


 「しかし家族がいないとなると教会や孤児院が保護してくれるようになっていると思っていたのだが、その子はどうしたのだ」

 「父上もそう思いますよね。殆どの街や村ではきちんと機能しているとは思うのですが、どうやらその子・・・シエルの街ではそうでもないみたいなのです。シエルはどうやら残飯と物乞いで得たもので食いつないでいるとその街のものに言われていたので、機能していないと考えた方が良いかと」

 「一応半月に1度は担当の者を調査に行かせておるのだがな。そしてその話を持ってくるという事は、その街の孤児院に行くつもりなのだな」

 「ええ、市井の視察に行くのも立派な王女の務めですよ!」


 父上は私の言葉を聞きやはりなという表情で深いため息をつく。


 「止めてもどうせ無駄なんだろう、行け行け」

 「わあいありがとうございます!父上だーいすき♡」

 「それと、改めて合格おめでとうトルーデ。よく頑張ったな」


 そう言って父上はわしゃわしゃと私の頭を撫でくり回す。


 「そういやイグナの奴から何も聞いてないんだが、アイツはどうだったんだ?ユーディット嬢にあんな啖呵を切ったんだ。勿論合格したんだろう?」

 「大変申し訳にくいのですが、そのお・・・兄上は合格とは言っても補欠合格で・・・でも、補欠合格の中でも1位だったみたいですよ!まだ希望はあるかと・・・」

 「大方順位はユーディット嬢に惨敗、その上妹にまで負けてしまったという事実を知られたくないとかそう言う理由だろ・・・は?なんて?」


 父上が聞き間違えたか?とでも言いたげに聞き返す。流石に驚きが隠しきれていない。


 「残念ながら・・・」

 「はあああぁぁ・・・あんだけの事言っておきながらアイツは・・・」


 父上は先程私に対して出たものよりも盛大に溜息をする。


 「まあ例年不正が見つかったとかなんとかで1人や2人は辞退させられてはいるから、それを待つしかないかもな。とりあえずその倒れてしまった子についてはどこか部屋を用意させるから安心するがいい」

 「ありがとうございます父上。兄上についてはみんなでお祈りしましょう」


 父上なんだかんだで私に甘いな。でもまあなんだかんだでカリーン先生もついてるしで安心なんだろうな。

 しかし子供の頃の父上・・・気になる・・・
 ローゼンミュラー公爵や父上の両親に聞いたら教えてくれるかなあ。


 かくして私は無事許可を得たのであった。

 ついでに兄上が温かい目で見られたりお祈りされるようになったらしいとかなんとか。
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