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10話 幸運と不幸は紙一重?

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 ウソも方便と申します。
 いくら不測の事態であったとは言え、コボルト二匹を残して魔王城の魔物が全滅してしまっているなど、口が裂けても申せません。
 魔王様の沽券に関わります。
 私の場当たり的な説明でも勇者御一行様は特に疑う素振りも無く、私の後について魔王の間を目指して歩いておられます。

「こちらが、魔王城最初の十字路になります」

 私は、その場で一旦足を止めると、振り返り続く勇者御一行様へ案内を致します。

「こちら、正面の通路を進みますと、魔王様のおられる魔王の間へと続いております。
 右の通路へ進みますと、魔王城第一の宝物庫へと続いております。
 道は一本道で、終端は正面の道と合流しておりますので、どらから行っても魔王の間へと辿り付く事ができます。
 多少遠回りにはなってしまいますが、魔王城来城の記念に立ち寄って行かれる事をおすすめします」
「宝物庫か……して、どのような物が入手出来るのだろうか?」
「入手出来るアイテムは完全ランダムとなっております。
 上は、神話級、伝説級から下は飲み終わったポーションのビン、ゴブリンの腰巻など多岐に渡ります。
 ただし、攻略難易度がノーマル設定になっているため、高価な物が手に入る確立は大変低くなっております。ご了承くださいませ」
「どうする? 我々の目的は|一応・・は魔王の討伐という事になっているが……」
「そうですね……私は折角なので寄って行きたいですね。
 ここまで来たんですから、何か魔王城まで来た、という証拠になるような物を持って帰りたいです」
「私も行きたい。運が良ければ一攫千金も夢じゃない。
 ここらで一発当てて、残りの人生ウハウハで過ごしたい……
 ……てか、まだ、そんな事言ってるの?
 私もう、魔王と戦うつもりないし……
 最悪、命乞いしてでも帰してもらうつもりだし……」
「魔法使い……貴方って人は……」
「お前なぁ……」  

 三角帽子を被った、皆様から魔法使いと呼ばれている女性が誰よりも先に、右の通路へと向かって歩き始めました。
 すると……

「ちょっと待てっ! 魔法使いっ!」

 今まで皆様の後ろの方で、静かにされていた立派な鎧を着ている男性、皆様からは勇者と呼ばれていた方が大きな声で魔法使い様を呼び止めました。

「……なに? 勇者?」
「ふふふっ……甘いっ! 甘すぎるっ!」

 なんとも気だるげな表情を浮かべる魔法使い様に、勇者様は声も高らかにこう仰いました。

「今、このメイドは正面と右のルートの説明しかしなかった!
 しかも、俺たちをさり気なく右のルートへと誘導しようとしている!
 つまり……俺たちを左のルートに行かせたくない、と言う事だっ!」

 中々の洞察力でございます。
 勇者様の仰る通り、私は勇者御一行様を左の通路へ行かせたくはないのです。
 なぜなら……

「ずばりそれは、右のルートは罠で、左のルートの方こそが本命!
 宝物庫へと至る道に違いないっ!
 お宝をチラつかせて、俺たちを罠にはめようって魂胆だろうが、俺にそんな小細工は通用しないぜっ!
 とぉうぉっ!」

 そんな掛け声一つ、勇者様は左の通路へと踏み込んでしまいました。
 踏み込んで……しまったのです……

「あっ……」
「またバカな事言って……
 ほらっ、右のルートに行きますよ。早くこっちに来なさい勇者」
「そうだぞ勇者。一体なにを根拠そんなことを……
 そもそも、このメイドが我々を謀(たばか)ってなんとする?
 戦力差は歴然なのだ、罠にはめる理由がない」
「ねぇ……勇者置いて先行かない?
 私、アレの相手するの疲れた……」
「おっ、お前らぁ……!」

