8 / 45
08 あと少しだけ ☆
しおりを挟む
(なんでこんなことに……??)
初めて入る、男子の部屋。
小さい頃は和樹とよく遊んでいたから、彼の家に上がったことは何度もある。だがその頃はまだ自分の部屋を持つような歳でもなかったし、そもそも異性として意識なんてしていなかった。
シンプルな学習机。
テレビにローテーブル。そして、涼介がいつも寝ているシングルベッド。
「…………」
勢いで連れて来られたまま、入口で立ち尽くす。
「し、師藤。私」
「悪いな。真凛のやつ、すぐに悪ノリするから」
「それは、別にいいんだけど……」
「まあ、少し時間潰して行ってよ。外、まだこんな降ってるし」
窓の外に目を向ける。先ほどより雨足が強くなっている。
「そこ座って」
涼介がクッションを放り置いて、ローテーブルの一辺を指す。
「いや、でも……」
「霧崎、ゲームとかするほう?」
いつもと変わらない態度の涼介。
2人きりになったことを意識して、動揺しているのはキリエだけ。そう考えると、なんだか癪だった。
「ゲームって……スマホくらいしか」
「アクションは?」
言いながら、涼介はテレビにゲーム機を接続していく。彼が勧めてくるゲームタイトルは、幼い頃に和樹と遊んだことのあるタイトルの続編だった。
「――少しなら、出来るけど」
「んじゃ、決まりな」
並んでコントローラーを握り、画面に向き合う。
初めのうちは、隣の涼介と、背もたれ代わりにしているベッドにばかり意識が向いてしまって集中ができなかった。
だが――
「はは、霧崎よわ」
「なによ、あんたは慣れてるだけでしょ」
「いやぁ、センスかな。俺、割と最初からうまかったし」
「すぐそういう嘘つく」
対戦しているうちに、キリエもヒートアップしてきた。ゲーム画面で涼介のキャラクターにあしらわれるのが悔しくて、さらには、対戦後に見せる勝ち誇った顔がムカついて。
操作に慣れてきて、いい勝負が出来るようになった。――かと思ったら、勝利の目前であっさり涼介に逆転されたり。
「ああ、もうっ!」
「なあなあ霧崎、ハンデ欲しい?」
「いらないっ」
気づけば男子部屋に2人きりなどというシチュエーションはすっかり忘却の彼方で、どうやって涼介を負かすかだけに熱中していた。
キリエは心理戦を仕掛けるつもりで、プレイ中の涼介に声をかける。
「ねえ、真凛ちゃんは一緒にやってくれないの?」
家族の話題は、涼介にとってウィークポイントになり得ると判断してのことだ。
「――あいつは、兄さんが遊んでるところを見れればいい、なんて言って、後ろで見てるだけだよ」
「へえ、仲良し兄妹なのね」
「邪魔されてばっかだよ」
「でも簡単には怒らないんでしょ? 優しいじゃない、兄さん?」
「うぐ」
ジャブ程度の心理攻撃だったが、一定の効果はあるようだった。
「いじめっ子にも喧嘩売ったんでしょ? そこは見直したけど。まともな神経持ってるんだって」
「――霧崎、俺のこと何だと思ってんの?」
「口先だけの男」
「くっ。覆してやりたいぜ」
「はいはい。頑張ってね、お兄ちゃん」
「それやめろって」
あからさまに涼介のプレイが乱れる。盤外勝負に勝機を見いだしたキリエは、畳みかける。
「真凛ちゃん、可愛いもんね。お兄ちゃんっこぽいし。師藤も、大好きなんでしょ?」
初勝利まで、あとひと息。
ここで涼介の指が乱れることを期待する。
「ああ、大切な妹だよ真凛は。……でも、霧崎のことも本気で好きだからな」
「は――!?」
不意打ちで操作が乱されたのは、キリエのほうだった。
せっかくよい塩梅で拮抗していた勝負は、そこであっさりと決着が付いてしまった。
「よし、また俺の勝ち」
「い、今のはズルいから……!」
「なんで? 仕掛けてきたのは霧崎のほうだろ?」
「うぐ」
余裕綽々な涼介の顔が憎らしい。
「俺が動揺すると思った? 全然」
「ほんとにムカつく」
「俺はムカついた霧崎の顔も好きだけどな」
「なっ――」
――そこで、改めて認識してしまう。
すぐ隣に涼介が座っていることを。ベッドを背中にしながら、この狭い部屋で2人きりになって、顔も近くて。
「本気だから」
「し、師藤……?」
涼介が、コントローラーを手放して身体をこちらに向ける。
唐突に心臓が早鐘を打ち始める。大丈夫だ、部屋の出口は自分のほうが近い。いざとなったら、すぐに逃げ出して――
と。
「お邪魔しまーす。兄さん、キリエさん、喉が渇きませんか?」
前触れなしにドアが開かれて、真凛が入ってくる。両手で掲げるトレイには、グラスが2つ乗せられてあった。
「……あれ? もしかして、本当にお邪魔でした?」
2人の距離を見て、首をかしげる真凛。
キリエは、立て続けに起こる不測の事態に、動揺しきりだ。全身がバクバクと脈打って、心臓そのものになってしまったかのようだ。
「……真凛」
涼介の低い声。
「あはは。すみません兄さん。はいこれ、ジュースです」
テーブルにトレイを置いて、真凛はそそくさと部屋を出て行ってしまった。
