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第四話 神官シルヴィーノ=パジーニの戦いと、カロラの心の解放
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それは突然にやってきた。
勇者であり国王でもあるジェスタの訃報。
王城は震え上がる。ようやくエリーデやサンドロの反乱を抑え、安寧の日々が始まるかと思ったこの段階での凶報。
宮廷はただ、戸惑うばかりである。
ことが起こったのは先週であった。
国王ジェスタが正式な戴冠を行うために、シルヴィーノが支配する聖地アガシアンに旅立ったことから話は始まった。
この国ではアガシアン教を唯一絶対の教えと認め、その聖地であるアガシアンは現在神官トップのシルヴィーノが支配するところとなっていた。
ここにそびえ立つ大神殿で身を清め、精霊と神の信託を受け、王都に凱旋することで国王は神から認められた新たな王家の創始者としての正当性を身につけるのであった。
カロラは留守居役として、王城に残った。
ジェスタが凱旋するための儀式の準備におおわらわだった時に、その知らせが舞い込んできた。
傷つきぼろぼろになった騎士が、目の前でそう叫ぶ。
「ジェスタ国王陛下におかれては、シルヴィーノ=パジーニ枢機卿により殺害!」
カロラは我が耳を疑う。ジェスタが死んだ。そして、彼を殺した張本人がシルヴィーノであるとは。
事の顛末を騎士が最後の命を振り絞って報告する。
聖地に赴く際には最低限の伴しか連れていけないきまりである。
当然ジェスタはそれに従い、近衛の近しい数人だけをともに聖地にでかけた。
数日に渡る儀式。精霊と神との交わりの最後の儀式において、ジェスタは身につけているものすべてを外すことをシルヴィーノに命じられる。
疑うべくもない。ジェスタはそれに従い、裸で神殿の一室に控える。しかし――その直後、武装神官がその部屋を取り囲み矢衾のようにしてジェスタを刺殺したと。
当然伴のものも皆殺されかけたが、この騎士だけはなんとか逃げ出してきたと報告する。
「このものを、別室に運べ」
カロラの指示。
あたりは騒然とするばかりで、ただただ騒々しいばかりである。
ここに至っては、宰相も役には立たない。ジェスタの命令をただ実行するだけの事務屋である。案の定、その姿を早速くらましていた。並み居る将軍も、武力だけの下級指揮官ばかりである。サンドロ亡き後、まともな将軍は皆無であった。
唯一、左翼将軍であるカロラを除いては。
カロラは思い出す。儀式に出かける前にジェスタが言い残した伝言を。ジェスタの私室に向かうカロラ。
彼女が戻ってきたのはそれより一時間後のことであった。
彼女は勅令を手に、命令を下す。
まずは伝令の騎士を処刑すること。あわせて宰相や数人の将軍を逮捕して処刑することであった――
眼の前にはシルヴィーノの首が床に無造作に置かれていた。目を閉じ、皮膚はどこまでも白い。
シルヴィーノの反乱はアガシアン教の勢力を背景にしたものであった。アガシアン教はこの国に大きな勢力を張り巡らしていた。国王といえども教会の不輸不入権には逆らえず、その僧侶の力は政治にまで及んでいた。
当然ジェスタはそれを良くは思っていなかったはずである。
戴冠の儀式がすめば、教会の領地をすべて併合するつもりであった。
国に権力は一つで良い。
二重権力状態は、いずれ内乱を引き起こすに違いないのだから。
アガシアン教のトップである大教皇はガースパレ三世。
シルヴィーノの後見人として知られていた人物である。彼はこの国をアガシアン教の宗教国家にしようとしていた。
シルヴィーノはそれに対して同意したのか、もしくは脅迫されたのか洗脳されたのかは分からないが、精霊の力を総結集して首都ダブレ=ストに教会軍が迫る。一方的に敗北する王国軍。しかし、そのリーダーであるカロラはそれをただ待ち受けるだけであった。
王城までその教会軍が迫った時、精霊が一斉にその存在を消滅させた。火も水も木そして光も闇も森羅万象全てに属する精霊がである。それまで精霊の導きと助力に頼っていた教会軍は、手練の王国軍本隊の攻撃を受け全滅する。
それは虐殺であった。
それまでの勢いはどこに行ったのか教会軍は単なる素人の群衆と化し、命乞いもままならずに殺されていく。
逆に王国軍がアガシアンに逆遠征を開始し、あっという間に大神殿は炎に包まれた。大教皇は火炙りにされ、シルヴィーノは傷ついた状態のまま首を切られた。
じっとその首を見つめるカロラ。彼女はかつてジェスタが座っていた『王座』にその身を預けていた。