 皆様からの扱いに、勇者様は小刻みにプルプルと震え出していました。
 しかも、目元には薄っすらと涙のようなものが……

「じ、じゃあ! 何で左のルートの説明が無いんだよ!
 怪しいじゃん! おかしいじゃん!
 どおなんだよぉ!」

 勇者様は地団太を踏みながら、皆様へと抗議をしておりました。

「それは……」
「そら見ろよっ! 分からないんじゃないかっ!
 てか、お前らさっきから敵の言う事ばっかり信じて、仲間の俺になんで敵対してんだよ!
 俺は勇者だぞ! パーティーのリーダーなんだぞ!」

 大柄な男性、皆様から戦士と呼ばれている方が勇者様の問いかけに言葉を詰まらせていました。
 確かに、私は意図的に左の通路の説明を後回しにしていました……

「それは、左の通路に関しましては少々特殊なため最後にご説明させて頂こうとしていたのですが、その説明をする前に勇者様が飛び出してしまいまして……」

 言葉を詰まらせた戦士様の代わりに、私が勇者様へとお答えしました。

「「「……」」」
「うっ……」

 皆様の射る様な視線が、勇者様へと向けられました。
 そんな中、四角い帽子を被った、皆様から僧侶と呼ばれていた女性が、私へと問いかけて来ました。

「特殊……なのですか?」
「はい。
 左の通路は一度踏み込んだら戻って来られない“迷宮回廊”となっております。
 攻略難易度がノーマルに似つかわしくない高難易度となってしまっているため、普段から案内・説明の類は最後に行わせて頂いておりました」
「戻って来れない……だと?
 勇者、ちょっとこっち来い!」
「なっ、なんだよ……俺がリーダー何だから進む方向は俺が……」
「いいからこっち来いっ!!」
「ひっ! ……なっ、なんだよ……そんな怒鳴らなくたっていいだろ……グスッ……」

 戦士様に怒鳴られて、しぶしぶと言った体で勇者様は戦士様たちのいる方へ近づいて行くのですが……

 ゴインッ

「痛ってぇ!」

 勇者様がニ、三歩進むと見えない壁に阻まれてそれ以上進む事が出来なくなってしまいました。
 それは、丁度、通路と通路の境界線上での事でした。

「なっ、なんだこれ……?」

 勇者様は見えない壁に、ペタペタと手を触れてその存在を確認しておりました。

「これは一体……」

 その様子を見ていた戦士様がポツリと言葉を零しましたので、私はすかさず説明を致しました。

「結界で御座います。
 “迷宮回廊”は後戻りが出来ない仕様となっており、“迷宮回廊”内にはその様な結界が至る所に設置されております」
「……僧侶の結界破壊魔法でなんとかならないか?」

 戦士様の言葉に、僧侶様はゆっくりと首を左右に振りました。

「たぶん無理。ここの結界が城門の結界以下だとは思えないもの。
 それに、私にはそこに結界があることが分からなかった……
 こんなに高度に隠蔽されている結界を破壊するなんて、今の私では……」
「進む以外に道はなし……ということか……」
「「「……」」」

 戦士様の言葉に、またしても台所に現れる家庭害虫を見るような目で皆様は勇者様を見ておられました。

「よし……勇者はお荷物だから置いて行こう。
 で、王様には“勇者様は尊い犠牲となった”と言おう。うん」
「……そうですね……もう、それでいいような気がしてきました……
 “人は死して名を残す”と言う名言もありますから、勇者はここらで死んでおいた方が立派な英雄になれるかもしれませんね……」
「コラコラコラッ! まぁ……まぁ、待て……
 お前たちの気持ちも分かるが、とにかく待て!
 ……すまんが、奴をあそこから出す方法はないものか?」