「…………」
「…………」
涼介は黙ってしまった。気まずい沈黙が訪れる。
――しまった。好機を逸した。
真凛が来訪したタイミングで、キリエも部屋を辞すべきだった。この沈黙の中で、先に口火を切るにはやや勇気が必要だ。
テレビは、ゲームの待機画面を映し出している。そのBGMだけが、白々しく部屋に響く。
「霧崎」
涼介が口を開いた。いつになく真剣な声音だ。
「俺、本気だからさ。霧崎と付き合いたい」
「…………っ」
逃げられなくなってしまった。
こうもストレートに告白されておきながら、無視して逃げ出すのはキリエの流儀ではない。
「わ、私は……」
喉が詰まりそうな緊迫感に、身体が小刻みに震える。
改めて涼介のことを考える。
彼の告白に、どう答えるべきか。自分は彼を、どう思っているのか。
――涼介と過ごすうちに、キリエの中で彼の印象は随分と変わった。
ただの軽薄なだけの男ではないと、それはハッキリと認識するに至った。
きっと、交際すれば自分のことを大事にしてくれるのだろう。楽しませてくれるだろう。
でも。
「ごめんなさい。私……」
キリエの中には、まだ和樹がいた。
一方的すぎる片思い。恋愛の駆け引きなんてまったくなかった。けれど、ただ彼だけを見てきた長い時間が胸の奥にわだかまっていて、簡単に捨て去るには重くなりすぎた。
――それに。
まだ希望も捨てきれない。
もしも、和樹の誤解が解けたら。彼に嫌がらせをしていたのは自分ではなく、むしろキリエが終わらせたのだと、和樹が知ったら。
そのときはもしかして、振り向いてくれるかもしれない、と。
「私、好きな人がいるから」
そのひと言は、思いの外、きっぱりと言葉にすることができた。そして言葉にすると、覚悟も決まった。
そうだ。自分の心に嘘はつけない。自分は和樹のことが好きだ。これはもう、理屈ではない。
他人には笑われてしまうかもしれないけど、これこそが自分自身の本音なのだから。
和樹への想いに殉じること。
それこそが最良の道なのだと、いま確信できた。そして、そう思わせてくれたのは涼介だ。
邪険に扱ってきたが、感謝しなければならない。彼のおかげで、こうして吹っ切ることができたのだから。
キリエは、座ったまま彼のほうを真っ直ぐ見て、
「師藤の気持ちは嬉しいけど、ごめん」
「そっか」
力なく笑う涼介の顔に、胸がズキンと痛んだ。だが、これで良かったのだ。
「師藤とは、出来れば友達として――」
「無理」
「えっ」
涼介の行動は、いつだってキリエの想像の外だった。
今だって。
「他のやつのこと好きでもいいからさ。俺は霧崎が欲しい」
「な――」
涼介の右手が、キリエの頬に添えられる。
それがあまりに自然で、一瞬のことだったために、キリエは身動きができなかった。
「幸野のことだろ?」
和樹の名を出されて、キリエはびくりと背を震わす。
「霧崎のこと見てれば分かるって。いいからさ、あいつのこと好きなままでも」
「そ、そんなこと――あっ」
涼介の指が髪をかき分けて、キリエの耳に優しく触れる。そのくすぐったさに、思わず変な声が出てしまった。
――逃げなきゃ。でも動けない。
それがどうしてなのかは分からない。
単に、片手で触れられているだけだ。振り払おうと思えば、簡単にできるはずなのに。
でもそれができない。涼介から、目を逸らすことができない――
「な、なんで私なんか」
情けないほど、声に力が籠もらない。
「どうしてだろうな。霧崎は、俺のことが嫌いか?」
「それは、私は――、んっ!?」
肩がびくんと跳ねる。涼介の手に撫でられるだけで、力が抜けていく。自分の意志で身体が動かせなくなる。その、触れられているほんの少しの面積だけで自身を操られているかのような錯覚に陥る。
「わ、私は、和樹のことがっ」
「だから、知ってるって――」
「んっ」
いとも簡単に、涼介にファーストキスを奪われてしまった。
頭の中が真っ白になる。
こんなことは、まったく覚悟していなかった。今日は1人で下校して、今ごろは自分の部屋で着替えて、くつろいでいるはずだった。普通に夕食をとって、お風呂に入って、ベッドに入って。
変化のない、ただの1日になるはずだったのに。
「ん、むぅ……っ」
涼介には幻滅した。
強引なところはあっても、キリエの意志を尊重してくれるとばかり思っていたのに。こんな、無理やりに唇を奪われて。
「――んっ、ぅ、んんっ!?」
身もだえするキリエの腰に、涼介の左腕が回される。抱き寄せられて、彼の思うままにされてしまう。
抵抗は試みている。
両手で彼の胸板を押して、距離を置こうとしている。
だが、自分の腕は笑えるほどに、か弱い。唇で唇を愛撫されるだけで、こうも弱ってしまうなんて。
「んぅっ、は、ぷっ……んっ」
むずがるように首を振ってみるが、涼介は逃がしてくれない。
抱きしめられてはいるが、普段なら振りほどけないほどの拘束力ではないはずだ。
自分が本気で拒絶していないから逃げられないのだろうか?