ジェスタが殺されたとの一報を受けた時、まっさきに彼女はジェスタの私室に向かった。
それは国王の間とは違う、秘密の部屋。二人だけが会う、誰も知らない結界が張られた部屋である。
狭い部屋。ベッドが一つ。あとは小さな棚。そのベッドの上に封筒が載っていた。
封緘もしてない、ただ『ジェスタ』の名前がある封筒。
カロラは思い出す。
『何かあったらこの部屋に来い。そこに俺がいる』と。
封筒の中には一枚の手紙。質素な羊皮紙に殴り書きで書かれた文章。
到底読むに耐えない文字であるがそれをじっと見つめる。間違いない。文字に魔法がかけてある。目を閉じて、念ずる。頭の中にジェスタの声が響く。カロラだけが受け取ることのできるメッセージであった。
『カロラ。この手紙を読んでいるということはわたしはもうこの世にいないのだろう』
間違いないジェスタの声。最初からショッキングな内容に思わず目を見開く。しかし、メッセージはさらに頭の中で再生されていく。
『シルヴィーノが挙兵することはわかっていた。そのタイミングも。俺が戴冠を行うためにアガシアンに向かうときであろう。シルヴィーノは信頼に足る人物だ。しかし宗教は人を狂わす。間違いなくおれを殺すであろう......』
事実そうであった。まるで予言のようなジェスタの言葉はその後も続く。
『事前にアガシアンを攻める手もあるが、それは精霊を敵とする全面戦争をこの国に起こしかねない。ならばとる手は一つしかない。わが身を犠牲としてアガシアン教に捧げ、彼らの軍を首都に誘導することである』
アガシアン教は少なくない教会軍を有している。それを攻めることは神に反することであり、ジェスタといえども不可能なことであった。
しかし、今は地上の君主を殺した反乱者である。ここに大義名分が立つ余地も出てくる。
『......さらに王都には結界が張ってある。これは魔王を倒した時に、手に入れた書物に書いてあった魔法だ。国王の命と引換えに王城周辺に精霊を無力化する結界をはることができるという魔法。生前のエリーデに密かに、この魔法を行わせ、王城に今結界が張られているはずだ。カロラ。連中を迎え撃て。そして――』
涙が溢れ出るカロラ。しかし、ジェスタの声は続く。
『お前が王となれ。それがこの国を――』
カロラは叫びを上げる。それでもジェスタの声は続く。いつまでも終わりのないようなその声が――
アガシアン教の反乱が収まった後も、各地で反乱の火種はたえることがなかった。サンドロの残党、アガシアン教の生き残り――その戦いは十年にわたり続くこととなった。その間に国は乱れ、そして多くの人命が失われた。
カロラ=アガッツィはようやくすべての内乱を平定することに成功したのだ。玉座に座る彼女。髪には白いものが増えていた。国王には即位しなかったが、終身の『護国卿』となっていた。この王国の最高権力者である。
しかし、王の間には彼女一人。誰もいない。
床にはワインの瓶が散乱していた。さきほどまで彼女が飲んでいた瓶もそこにはあった。
「ようやく、ようやく.......おわりました」
カロラはうつむきながらそうつぶやく。
ジェスタに託された王国の安定をようやく成し遂げた瞬間であった。
政治の表向きはすべて新たな宰相に委ねた。
内戦で疲弊したこの王国を再建できるであろう才覚の持ち主である。
細く痩せこけた、カロラの腕。かつての魔法騎士の面影はまったくなかった。目はくぼみ、皮膚の色も土気色にまみれていた。
そっと手紙を取り出す。
それはあの秘密の部屋で開封した手紙であった。
はあと大きなため息をつく。
魔王を殺せばそれですべて終わり。めでたしめでたしではなかったのか。
パーティーは英雄として栄光ある余生を送り、皆名誉のうちにその寿命をまっとうするのでは――
「わたしが最後に残ってしまいました。一番、役に立たないはずの私が」
ぎゅっと手紙を握る潰すカロラ。その力は今までの弱々しさとは違い、力強く――そして静かに目を閉じた。
カロラは目を覚ます。ジェスタがそばに寝ている。座ったまま剣を抱いて寝ているサンドロ。結界を張りながら、目を閉じているシルヴィーノ姿もある。そしてエリーデはすぐそばで寝息を立てていた。
『ああそうだった』
彼女は思い出す。これから魔王を退治しに行く途中であったことを。
魔王をたおせば全ては終わる。幸せも喜びもそこから始まるはずだった。
そしてこのパーティーの新たなる一歩も。
『眠れないの?カロラ
《ルフォルツァ王国伝記国王列伝》
かくて、内乱を収めしカロラ護国卿はすべての仕事をやりきった後、宰相に政治の全権を委ね永遠の眠りにつくこととなる。一〇年に渡る反乱を収めし偉大なる国の母。勇者らともに永遠に平穏にあらんことを――