 戦士様がそう尋ねていらっしゃましたので、私は率直に申し上げました。

「結界を解除することも可能ではありますが、緊急脱出魔法で受付まで戻り、再度入城するのが一番早いと思われます」
「「「あっ」」」

 皆様一様に顔を見合わせると、そのまま勇者様へと視線を向けました。

「聞いていたな勇者?」
「あ、ああ……だけどさぁ、再入城って確かまた入城料払わないと……」
「それがどうした?」
「いや……そのさぁ、俺あんまり金もってないって言うか……
 ほらっ! パーティーの金って僧侶が一括で管理してるだろ?
 そこからさぁ……」
「はあぁ!?」 
「(ビクッ)……だ、出しては頂けないでしょうか……?」
「出すわけないでしょ!?
 個人で自由にしていいお金はちゃんと分けているわよね!?
 それに、勇者さっき入城料なんて“子ども小遣い程度”って言っていたじゃない?
 それくらい自分で出しなさいっ!!」
「ひぃっ! わっ、分かったよ……そんなに怒らなくたっていいじゃないか……(このケチ)……」
「……ああん!? 今何か言った?」
「(ビクッ)……えっとたしか……エスケープ!」
 
 シュイン!!

 その一言で、勇者様は私たちの前から姿を消しました。
 勇者様が再度私たちの前に姿を現したのは、それから五分ほど経った後のことでした。

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「こちらが、魔王城第一宝物庫となります」

 私は、勇者様と合流した勇者御一行様を連れて当初の予定通り右の通路の先、魔王城第一宝物庫へと案内いたしました。
 と言っても、合流地点までの通路沿いには扉が一つしかありませんので、まず見落とすこともないのですが……

「ここがそうか……ふんっ!」

 戦士様が大扉へと手を掛けると、そのまま一息に扉を開け放ちました。
 中に見えるのは、扉の大きさの割りに狭い小さな部屋と一抱えほどある宝箱が一つ。

「宝箱……一つだけ?」

 魔法使い様が少し残念そうに呟きました。

「ご安心ください。
 宝箱は一つですが、お一人様につき一品のアイテムが出現するシステムとなっております。
 一度の開閉で出現するアイテムは一品となっておりますので、お一人様一回づつ宝箱を開けてください」
「では、まず自分から行こう……」

 私の説明を聞き終えて、戦士様が宝箱へと近づきました。

「ふんっ!」

 ピカピカ、ペッカーーー!!!
 
 これは珍しい。
 戦士様が宝箱を勢いよく開けると、宝箱から眩いばかりの輝きが溢れ出しました。

「なに、これっ!」
「まっ、眩しい……」
「おめでう御座います。大当たりのようですね」
「当り……なんですか?」
「はい。良い物であればあるほど宝箱の開閉時のエフェクトが豪華になる仕様になっております」

 光が収まったところで、戦士様が宝箱の中から一振りの大きな剣を取り出しました。

「こっ、これはもしやっ! アダマンティウムの大剣!」
「完全物理属性武器・破壊不可能・切れ味低下なし・STR、AGI超増加・物理防御無視などの特性を有する秘宝級アイテムですね。
 ノーマル難易度での出現確立は0.3%となっております。
 戦士様は大変“運”がよろしいようですね」
「こっ、こんなすごい物を頂いていいのだろうか……」
「戦士様が引き当てたものでございます。
 是非、お納めください」
「そ、そうか……では、遠慮なく……」

 戦士様は、やや躊躇いながら背負っていたご自分の大剣を外すと、新たに手に入れた大剣を背負い直しました。
 戦士様は、大変恐縮していたようですが、あの程度・・・・のアイテムなら魔王様管理の宝物殿にゴロゴロしています。
 それを言うと、恐らく混乱が生じると思われるので黙ったままでいますが……

「戦士いいなぁー……んじゃ、次私……」
「ちょっ! 魔法使い!
 抜け駆けは無しですよ!」
「宝箱は必ず一度完全に閉じてから、再度明けて下さいますようお願い致します」
「分かった……てぇいっ!!」

 魔法使い様は、宝箱を一度閉めてから勢いよく宝箱を開けました。

 キラキラ、ペカペカ、テッカーーー!!