そんなはずはない。
頭の中では必死に抵抗を試みるが、唇に与えられる刺激が、その思考を溶かして骨抜きにしてしまう。
(キスって、こんな……)
涼介の唇は、強引だが乱暴ではなかった。
キリエの口粘膜を甘やかすような、ついばむ愛撫。
「は、ぁ、……んっ、んむっ」
身体が熱くてたまらない。
汗がとめどなく溢れて、頭がぼうっとしてくる。
涼介の両腕に抱き留められて、身体が悦んでいる。自分とは、まったく造りの違う肉体。細く見えても、やはり涼介は男なのだ。
長い腕に、長い指。がっちりした肩。厚い胸板。
「ぁ、んぅ……、んんっ……」
涼介の腕には、さして力が込められていない。それでも、思い知らされてしまう。彼が本気を出したら、自分なんかでは逃げられないと。
涼介が自分のことを自由にしようとしたら、簡単にできてしまう。
このまま力尽くでベッドに押し倒されたとして、果たして、自分はどれだけ抵抗できるだろうか。
「んんっ! んっ、あ、むっ――」
自分の吐息が甘く熱を帯びている。
こんなに無理やりされているのに、興奮してしまっている。
長い長いキス。
だが涼介は、それ以上のことをして来ようとはしない。背中や腰は抱きしめられているが、キス以上の行為には及ばない。
それが、キリエにひとつの安堵を与えているのかもしれなかった。
(キスなら……キスだけなら……)
これが終わったら、きっぱりと言おう。
もうやめてくれ、と。
こんなつもりで部屋に上がったのではない。涼介の好意は、嫌ではない。告白してもらえたのも嬉しかった。
でもこんなことをしたいワケではなかったのだ。そうはっきりと告げてこの家を出よう。
涼介が謝ってくれたら、この件については不問にする。
ただのクラスメイトに戻ろう。
たまに絡んで来る、ウザい男子。自分はそんな涼介を軽くいなして。これまでと変わらない学校生活を送るのだ。
「――あッ、はぁっ、んむっ、んっ!」
涼介が、唇をこじ開けて入ってくる。
長くて力強い舌。異物。
その違和感に身体が拒絶反応を起こす。
だがそれもすぐに、快感で上塗りされてしまった。
唇の裏側や、歯茎や、舌。上あごの粘膜。自分以外の誰かの舌で触れられるのなんて、もちろん初めてだし、自分で触れるのとまったく感覚が違う。
「んっ、ぅっ、んぶっ、……んぅうっ、んぅっ、んっ」
終わりにしよう。これで終わりだ。涼介が満足するまでキスをさせてあげて、それで終わり。
「はぁっ、ぷぁっ、……んっ、んぐっ。れろっ……ちゅるっ」
唾液が混ざり合って、泡立てられて、気持ちがいい。
舌肉同士が絡まり合って。強く吸われて。逃げられないように抱き留められて。
「ぇ、んぇっ、ふむっ……んぷっ。んぅうっ……んむっ」
涼介の身体も熱くなっている。
(私とのキスで、こんなに興奮してるんだ……)
キリエの両手は、彼女が意図しないままに、涼介の背中に回されていた。しがみついてキスをせがむようになっているのに、本人はまったく気づいていない。
(ああ、キス……しちゃってるんだ、私)
今さらながらにキリエは実感する。
キリエだって、人並みに男女関係に興味がある。キスのことだって、セックスのことだって想像するし、いつかは自分もするのだと覚悟もしていた。それでも、ここまで男性の体を具体的に意識したことはなかった。
(和樹のことが好きなのに……)
そうだ。
その気持ちは、さきほど強く再認識した――だから大丈夫だ。これは、涼介に付き合ってあげているだけのこと。今だけのことだ。
この快感だって、すぐに忘れられる。
ここを出て、家に帰って、ひと晩経てば、きれいさっぱりに忘れてしまえる。
「じゅぱっ、ちゅるっ――んむっ、んっ、んっ、んっ……」
だから気持ち良くなっても、いい。
今だけは涼介に愛撫されて気持ち良くなっても問題ない。身体を委ねたって、構わない。
「あむっ、れぅっ、ちゅぱっ。んぅっ……ん、ぷあっ?」
そう思った矢先。
涼介がキリエの拘束を解いた。
「……し、どう?」
キリエは、火照ったまなざしで涼介を見上げる。その顔がとろとろに緩んでいることに、彼女自身は気づけていない。
「――考えといて」
「……え?」
あっさりとした表情で、涼介が告げる。
「さっきのこと。他のやつを好きなままでいいからって話。また今度、答えを聞かせてくれよ」