END
勇者であり国王でもあるジェスタの訃報。
王城は震え上がる。ようやくエリーデやサンドロの反乱を抑え、安寧の日々が始まるかと思ったこの段階での凶報。
宮廷はただ、戸惑うばかりである。
ことが起こったのは先週であった。
国王ジェスタが正式な戴冠を行うために、シルヴィーノが支配する聖地アガシアンに旅立ったことから話は始まった。
この国ではアガシアン教を唯一絶対の教えと認め、その聖地であるアガシアンは現在神官トップのシルヴィーノが支配するところとなっていた。
ここにそびえ立つ大神殿で身を清め、精霊と神の信託を受け、王都に凱旋することで国王は神から認められた新たな王家の創始者としての正当性を身につけるのであった。
カロラは留守居役として、王城に残った。
ジェスタが凱旋するための儀式の準備におおわらわだった時に、その知らせが舞い込んできた。
傷つきぼろぼろになった騎士が、目の前でそう叫ぶ。
「ジェスタ国王陛下におかれては、シルヴィーノ=パジーニ枢機卿により殺害!」
カロラは我が耳を疑う。ジェスタが死んだ。そして、彼を殺した張本人がシルヴィーノであるとは。
事の顛末を騎士が最後の命を振り絞って報告する。
聖地に赴く際には最低限の伴しか連れていけないきまりである。
当然ジェスタはそれに従い、近衛の近しい数人だけをともに聖地にでかけた。
数日に渡る儀式。精霊と神との交わりの最後の儀式において、ジェスタは身につけているものすべてを外すことをシルヴィーノに命じられる。
疑うべくもない。ジェスタはそれに従い、裸で神殿の一室に控える。しかし――その直後、武装神官がその部屋を取り囲み矢衾のようにしてジェスタを刺殺したと。
当然伴のものも皆殺されかけたが、この騎士だけはなんとか逃げ出してきたと報告する。
「このものを、別室に運べ」
カロラの指示。
あたりは騒然とするばかりで、ただただ騒々しいばかりである。
ここに至っては、宰相も役には立たない。ジェスタの命令をただ実行するだけの事務屋である。案の定、その姿を早速くらましていた。並み居る将軍も、武力だけの下級指揮官ばかりである。サンドロ亡き後、まともな将軍は皆無であった。
唯一、左翼将軍であるカロラを除いては。
カロラは思い出す。儀式に出かける前にジェスタが言い残した伝言を。ジェスタの私室に向かうカロラ。
彼女が戻ってきたのはそれより一時間後のことであった。
彼女は勅令を手に、命令を下す。
まずは伝令の騎士を処刑すること。あわせて宰相や数人の将軍を逮捕して処刑することであった――
眼の前にはシルヴィーノの首が床に無造作に置かれていた。目を閉じ、皮膚はどこまでも白い。
シルヴィーノの反乱はアガシアン教の勢力を背景にしたものであった。アガシアン教はこの国に大きな勢力を張り巡らしていた。国王といえども教会の不輸不入権には逆らえず、その僧侶の力は政治にまで及んでいた。
当然ジェスタはそれを良くは思っていなかったはずである。
戴冠の儀式がすめば、教会の領地をすべて併合するつもりであった。
国に権力は一つで良い。
二重権力状態は、いずれ内乱を引き起こすに違いないのだから。
アガシアン教のトップである大教皇はガースパレ三世。
シルヴィーノの後見人として知られていた人物である。彼はこの国をアガシアン教の宗教国家にしようとしていた。
シルヴィーノはそれに対して同意したのか、もしくは脅迫されたのか洗脳されたのかは分からないが、精霊の力を総結集して首都ダブレ=ストに教会軍が迫る。一方的に敗北する王国軍。しかし、そのリーダーであるカロラはそれをただ待ち受けるだけであった。
王城までその教会軍が迫った時、精霊が一斉にその存在を消滅させた。火も水も木そして光も闇も森羅万象全てに属する精霊がである。それまで精霊の導きと助力に頼っていた教会軍は、手練の王国軍本隊の攻撃を受け全滅する。
それは虐殺であった。
それまでの勢いはどこに行ったのか教会軍は単なる素人の群衆と化し、命乞いもままならずに殺されていく。
逆に王国軍がアガシアンに逆遠征を開始し、あっという間に大神殿は炎に包まれた。大教皇は火炙りにされ、シルヴィーノは傷ついた状態のまま首を切られた。
じっとその首を見つめるカロラ。彼女はかつてジェスタが座っていた『王座』にその身を預けていた。
ジェスタが殺されたとの一報を受けた時、まっさきに彼女はジェスタの私室に向かった。
それは国王の間とは違う、秘密の部屋。二人だけが会う、誰も知らない結界が張られた部屋である。