 これはまた、大変珍しい。
 戦士様が開けた時以上の輝きが、宝箱からあふれ出しました。

「おっ……おっ……おっ、おおおぉぉぉぉっっっ!!!」

 光が収まると、そこには立派な杖を手にして振るえている魔法使い様がおりました。

「“竜角の杖”で御座いますね。
 竜王・ファフナーの角から作り出された杖で御座います。
 魔法威力範囲増加・使用魔力軽減・詠唱短縮・属性効果増加・状態異常系魔法の効果増加・INT増加・ドラゴン属性へ特攻・ドラゴン属性からのダメージ軽減etcetc……
 伝説級のアイテムですね。
 ノーマル難易度からの出現率は0.03%となっております」
「まっ、マジか……すごいの出た……
 これ売ったら末代まで遊んで暮らせる……」
「売るなっ!!」

 僧侶様が魔法使い様の発言に、頭を引っぱたいておりました。

「つ、次は私……ですね……(ゴクッ)」

 僧侶様が、緊張した面持ちで宝箱を静かに閉めました。

「すぅー……はぁー……すぅー……はぁー……
 では……いきますっ! えいっ!」 

 ラーラー! ラーラーラー! ジャーーーン!!
 ピカピカ、テカテカ、ペカペカ、テッカーーーー!!!

 僧侶様が宝箱を開けた瞬間、小さな天使が何体も舞い踊り、七色の光が宝物庫中にあふれ出しました。
 まさか、これは……

「なっ、何ですかこれ?」
「ノーマル難易度でこのクラス・・・・・のアイテムが当たるなんて信じられませんね……」

 光は徐々に収まり、僧侶様が宝箱から取り出したのは、小さな宝冠でした。

「それは“聖者マルコスの宝冠”です……
 性能は……いえ、解説など野暮な事は止めましょう。
 神話級アイテムで御座います。ノーマル難易度からの出現率は0.0001%となっおります。
 私、長いこと魔王様の元に仕えておりますがノーマル難易度から神話級アイテムが出現するところを初めて拝見致しました」
「これ……普通に考えたら国宝級だと思うのですけど……本当に貰っちゃっていいんでしょうか……?
 あとで、やっぱり返せとか……嫌ですよ?」
「ご安心下さい。魔王様はそんなみみっちぃことは申しません。
 宝箱を開けて手に入れたものは、開けた者の物です。
 このように、何が起こるかわからない、と言うのもまた魔王城の醍醐味なのです」
「そっ、そうですか……? なら……」

 僧侶様は、ニコニコと宝冠を抱えて皆様の下へとお戻りになられました。
 勇者御一行様は、皆様実に強運の持ち主のようですね。

「くっくっくっくっ……ここで遂に真打が登場ってわけだ……」

 先ほどから静かにしていた勇者様が、皆様の後ろから不適な笑みを浮かべて宝箱の前に立ちました。

「秘宝級、伝説級、そして神話級……この流れからして次は更に上のアイテムが出ると見た!
 神話級の上のアイテム……一体何が出ちまうんだろなぁ~!」

 勇者様は、意気揚々と開いたままになっていた宝箱を一度閉じると……

「とぅおぉっ!!」

 今までの皆様の誰よりも勢いよく、宝箱の蓋を開けました。

 パカッ……ダカンッ!