■ ■ ■
「酷い人ですね、兄さんは」
2人して玄関でキリエを見送ったあと、真凛がそう切り出してきた。
「なにが?」
「おあずけなんてして、キリエさんが可哀想です。取り繕ってましたけど、キリエさん、きっとセックスしたかったんだと思いますよ」
「そうだとしても、俺にそんなつもりは無かったよ。第一、こんなに早く迫るつもりもなかったんだけどな」
「じゃあ、私のおかげですね」
「おまえのせいだ」
「あはは、ごめんなさい」
甘ったるい声で謝ってから、真凛がしな垂れかかって、首に抱きついてくる。細い身体。まだ乾ききっていない黒髪。
「兄さん、キリエさんにどこまでしてあげたんですか?」
「キスだけだよ」
「本当に?」
「しつこいぞ」
「兄さんは、よく嘘をつきますからね。よく確認しないと。……でもそっか。キリエさん、キスだけであんなになっちゃったんですね。可愛い」
悪戯っぽい顔で真凛が笑う。
「――いいか。これ以上ちょっかい出すなよ?」
こういうときの真凛は危険だ。彼女には、気に入った玩具ほど壊れるまで溺愛してしまう傾向がある。
「約束はできませんね。私は、2人に幸せになって欲しいんですから」
「自分のことはいいのか?」
「大好きな人たちがすぐ近くで愛し合っているなんて、とても幸せなことじゃないですか。――姉さんが出ていっちゃって、私、寂しいんですから。兄さんには責任を取ってもらわなくちゃ」
「ああ、そうだな」
この義妹に、指一本触れていないといえば嘘になる。
だが、他人に咎められるような行いをしていないことは事実だ。
真凛に対しては、せいぜい、こうして抱きしめることくらい。血が繋がっていないとはいえ、兄妹なのだ。これくらいは許されるだろう。
「――んッ、あ、兄さん」
細い腰を抱きしめてやるだけで、真凛の口から甘いあえぎが漏れる。
「愛してます、愛してますからっ――」
真凛は、きゅぅっと背中をこわばらせ、
「――ッ、あ、あぁっ、あッ!?」
ビクビクと痙攣しながら、勝手にのぼり詰めた。
「っはぁ、はぁっ……」
他の誰にも見せないであろう、真凛の痴態。年不相応に、淫らに成長した義妹の肉体と精神。
「下の部屋で、俺たちのこと想像してたのか?」
「はい、ごめんなさい、……に、兄さんとキリエさんのセックスを想像して、あッ、興奮、してました――っ」
「だからしてないって。キスだけ」
「ああ、羨ましいですっ、キリエさん、ずるいっ。あっ、あッ――」
腕の中で絶頂を繰り返す義妹のことを抱き留めつつも涼介は、キリエとのキスを思い出していた。
すべらかな肌。初々しい唇。汗ばんだ背中に、柔らかな肉体。そして、とろけきったあの表情――そのすべてが、涼介を興奮に誘う。
だがまだだ。
熟し切るまで、あと少し。
あと、ほんの少し――。
真凛の髪を優しく撫でつけながら、涼介は静かに口元を歪ませた。
初めて入る、男子の部屋。
小さい頃は和樹とよく遊んでいたから、彼の家に上がったことは何度もある。だがその頃はまだ自分の部屋を持つような歳でもなかったし、そもそも異性として意識なんてしていなかった。
シンプルな学習机。
テレビにローテーブル。そして、涼介がいつも寝ているシングルベッド。
「…………」
勢いで連れて来られたまま、入口で立ち尽くす。
「し、師藤。私」
「悪いな。真凛のやつ、すぐに悪ノリするから」
「それは、別にいいんだけど……」
「まあ、少し時間潰して行ってよ。外、まだこんな降ってるし」
窓の外に目を向ける。先ほどより雨足が強くなっている。
「そこ座って」
涼介がクッションを放り置いて、ローテーブルの一辺を指す。
「いや、でも……」
「霧崎、ゲームとかするほう?」
いつもと変わらない態度の涼介。
2人きりになったことを意識して、動揺しているのはキリエだけ。そう考えると、なんだか癪だった。
「ゲームって……スマホくらいしか」
「アクションは?」
言いながら、涼介はテレビにゲーム機を接続していく。彼が勧めてくるゲームタイトルは、幼い頃に和樹と遊んだことのあるタイトルの続編だった。
「――少しなら、出来るけど」
「んじゃ、決まりな」
並んでコントローラーを握り、画面に向き合う。