狭い部屋。ベッドが一つ。あとは小さな棚。そのベッドの上に封筒が載っていた。
封緘もしてない、ただ『ジェスタ』の名前がある封筒。
カロラは思い出す。
『何かあったらこの部屋に来い。そこに俺がいる』と。
封筒の中には一枚の手紙。質素な羊皮紙に殴り書きで書かれた文章。
到底読むに耐えない文字であるがそれをじっと見つめる。間違いない。文字に魔法がかけてある。目を閉じて、念ずる。頭の中にジェスタの声が響く。カロラだけが受け取ることのできるメッセージであった。
『カロラ。この手紙を読んでいるということはわたしはもうこの世にいないのだろう』
間違いないジェスタの声。最初からショッキングな内容に思わず目を見開く。しかし、メッセージはさらに頭の中で再生されていく。
『シルヴィーノが挙兵することはわかっていた。そのタイミングも。俺が戴冠を行うためにアガシアンに向かうときであろう。シルヴィーノは信頼に足る人物だ。しかし宗教は人を狂わす。間違いなくおれを殺すであろう......』
事実そうであった。まるで予言のようなジェスタの言葉はその後も続く。
『事前にアガシアンを攻める手もあるが、それは精霊を敵とする全面戦争をこの国に起こしかねない。ならばとる手は一つしかない。わが身を犠牲としてアガシアン教に捧げ、彼らの軍を首都に誘導することである』
アガシアン教は少なくない教会軍を有している。それを攻めることは神に反することであり、ジェスタといえども不可能なことであった。
しかし、今は地上の君主を殺した反乱者である。ここに大義名分が立つ余地も出てくる。
『......さらに王都には結界が張ってある。これは魔王を倒した時に、手に入れた書物に書いてあった魔法だ。国王の命と引換えに王城周辺に精霊を無力化する結界をはることができるという魔法。生前のエリーデに密かに、この魔法を行わせ、王城に今結界が張られているはずだ。カロラ。連中を迎え撃て。そして――』
涙が溢れ出るカロラ。しかし、ジェスタの声は続く。
『お前が王となれ。それがこの国を――』
カロラは叫びを上げる。それでもジェスタの声は続く。いつまでも終わりのないようなその声が――
アガシアン教の反乱が収まった後も、各地で反乱の火種はたえることがなかった。サンドロの残党、アガシアン教の生き残り――その戦いは十年にわたり続くこととなった。その間に国は乱れ、そして多くの人命が失われた。
カロラ=アガッツィはようやくすべての内乱を平定することに成功したのだ。玉座に座る彼女。髪には白いものが増えていた。国王には即位しなかったが、終身の『護国卿』となっていた。この王国の最高権力者である。
しかし、王の間には彼女一人。誰もいない。
床にはワインの瓶が散乱していた。さきほどまで彼女が飲んでいた瓶もそこにはあった。
「ようやく、ようやく.......おわりました」
カロラはうつむきながらそうつぶやく。
ジェスタに託された王国の安定をようやく成し遂げた瞬間であった。
政治の表向きはすべて新たな宰相に委ねた。
内戦で疲弊したこの王国を再建できるであろう才覚の持ち主である。
細く痩せこけた、カロラの腕。かつての魔法騎士の面影はまったくなかった。目はくぼみ、皮膚の色も土気色にまみれていた。
そっと手紙を取り出す。
それはあの秘密の部屋で開封した手紙であった。
はあと大きなため息をつく。
魔王を殺せばそれですべて終わり。めでたしめでたしではなかったのか。
パーティーは英雄として栄光ある余生を送り、皆名誉のうちにその寿命をまっとうするのでは――
「わたしが最後に残ってしまいました。一番、役に立たないはずの私が」
ぎゅっと手紙を握る潰すカロラ。その力は今までの弱々しさとは違い、力強く――そして静かに目を閉じた。
カロラは目を覚ます。ジェスタがそばに寝ている。座ったまま剣を抱いて寝ているサンドロ。結界を張りながら、目を閉じているシルヴィーノ姿もある。そしてエリーデはすぐそばで寝息を立てていた。
『ああそうだった』
彼女は思い出す。これから魔王を退治しに行く途中であったことを。
魔王をたおせば全ては終わる。幸せも喜びもそこから始まるはずだった。
そしてこのパーティーの新たなる一歩も。
『眠れないの?カロラ
《ルフォルツァ王国伝記国王列伝》
かくて、内乱を収めしカロラ護国卿はすべての仕事をやりきった後、宰相に政治の全権を委ね永遠の眠りにつくこととなる。一〇年に渡る反乱を収めし偉大なる国の母。勇者らともに永遠に平穏にあらんことを――
END
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