最年少ダンジョン配信者の僕が、JKお姉さんと同棲カップル配信をはじめたから

タイフーンの目

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第4章 ギャルお姉さんにも好かれています

第53話 反響:ニック

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◆日本 東京都 現地時間 21:18

「みんな聞いてくれ!!!」

 彼――米国のライブストリーマー・ニックは、四ツ谷ダンジョン近くの公園で配信を開始した。

・やあニック!
・おや? その景色は……
・やはりこの日程だったか
・もしかして東京かい?

「そうだよ東京だ! 憧れの街さ! そして僕はとんでもない経験をしたんだ!」

・アイビスのレンに会えたのか
・とんでもない経験だって?
・念願の記念撮影か

「【ニンジャ】だ! ニンジャは居たんだよ!!」

・??
・レンはニンジャだったのか?
・日本の配信者にはそういうクラスがあるということだろうか

「違うんだ! レンには会えなかったけどニンジャだ! 僕はんだ!!」

・ニンジャされた、とは?
・まずは落ち着くんだ
・興奮しているということだけは分かる

「そうだね、順を追って話そう……! 僕とニンジャの話をね!」

・レンはどうした?
・これは期待していいのか困惑すべきなのか
・LMAO
・いつも以上の奇行だね


 ニックは先日、蓮の配信を見てから訪日を決め、実行に移した。

 成田空港に着くなりまずはSNSをチェック。蓮がちょうど本日開催のイベントクエストに参加することを知り、急いで四ツ谷ダンジョンに直行したのだった。

「東京観光もしたかったんだけどね、まだ早朝だったし、何よりレンに会うのが先決だと思ったんだ」

・それは間違いない
・ニックにしては正常な判断だ
・ここまではニンジャが割り込む隙はないね

「そこでニンジャさ!!!!」

・それが分からない
・彼は時差ボケなのか?
・きわどい薬を服用しているという噂もある

「いやね、僕は始発電車に揺られて【ヨツヤ・ダンジョン】に到着したのさ! そしたら……これは運命だと思うんだが、トーノ・レンがダンジョンに入るところだったのさ! そこで僕は走ったね。スマートフォンを片手に、彼へとアタックをかけた!」

・不審者だね
・危険人物とみなされる
・目に浮かぶよ、狂喜しているニックの姿が

「するとだよ!? 歩道を走っていた僕の体が、ふいに細いビルの隙間へと引き込まれたんだ! 僕自身すら気づかないほどに、スルリとね!」

・ほう?
・警察か?
・日本の治安は良いと聞いていたけれど

「驚くことに、僕の体は逆さ吊りになっていた! あらためて言っておくが、そこはダンジョン内部ではない、普通の町並みさ。なのに僕は『何者か』の手によって、あっさりと拉致されて、空中に浮かされていた!」

・夢でも見ていたのでは?
・まさかそれが……

「そうさ、ニンジャさ! 相手はおそらく1人! しかも姿も見せないんだ! 早朝の路地裏、薄暗いその空間のどこかに溶け込んで、僕がどれだけ叫んでも、目をこらしても……まったくわからない! でも相手の声だけは響くんだ――『おはようございます、ミスター』とね!」

・その人物も配信者か?
・話を聞いていたかい、そこはダンジョン内ではないんだよ
・魔力を使わず、そんな芸当が可能なのか?
・ニンジャは〝ニンジュツ〟を使えるらしい

「まさにニンジュツ! 僕を宙づりにしたその彼は――いいや、男性なのか女性なのか、日本人の声を生で聞く機会は少ないから判然としないけれど……ともかくその人物は続けたんだ。『マスター・トーノを応援するのは構いません。ですが節度を守って。約束できますか?』、と!」

・クールなニンジャだ
・紳士だね
・命までは取られなかったか

「ああ! これも驚くことに、そんな乱暴をされたのに、宙づりから解放された僕の体には、ひとつの傷もなかったんだ! ひとつもだよ!? かすり傷さえね!」

・神業だ
・日本人らしい気づかいだ

「僕は感動してしまったよ! その人物は、トーノ・レンに忠誠を誓っているニンジャだったのさ! やはり彼は只者じゃなかった……!」

・肝心のダンジョンはどうなったんだ?
・レンのストリームは?

「ああ、そっちも最高だったよ! 無謀にもレンに挑んできた下品なヴィランがいたんだけれどね、見るも哀れに撃退されていた!」

・僕も見たよ
・あれは痛快だった
・テクニカルだったね、物量ではなく技量で上回っていた
・あれこそ、実力の何割も使っていなかっただろう

「レンなら、目をつぶっても勝てる相手だったね。ヴィランのやつは本当にもったいない。あんな良い装備を持っているのに! 僕はああいうタイプが一番嫌いだね! 宝の持ち腐れさ。しかしレンには、もっと骨のあるライバルが現れてくれるのを望むよ……そんな相手がいればだけどね!」

・アイビスのシイナなら面白い戦いをしてくれるかもしれない
・彼女の乱数戦闘は、スタンピードを制したレンともいい勝負になりそうだ

「うんうん、そうだね。……そうだ、今度はアイビスの事務所にでも突撃してみようかな? 日本の素晴らしいストリーマーがそろっているからね!」

・彼はまだ懲りていないようだ
・またニンジャされるぞ
・グッバイ、ニック

「いやぁ、今からワクワクが止まらないね! 次こそはライブストリームでこの興奮をみんなに届けるよ! じゃあね!!」


 これが彼の最期の言葉に……なったりならなかったりしそうだった。

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