初めのうちは、隣の涼介と、背もたれ代わりにしているベッドにばかり意識が向いてしまって集中ができなかった。
だが――
「はは、霧崎よわ」
「なによ、あんたは慣れてるだけでしょ」
「いやぁ、センスかな。俺、割と最初からうまかったし」
「すぐそういう嘘つく」
対戦しているうちに、キリエもヒートアップしてきた。ゲーム画面で涼介のキャラクターにあしらわれるのが悔しくて、さらには、対戦後に見せる勝ち誇った顔がムカついて。
操作に慣れてきて、いい勝負が出来るようになった。――かと思ったら、勝利の目前であっさり涼介に逆転されたり。
「ああ、もうっ!」
「なあなあ霧崎、ハンデ欲しい?」
「いらないっ」
気づけば男子部屋に2人きりなどというシチュエーションはすっかり忘却の彼方で、どうやって涼介を負かすかだけに熱中していた。
キリエは心理戦を仕掛けるつもりで、プレイ中の涼介に声をかける。
「ねえ、真凛ちゃんは一緒にやってくれないの?」
家族の話題は、涼介にとってウィークポイントになり得ると判断してのことだ。
「――あいつは、兄さんが遊んでるところを見れればいい、なんて言って、後ろで見てるだけだよ」
「へえ、仲良し兄妹なのね」
「邪魔されてばっかだよ」
「でも簡単には怒らないんでしょ? 優しいじゃない、兄さん?」
「うぐ」
ジャブ程度の心理攻撃だったが、一定の効果はあるようだった。
「いじめっ子にも喧嘩売ったんでしょ? そこは見直したけど。まともな神経持ってるんだって」
「――霧崎、俺のこと何だと思ってんの?」
「口先だけの男」
「くっ。覆してやりたいぜ」
「はいはい。頑張ってね、お兄ちゃん」
「それやめろって」
あからさまに涼介のプレイが乱れる。盤外勝負に勝機を見いだしたキリエは、畳みかける。
「真凛ちゃん、可愛いもんね。お兄ちゃんっこぽいし。師藤も、大好きなんでしょ?」
初勝利まで、あとひと息。
ここで涼介の指が乱れることを期待する。
「ああ、大切な妹だよ真凛は。……でも、霧崎のことも本気で好きだからな」
「は――!?」
不意打ちで操作が乱されたのは、キリエのほうだった。
せっかくよい塩梅で拮抗していた勝負は、そこであっさりと決着が付いてしまった。
「よし、また俺の勝ち」
「い、今のはズルいから……!」
「なんで? 仕掛けてきたのは霧崎のほうだろ?」
「うぐ」
余裕綽々な涼介の顔が憎らしい。
「俺が動揺すると思った? 全然」
「ほんとにムカつく」
「俺はムカついた霧崎の顔も好きだけどな」
「なっ――」
――そこで、改めて認識してしまう。
すぐ隣に涼介が座っていることを。ベッドを背中にしながら、この狭い部屋で2人きりになって、顔も近くて。
「本気だから」
「し、師藤……?」
涼介が、コントローラーを手放して身体をこちらに向ける。
唐突に心臓が早鐘を打ち始める。大丈夫だ、部屋の出口は自分のほうが近い。いざとなったら、すぐに逃げ出して――
と。
「お邪魔しまーす。兄さん、キリエさん、喉が渇きませんか?」
前触れなしにドアが開かれて、真凛が入ってくる。両手で掲げるトレイには、グラスが2つ乗せられてあった。
「……あれ? もしかして、本当にお邪魔でした?」
2人の距離を見て、首をかしげる真凛。
キリエは、立て続けに起こる不測の事態に、動揺しきりだ。全身がバクバクと脈打って、心臓そのものになってしまったかのようだ。
「……真凛」
涼介の低い声。
「あはは。すみません兄さん。はいこれ、ジュースです」
テーブルにトレイを置いて、真凛はそそくさと部屋を出て行ってしまった。
「…………」
「…………」
涼介は黙ってしまった。気まずい沈黙が訪れる。
――しまった。好機を逸した。
真凛が来訪したタイミングで、キリエも部屋を辞すべきだった。この沈黙の中で、先に口火を切るにはやや勇気が必要だ。
テレビは、ゲームの待機画面を映し出している。そのBGMだけが、白々しく部屋に響く。
「霧崎」
涼介が口を開いた。いつになく真剣な声音だ。
「俺、本気だからさ。霧崎と付き合いたい」
「…………っ」
逃げられなくなってしまった。
こうもストレートに告白されておきながら、無視して逃げ出すのはキリエの流儀ではない。
「わ、私は……」
喉が詰まりそうな緊迫感に、身体が小刻みに震える。