「「「「……」」」」
「……ん? 何にも光んねぇーぞ……?」

 そんな……まさか……しかし……
 勇者様が開いた宝箱は、今までの様に光を発する事はおろか、その……中身すら入ってはおりませんでした……

「……てか、中身すら入ってないんだが? どういう事だメイド?」
「これは……私、すごい物を見てしまいました……」
すごい・・・?」

 私、人形ですので心はありませんが、目の前で起きた奇跡・・に驚きを禁じえません。

「はい。
 魔王城内に設置された宝箱は全ての難易度において、“空”が出る確率は等しく設定されています。
 その確立……一億分の一。0.000001%です。
 この確立は神話級の出現率よりも更に低く、私、長いこと魔王様の元に仕えておりますが“空箱”を引い当てた方を初めて拝見しました。
 勇者御一行様は、実に“強運”な方が揃っておいでなのですね。
 是非ともこの宝箱に、栄誉ある第一号者としてのサインを……」
「誰が書くかっ!! なんだよその羞恥プレイ!?
 そんな嫌な強運なんていらんわっ!
 ってか、神話級よりも出現率が低い“ハズレ”って! 嫌がらせかっ!!」
「“常に冒険者にはサプライズを”という、魔王様のチャメッ気で御座います」
「いらんわそんなチャメッ気! むしろ腹立つわっ! 腸(はらわた)煮えくり返りそうになるわっ!」
「私、この奇跡の瞬間に立ち会えたことうれしく思います」
「うるせぇよ!! 俺はキレそうだよっ!! てか、もうキレてるよ!!」
「このように、何が起こるかわからない、と言うのもまた魔王城の醍醐味なのです」
「その台詞さっきも聞いたよ!
 俺のタイミングで言われると嫌味にしか聞こえねぇよ!!
 えっ? マジこれどうしてくれんの?
 マジ俺だけアイテム無し? ハズレ? 神話級以上のハズレを喜べと?
 ふざけんなっ!!」

 勇者様は何がそんなにご不満なのか……勢いよく私へと掴みかかって来ましたので、私はそれをひょいとかわしました。

「うおっ!?」

 勇者様の手が届く直前に、私が避けてしまった事で勇者様はバランスを崩してそのま転倒してしまいました。

「大丈夫でしょうか? 勇者様」
「だからっ! そのタイミングで言っても嫌味にしか聞こえねぇっての!!」

 勇者様は、床に寝転んだままそう仰いました。
 私は、何か勇者様の気分を害するような事を、申し上げてしまったのでしょう?

「私、先の説明で“高価な物が手に入る確立は大変低くなっております”と、ご忠告申し上げたと思うのですが?」
「聞いたよ! ああ、聞いたよ!!
 でも、目の前で実際に秘宝級、伝説級、神話級のアイテムが出たんだぞ!
 なら、次は俺もって思うだろ! 思っちゃうだろ!
 そしてら、空だぜ? しかも、神話級以上の低確率のハズレ! ありえねぇだろ!」
「勇者は聖剣持ってるんだから、アイテムなんて要らないでしょ……?」
「うむ。今まで伝説級の武具を所持していたのは勇者、お前だけだったわけだからな……
 大体、自分に言わせれば自分の手にしているアイテムがパーティーの中で一番レアリティが低いのだぞ?
 正直、恨み言を言いたいのは自分の方だ……」
「そうですよ勇者。これでパーティーの戦力バランスが取れたと思えばいいじゃないですか? ね?」

 寝転がっている勇者様へ、皆様が次々と御声をかけて回りました。
 しかし……

「うっ……うっ……ヤダヤダヤダヤダッ!
 俺もなんかすごいアイテムが欲しいっ~! すごくなくてもせめてなんかほしいぃ~っ!
 カラッポはイヤだぁぁぁ!
 なんかほしいぃ~ほしいぃ~ほしいぃ~ほしいぃ~ほしいぃ~ほしいぃ~~~!!!」

 勇者様は、寝転がった姿勢のまま、手足をバタバタと振り始めました。

「ちょっ! 勇者! こんな所でダダをこねないで下さい!
 恥かしいじゃないですかっ!」
「うわっ……ダサ……」
「勇者……」

 それからしばらく勇者様が静かになる事はありませんでした。

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蛇足知識その10
悠久自動人形のドロシーさんの秘密その3
ドロシーさんの手は……飛ぶっ!
その名も“必殺・ろけっとどろしーぱんち”!!(魔王命名)
その最大飛行速度はマッハ3!!
そして、飛行中の手はドロシーさんの思いのままに動かす事が出来る。
……が、あまりに早すぎて自分でもコントロール出来ない禁断の必殺技なのであるっ!!

次回も、ドロシーさん視点が続くよ♪
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