改めて涼介のことを考える。
彼の告白に、どう答えるべきか。自分は彼を、どう思っているのか。
――涼介と過ごすうちに、キリエの中で彼の印象は随分と変わった。
ただの軽薄なだけの男ではないと、それはハッキリと認識するに至った。
きっと、交際すれば自分のことを大事にしてくれるのだろう。楽しませてくれるだろう。
でも。
「ごめんなさい。私……」
キリエの中には、まだ和樹がいた。
一方的すぎる片思い。恋愛の駆け引きなんてまったくなかった。けれど、ただ彼だけを見てきた長い時間が胸の奥にわだかまっていて、簡単に捨て去るには重くなりすぎた。
――それに。
まだ希望も捨てきれない。
もしも、和樹の誤解が解けたら。彼に嫌がらせをしていたのは自分ではなく、むしろキリエが終わらせたのだと、和樹が知ったら。
そのときはもしかして、振り向いてくれるかもしれない、と。
「私、好きな人がいるから」
そのひと言は、思いの外、きっぱりと言葉にすることができた。そして言葉にすると、覚悟も決まった。
そうだ。自分の心に嘘はつけない。自分は和樹のことが好きだ。これはもう、理屈ではない。
他人には笑われてしまうかもしれないけど、これこそが自分自身の本音なのだから。
和樹への想いに殉じること。
それこそが最良の道なのだと、いま確信できた。そして、そう思わせてくれたのは涼介だ。
邪険に扱ってきたが、感謝しなければならない。彼のおかげで、こうして吹っ切ることができたのだから。
キリエは、座ったまま彼のほうを真っ直ぐ見て、
「師藤の気持ちは嬉しいけど、ごめん」
「そっか」
力なく笑う涼介の顔に、胸がズキンと痛んだ。だが、これで良かったのだ。
「師藤とは、出来れば友達として――」
「無理」
「えっ」
涼介の行動は、いつだってキリエの想像の外だった。
今だって。
「他のやつのこと好きでもいいからさ。俺は霧崎が欲しい」
「な――」
涼介の右手が、キリエの頬に添えられる。
それがあまりに自然で、一瞬のことだったために、キリエは身動きができなかった。
「幸野のことだろ?」
和樹の名を出されて、キリエはびくりと背を震わす。
「霧崎のこと見てれば分かるって。いいからさ、あいつのこと好きなままでも」
「そ、そんなこと――あっ」
涼介の指が髪をかき分けて、キリエの耳に優しく触れる。そのくすぐったさに、思わず変な声が出てしまった。
――逃げなきゃ。でも動けない。
それがどうしてなのかは分からない。
単に、片手で触れられているだけだ。振り払おうと思えば、簡単にできるはずなのに。
でもそれができない。涼介から、目を逸らすことができない――
「な、なんで私なんか」
情けないほど、声に力が籠もらない。
「どうしてだろうな。霧崎は、俺のことが嫌いか?」
「それは、私は――、んっ!?」
肩がびくんと跳ねる。涼介の手に撫でられるだけで、力が抜けていく。自分の意志で身体が動かせなくなる。その、触れられているほんの少しの面積だけで自身を操られているかのような錯覚に陥る。
「わ、私は、和樹のことがっ」
「だから、知ってるって――」
「んっ」
いとも簡単に、涼介にファーストキスを奪われてしまった。
頭の中が真っ白になる。
こんなことは、まったく覚悟していなかった。今日は1人で下校して、今ごろは自分の部屋で着替えて、くつろいでいるはずだった。普通に夕食をとって、お風呂に入って、ベッドに入って。
変化のない、ただの1日になるはずだったのに。
「ん、むぅ……っ」
涼介には幻滅した。
強引なところはあっても、キリエの意志を尊重してくれるとばかり思っていたのに。こんな、無理やりに唇を奪われて。
「――んっ、ぅ、んんっ!?」
身もだえするキリエの腰に、涼介の左腕が回される。抱き寄せられて、彼の思うままにされてしまう。
抵抗は試みている。
両手で彼の胸板を押して、距離を置こうとしている。
だが、自分の腕は笑えるほどに、か弱い。唇で唇を愛撫されるだけで、こうも弱ってしまうなんて。
「んぅっ、は、ぷっ……んっ」
むずがるように首を振ってみるが、涼介は逃がしてくれない。
抱きしめられてはいるが、普段なら振りほどけないほどの拘束力ではないはずだ。
自分が本気で拒絶していないから逃げられないのだろうか?
そんなはずはない。
頭の中では必死に抵抗を試みるが、唇に与えられる刺激が、その思考を溶かして骨抜きにしてしまう。
(キスって、こんな……)
涼介の唇は、強引だが乱暴ではなかった。
キリエの口粘膜を甘やかすような、ついばむ愛撫。
「は、ぁ、……んっ、んむっ」
身体が熱くてたまらない。
汗がとめどなく溢れて、頭がぼうっとしてくる。
涼介の両腕に抱き留められて、身体が悦んでいる。自分とは、まったく造りの違う肉体。細く見えても、やはり涼介は男なのだ。
長い腕に、長い指。がっちりした肩。厚い胸板。
「ぁ、んぅ……、んんっ……」
涼介の腕には、さして力が込められていない。それでも、思い知らされてしまう。彼が本気を出したら、自分なんかでは逃げられないと。
涼介が自分のことを自由にしようとしたら、簡単にできてしまう。
このまま力尽くでベッドに押し倒されたとして、果たして、自分はどれだけ抵抗できるだろうか。
「んんっ! んっ、あ、むっ――」
自分の吐息が甘く熱を帯びている。
こんなに無理やりされているのに、興奮してしまっている。
長い長いキス。
だが涼介は、それ以上のことをして来ようとはしない。背中や腰は抱きしめられているが、キス以上の行為には及ばない。
それが、キリエにひとつの安堵を与えているのかもしれなかった。
(キスなら……キスだけなら……)
これが終わったら、きっぱりと言おう。
もうやめてくれ、と。
こんなつもりで部屋に上がったのではない。涼介の好意は、嫌ではない。告白してもらえたのも嬉しかった。
でもこんなことをしたいワケではなかったのだ。そうはっきりと告げてこの家を出よう。
涼介が謝ってくれたら、この件については不問にする。
ただのクラスメイトに戻ろう。
たまに絡んで来る、ウザい男子。自分はそんな涼介を軽くいなして。これまでと変わらない学校生活を送るのだ。
「――あッ、はぁっ、んむっ、んっ!」
涼介が、唇をこじ開けて入ってくる。
長くて力強い舌。異物。
その違和感に身体が拒絶反応を起こす。
だがそれもすぐに、快感で上塗りされてしまった。
唇の裏側や、歯茎や、舌。上あごの粘膜。自分以外の誰かの舌で触れられるのなんて、もちろん初めてだし、自分で触れるのとまったく感覚が違う。
「んっ、ぅっ、んぶっ、……んぅうっ、んぅっ、んっ」
終わりにしよう。これで終わりだ。涼介が満足するまでキスをさせてあげて、それで終わり。
「はぁっ、ぷぁっ、……んっ、んぐっ。れろっ……ちゅるっ」
唾液が混ざり合って、泡立てられて、気持ちがいい。
舌肉同士が絡まり合って。強く吸われて。逃げられないように抱き留められて。
「ぇ、んぇっ、ふむっ……んぷっ。んぅうっ……んむっ」
涼介の身体も熱くなっている。
(私とのキスで、こんなに興奮してるんだ……)
キリエの両手は、彼女が意図しないままに、涼介の背中に回されていた。しがみついてキスをせがむようになっているのに、本人はまったく気づいていない。
(ああ、キス……しちゃってるんだ、私)
今さらながらにキリエは実感する。
キリエだって、人並みに男女関係に興味がある。キスのことだって、セックスのことだって想像するし、いつかは自分もするのだと覚悟もしていた。それでも、ここまで男性の体を具体的に意識したことはなかった。
(和樹のことが好きなのに……)
そうだ。
その気持ちは、さきほど強く再認識した――だから大丈夫だ。これは、涼介に付き合ってあげているだけのこと。今だけのことだ。
この快感だって、すぐに忘れられる。
ここを出て、家に帰って、ひと晩経てば、きれいさっぱりに忘れてしまえる。
「じゅぱっ、ちゅるっ――んむっ、んっ、んっ、んっ……」
だから気持ち良くなっても、いい。
今だけは涼介に愛撫されて気持ち良くなっても問題ない。身体を委ねたって、構わない。
「あむっ、れぅっ、ちゅぱっ。んぅっ……ん、ぷあっ?」
そう思った矢先。
涼介がキリエの拘束を解いた。
「……し、どう?」
キリエは、火照ったまなざしで涼介を見上げる。その顔がとろとろに緩んでいることに、彼女自身は気づけていない。
「――考えといて」
「……え?」
あっさりとした表情で、涼介が告げる。
「さっきのこと。他のやつを好きなままでいいからって話。また今度、答えを聞かせてくれよ」
■ ■ ■
「酷い人ですね、兄さんは」
2人して玄関でキリエを見送ったあと、真凛がそう切り出してきた。
「なにが?」
「おあずけなんてして、キリエさんが可哀想です。取り繕ってましたけど、キリエさん、きっとセックスしたかったんだと思いますよ」
「そうだとしても、俺にそんなつもりは無かったよ。第一、こんなに早く迫るつもりもなかったんだけどな」
「じゃあ、私のおかげですね」
「おまえのせいだ」
「あはは、ごめんなさい」
甘ったるい声で謝ってから、真凛がしな垂れかかって、首に抱きついてくる。細い身体。まだ乾ききっていない黒髪。
「兄さん、キリエさんにどこまでしてあげたんですか?」
「キスだけだよ」
「本当に?」
「しつこいぞ」
「兄さんは、よく嘘をつきますからね。よく確認しないと。……でもそっか。キリエさん、キスだけであんなになっちゃったんですね。可愛い」
悪戯っぽい顔で真凛が笑う。
「――いいか。これ以上ちょっかい出すなよ?」
こういうときの真凛は危険だ。彼女には、気に入った玩具ほど壊れるまで溺愛してしまう傾向がある。
「約束はできませんね。私は、2人に幸せになって欲しいんですから」
「自分のことはいいのか?」
「大好きな人たちがすぐ近くで愛し合っているなんて、とても幸せなことじゃないですか。――姉さんが出ていっちゃって、私、寂しいんですから。兄さんには責任を取ってもらわなくちゃ」
「ああ、そうだな」
この義妹に、指一本触れていないといえば嘘になる。
だが、他人に咎められるような行いをしていないことは事実だ。
真凛に対しては、せいぜい、こうして抱きしめることくらい。血が繋がっていないとはいえ、兄妹なのだ。これくらいは許されるだろう。
「――んッ、あ、兄さん」
細い腰を抱きしめてやるだけで、真凛の口から甘いあえぎが漏れる。
「愛してます、愛してますからっ――」
真凛は、きゅぅっと背中をこわばらせ、
「――ッ、あ、あぁっ、あッ!?」
ビクビクと痙攣しながら、勝手にのぼり詰めた。
「っはぁ、はぁっ……」
他の誰にも見せないであろう、真凛の痴態。年不相応に、淫らに成長した義妹の肉体と精神。
「下の部屋で、俺たちのこと想像してたのか?」
「はい、ごめんなさい、……に、兄さんとキリエさんのセックスを想像して、あッ、興奮、してました――っ」
「だからしてないって。キスだけ」
「ああ、羨ましいですっ、キリエさん、ずるいっ。あっ、あッ――」
腕の中で絶頂を繰り返す義妹のことを抱き留めつつも涼介は、キリエとのキスを思い出していた。
すべらかな肌。初々しい唇。汗ばんだ背中に、柔らかな肉体。そして、とろけきったあの表情――そのすべてが、涼介を興奮に誘う。
だがまだだ。
熟し切るまで、あと少し。
あと、ほんの少し――。
真凛の髪を優しく撫でつけながら、涼介は静かに口元を歪ませた。
4
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
君と僕の一周年記念日に君がラブホテルで寝取らていた件について~ドロドロの日々~
ねんごろ
恋愛
一周年記念は地獄へと変わった。
僕はどうしていけばいいんだろう。
どうやってこの日々を生きていけばいいんだろう。
悲しいことがあった。そんなときに3年間続いていた彼女を寝取られた。僕はもう何を信じたらいいのか分からなくなってしまいそうだ。
ねんごろ
恋愛
大学生の主人公の両親と兄弟が交通事故で亡くなった。電話で死を知らされても、主人公には実感がわかない。3日が過ぎ、やっと現実を受け入れ始める。家族の追悼や手続きに追われる中で、日常生活にも少しずつ戻っていく。大切な家族を失った主人公は、今までの大学生活を後悔し、人生の有限性と無常性を自覚するようになる。そんな折、久しぶりに連絡をとった恋人の部屋を心配して訪ねてみると、そこには予期せぬ光景が待っていた。家族の死に直面し、人生の意味を問い直す青年の姿が描かれる。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
俺の彼女が『寝取られてきました!!』と満面の笑みで言った件について
ねんごろ
恋愛
佐伯梨太郎(さえきなしたろう)は困っている。
何に困っているって?
それは……
もう、たった一人の愛する彼女にだよ。
青木ヒナにだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる