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6話 爆誕!! 滅殺人形!!
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驚き! コボルトの続投です。
今しばらく彼らの活躍に、お付き合いください。
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「……にしても、若けぇモンの適応力ってのは、スゲーな……」
「そーッスか? 慣れれば簡単ッスよ? この石版もチョー便利ッス!」
隊長が、俺ッチが作業しているのを後ろから覗いてそんな事を言ったッス。
最初こそ、戸惑ってなかなかなうまく行かなかったッスけど、流石に4体目ともなれば楽勝ッスよ。
俺ッチは殲滅魔道鎧の背面ハッチ開けると、その中に潜り込んで各種設定の変更をしていったッス。
殲滅魔道鎧のハッチの中には石版(正確には、操作端末って言うらしいッス)と同じような物が入っていたッス。
後は、手持ちの石版に設定方法を聞いて、言われた通りにするだけでオッケーッス。
とは、言っても設定方法は全部同じッスから覚えちまったスけどね。
俺ッチでも出来るくらいの簡単な作業だったッスけど、何故か隊長はうまく出来ないらしいんスよ……
一度、隊長と作業を交代したんすけど、結局上手く出来なくて、それからはずっと俺ッチが作業を担当してるッス。
「はい。これでまた一体設定完了ッス!」
俺ッチが背面ハッチを閉じると、殲滅魔道鎧はブルルっと小さく震えるとユラユラと自分の部屋へと帰って行ったッス。
「これでやっと4体目か……あと何体残ってんだ?」
『現在、2754体ノ殲滅魔道鎧ガ稼動中デス』
隊長のぼやきに石版が反応して、律儀に残りの数を教えてくれたッス。
この石版は聞けばなんでも答えてくれるッス。
聞いても答えてくれない時は、聞き方が悪い時ッスね。丁寧に聞けば、間違いなく答えてくれるッス。
俺ッチは、作業中ずっと石版と話していたッスから、どう聞けば石版が答えてくれるか大体理解したッス。
「うげっ!? まだ、100体も減ってねぇのかよ……」
隊長はそう言って顰めっ面をすると、ヘナヘナとその場に座り込んだッス。
……隊長、別に何もしてないじゃないッスか。
とは、思ったッスが、口には出さなかったッス。
言ったら、絶対怒られるッス……
でも、確かに進み具合は遅いッスよね……
先輩方も奮闘しているとは思うッスけど、このままの作業スピードだと正直いつ終わるかまったく分からないッス。
何か良い方法はないッスかね……
「まとめて設定を変更する方法ってないッスか?」
俺ッチは持っていた石版に尋ねたッス。
『……該当アリ。
一括指令ニヨル設定変更ニツイテ。
自動読ミ上ゲ機能ヲ利用シノスカ?』
「お願いするッス」
『一括指令ハ、魔王ガモッテイルますたーゆにっとカラノミ送信ガカノウデス。
操作ノ手順ハ……』
「ストップッス! いいッス! もう、いいッス!」
まさか魔王サマが持っているアイテムが必要だとは、この方法は使えそうにないッスね。
俺ッチは、しゃべる石版にストップをかけたッス。
「他にはないッスか? もっと誰でも出来る手ごろな感じのヤツがいいんスけど」
『……語群ノ理解ガデキマセン。再度入力ヲオ願イシマス』
あっ、これは聞き方が悪かった時の反応ッス。
え~っと……なんて言えばいいんスかねぇ……
「そうッスね……
例えば、一体の設定が済めば他の機体の設定も勝手に変わる……とか……
あとは……そうっス!
殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を変更させるとか、どうッスか!
で、その変更された殲滅魔道鎧も別の殲滅魔道鎧の設定を変更して回るんスよ!
そうすればあっという間に終わると思うんスよ!」
俺ッチは思いついたままを、石版に話して聞かせたッス。
『……』
石版は考え込んでいるのか、少しの間黙ったままだったッス。
『……該当項目ナシ』
やっとしゃべりだしたと思ったら、これッス。
やっぱり、そんな簡単には行かないもんスね。
地道に一体づつやるしかないスかねぇ……
『デスガ、関連性ノ高イト思ワレル項目ガ複数アリマス。
自動読ミ上ゲ機能ヲ利用シノスカ?』
「おっ! お願いするッス!」
『語群“一体の設定が済めば他の機体の設定も勝手に変わる”ニツイテ。
関連性ノ高イト思ワレル項目・りんくこぴーニツイテ。
語群“殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を変更させる”ニツイテ。
関連性ノ高イト思ワレル項目・行動設定ノ変更・指定行動ノ実行・繰リ返シ動作ノ設定・りんくこぴーノ設定
以上、ガ上ゲラレマス』
「えっと……とりあえず、一つづつ説明して欲しいッス……」
それから、俺ッチは石版の説明を聞いたッス。
まぁ、概要をまとめるとこんな感じッスね。
殲滅魔道鎧って言うのは、そもそも単体同士の連絡が可能らしいんスよ。
で、非常時……例えば魔王サマとの連絡が途絶した場合なんかに、固体同士が連絡を取り合って情報を共有する事が出来るらしいんスね。
このとき、必要であれば受信側の殲滅魔道鎧に自分の設定をコピーする機能もあるそうッス。
この機能が利用される状況の例が幾つかあったッス。
例えば、敵が強くて、または複数で、自身が不利であると判断した場合に戦う仲間を増やす時なんかが該当するらしいッス。
他にも、基本行動を決めてその通りに動かしたり、ある条件で別の行動に切り替わったりといろいろ出来るそうッス。
但し、これらの方法は殲滅魔道鎧同士が近距離……具体的には半径100mくらいらしいッスけど……にいないと出来ないらしいんスよ。
全体を一斉に、となるとやっぱり魔王サマが持ってるアイテムが必要らしく無理みたいッス。
それに、さっきの放送だとそれもうまく行ってないようなことを言っていたッスしね……
そんな石版の説明を一通り聞いた俺ッチは、ピーンっと閃いたッスよ!
「隊長っ!! 名案っ! 名案を思いついたッス! これが成功すればあっという間に解決ッスよ!」
「お……おう……そうか、そいつはすげーな……俺には端末がナニ言ってんだかさっぱりだったが……」
俺ッチは、いつの間にか一緒になって石版の話を聞いていた隊長にそう言うと、早速行動に出たッス。
「そうと決まれば、さっそく殲滅魔道鎧を捕まえに行くッスよ!!」
「おっ、おう……」
と、言うわけで近場をウロウロしていた殲滅魔道鎧を一体確保したッス。
俺ッチは手馴れた動作で殲滅魔道鎧の背面ハッチを開けたッス。
素早く潜り込んで、殲滅魔道鎧の石版の前で手持ちの石版を取り出したッス。
「じゃ、よろしくお願いするッスよ!」
『了解シマシタ。
殲滅魔道鎧ニ新タナ指令ヲ上書キシマス』
石版はそう言うと、表面に一本の棒のような絵が映し出されたッス。
よく見ると棒の端っこには、棒とは別の色のシミみたいなのがあったんスけど、ジッと見てたらそのシミが少しづつ広がっていったッス。
……なんとなくッスけど、これって作業が終わるまでの時間を表しているんじゃないッスかね?
シミが棒を埋め尽くしたら終わり……みたいな……
まぁ、とりあえず作業が終われば石版が教えてくれるらしいッスから、俺ッチは待ってるだけでいいッス。
俺ッチは、殲滅魔道鎧の中に手持ちの石版を残して、背中のハッチからひょいっと飛び降りたッス。
「新入り、オメェさっきから一体ナニしてんだ?」
飛び降りた俺ッチに、隊長が近づいてくるとそんな事を聞いてきたッス。
俺ッチは、隊長に今してることを簡単に説明したッス。
ずばり!
“殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を書き換えさせちゃおうぜ”作戦ッス!
概要はこうッス。
まず、はじめに一体の殲滅魔道鎧を確保するッス。
で、その殲滅魔道鎧に新しい命令を覚えさせるんスよ。
内容は、“魔王城内に散らばっている殲滅魔道鎧を探索して、発見次第帰還命令で上書きする”ッス。
但し、この時ある条件を加えるッス。
一つは、発見・遭遇した殲滅魔道鎧がまだ新しい命令に書き換えられていない機体だった場合は、探索と書き換えの続行。
一つは、発見・遭遇した殲滅魔道鎧が、既に書き換え済みの機体であった場合は三度の接触を持って、帰還命令を発動、作業を終了して帰還する事。
以上の二つが付け加える条件ッス。
一つ目は、書き換えて直ぐに帰還されると結局人手(俺ッチ含めて人じゃないッスけど……)が増えないッスから、ある程度の数を確保するための防止策ッス。
二つ目は、最終的に増えた人手を減らす方法ッス。
三回、っていうのは石版が決めた数ッス。
俺ッチにはよく分からないッスけど、それで十分らしいッス。
順調に進めば、最終的に残るのは一体になるそうッス。
その残った一体を魔王サマの単体命令で回収すれば、この任務は達成されるッス!
ちなみに、この殲滅魔道鎧への命令は俺ッチたちが殲滅魔道鎧を探している間に石版に頼んで作って貰ったッス。
「新入り……オメェ、すげーな……何言ってんのか、さっぱりだったが……うん。なんか、けずーな……」
俺ッチの説明を聞いて、隊長は終始そんなことを言っていたッス。
ポーン
『上書キ作業ガ完了シマシタ。上書キ作業ガ完了シマシタ。』
隊長に、今回の作戦の説明が終わったところで石版から作業完了の知らせが聞こえたッス。
俺ッチは、素早く殲滅魔道鎧の中に潜り込むと石版を回収して、ハッチを閉めて飛び降りたッス。
……
……
あれ?
直ぐに動き出すたと思ったッスけど、殲滅魔道鎧は全然動く気配もなくじっとしたままだったッス。
「動かないッスよ?」
分からないことは、とりあえず石版に聞くのが早いッス。
『指令ノ実行ヲシテイマセン。実行シマスカ?』
さっきみたいに、背中を閉めれば勝手に動くって事ではないらしいッスね……
「お願いす……」
俺ッチは、石版に殲滅魔道鎧を動かすように頼もうとしたとき、ふと思ったッス。
殲滅魔道鎧は侵入者の迎撃が主任務になっている所為か、何かを探すようにとってもゆっくり動いていたッス。
それこそ、移動速度なんて俺ッチたちが歩いて追いつけるくらいの速度ッス。
敵を見つけたら、早く動くのかもしれないッスけど基本速度がコレだと、あんまり役に立ちそうにないッス。
「今から殲滅魔道鎧の移動速度を早くする事って出来るッスかね?」
『高速機動もーどデ起動スレバ可能デス』
「じゃあ、それでお願いするッス」
『倍率ノ設定ヲオ願イシマス』
「倍率? まぁ、一番速くでいいんじゃないッスかね?」
『……設定完了。殲滅魔道鎧起動シマス』
ヴォォン
石版の言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、殲滅魔道鎧が低い唸り声を上げてブルルっと体を振るわせると……
ドッドッドッドッド……ドシュュュュューーーーーーー!!!
「……」
「……」
何だか、すごい速さどっか行っちまったッス……
『殲滅魔道鎧・個体番号0203号正常ニ稼動中……
新規命令、拡散中……』
俺ッチと隊長はそのあまりの速さに、走り去る殲滅魔道鎧の背中を呆然と見送ったまま、しばらくその場に固まってたッス。
石版がそんな事を言って来たのは、俺ッチと隊長がようやく正気に戻った頃だったッス。
「えっと……今どうなってるか分かるッスか?」
『現状ノ作業進行度ノ表示ナラ、可能、デス』
「お願いするッス」
俺ッチたちは石版へと目を落とすと、さっきと同じようにそこには魔王城の地図が映し出されていたッス。
ただ、さっきよりもずっと広い範囲を写していて、地図の上には青い点と赤い点がいっぱい写っていたッス。
青い点が書き換え済みの機体を表していて、赤が未だの機体だと石版は教えてくれたッス。
映し出されている範囲だけで言えば、青と赤は半分づつくらいだったんスけど、見ているうちに次々と青に変って行ったッス。
「おおー! どんどん色が変って行くッスよ!」
「ホントだな。これなら直ぐ終わっちまいそうだな」
俺ッチの横から、一緒に石版を覗き込んでいた隊長も感心したように言っていたッス。
しばらく石版を見ていると、見える限りの赤い点が全て青い点になったッス。青い点たちは少しだけうろうろしたあと、自分たちの所定の格納庫へと帰っるように移動して行ったッス。
「おぉ新入り! 御手柄だなぁおいっ!」
「そっ、そうッスかね?」
「ったりメェだろっ! オメェが考えた方法でうまく行ってんだ!
誰から見ても、オメェの手柄じゃねぇか!
こりゃ、ひょっとすると魔王様から褒美の一つも出るかもしれねぇなっ!
隊長はガハガハ笑うと、俺ッチの背中をバシバシ叩いたッス。
褒美……ご褒美ッスか……
正直、叩かれてる背中が痛かったッスけど、俺ッチの頭の中は隊長が言った“ご褒美”の事で一杯でそれどころじゃなかったッス!
ボーナスッスかねぇ……それともおいしい食べ物ッスかねぇ……なんッスかねぇ……なんッスかねぇ!
「褒美が出たら、かーちゃんと妹たちにうまいモンでも食わせてやんなよ」
「うッス!」
俺ッチはその時、隊長にほくほく顔でそう答えたッス。
おっかぁたち……喜んでくれるッスかね……
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ところ変わって魔王城内・とある通路
「ったく……なんでポクたちがこんな面倒なことをしなくちゃならないニョロ?
歩きっぱなしで足が疲れたニョロ!」
「ふぅ~、もうその台詞は聞き飽きたプヨ……魔王様の命令なんだから仕方ないプヨ。
ぶつくさ言ってないで、さっさと仕事するプヨ」
無駄に長い通路を、プヨプヨニョロニョロと歩いて(?)いたのは、一匹のスライムと一匹のローパーだった。
ローパーの手(?)には、コボルトのコーボルティウスと同じ石版が握られて(?)いる。
彼ら(?)もまた、コーボルティウス同様、魔王の命によって殲滅魔道鎧の回収作業中に従事していたのであった。
「ん? 今何か聞こえなかったプヨか?」
「……前から気になってたニョロが、スライムってどうやって音を認識してるニョロか?」
「……今、それをつっこむプヨか……それを言ったら、ローパーの足って何処から何処まで足プヨか?
歩くのが疲れたって言ってたプヨが、そもそもどうやって歩いているプヨ?
システムが理解出来ないプヨ」
「……スライムがそれを言うニョロか……それを言ったらポクたちの声は何処から出ているのかと言うことに……」
ゴゴッ……ゴゴゴッ……ゴゴゴゴッッ!
二匹が不毛な会話をしていると、進行方向より何やら鈍い……重く大きな物が転がるような重低音が響いてきた。
間違いない。
スライムが聞いたという物音は、コレのことだろう。と、ローパーは確信した。
二匹は揃って、暗がりに沈む通路の先をじっと見つめた……
スライムやローパーの目が何処にあるのかとか、細かい事を気にしてはいけない。
とにかく見つめていたのだ。
すると……
キラッ
一瞬、スライムには何かが光ったように見えた。そして、次の瞬間には……
ズゴゴゴゴゴゴゴォォォ!!!!
「へぶぉっ!!」
何か……とても巨大な何かが、スライムの横を猛スピードで通り過ぎて行った。
あまりの速さに、スライムにはソレが何であるかなど認識すら出来なかった。
だだ呆然としていたスライムだったが、ふと違和感を覚え、先ほどまでローパーがいた場所へと振り向いた。
……この際スライムの首が何処にあるのか、とか野暮なことは気にしてはいけない。
とにかく、振り向いたのだ。
「……ロパ太郎?」
振り向いたその先に、数秒前まで確かにそこにいた見知ったローパーの姿は無かった。
そこに残っていたものと言えば、無残に割り砕かれた床石がまるで畑の畝(うね)の様に掘り起こされていた跡だけだった。
その跡は、闇の中から生まれ、そして闇の中へと消えて行った……
バシュッ!!
その闇の中で、眩い閃光が迸(ほとばし)ったのを、スライムは見た。
その閃光が、転送魔法の輝きである事を、スライムは知っていた。
今、この辺りにはスライムとローパー以外誰もいない……それはつまり……
「ロっ、ロパ太郎っ!!」
キラッ
その闇の中で、スライムには何かが光ったように見えた。
それは転送魔法とは違う光だ。そして、次の瞬間には……
ズゴゴゴゴゴゴゴォォォ!!!!
「げぼらぁ!!」
何が起きたかなど、スライム自身にも分かりはしなかった。
ただ、なんなくなのだが……自分は何か凄く重いものに踏み潰されたんだな……という感覚だけはあった。
薄れ行く意識の中、スライムは見覚えのある輝きに自分が包まれて行くのを感じた。
バシュッ!!
それは、転送魔法の輝きだった。
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スライムとローパーのような出来事は、魔王城内の至る所で起きていた。
ある者はローパーと同じく正面から、また、ある者は背後から、はたまたある者は曲がり角の出会い頭に……これが好みの異性であれば恋の一つも生まれそうなものだが、相手があの殲滅魔道鎧であればそんなこと望むべくもない。
待っているのは、速度と質量の圧倒的なまでの暴力だった。
言うまでも無い事だが、ローパーを跳ね飛ばし、スライムを踏み潰し、各種魔物たちに即死級のダメージを与えて回っているのはコーボルティウスによって新たな命令に書き換えられた殲滅魔道鎧たちであった。
今や魔王城・城内は阿鼻叫喚の地獄絵図の様相を呈していた。
魔王城で地獄絵図とは……実に言い得て妙である。
飛び交う怒声、上がる悲鳴、何かがぶつかる破壊音、崩れる崩壊音……エトセトラ、エトセトラ。
コーボルティウスは、殲滅魔道鎧の命令の設定時に、一つ決定的な重大ミスを犯していた。
それは、周囲への安全確認……端的に言ってしまえば“味方に危害をあたえない様にする事”というのを一切考慮に入れなかった事だった。
コーボルティウスの話を聞き入れた操作端末は、プログラム自動生成システムを駆使しコーボルティウスの提案を忠実に再現したプログラムを作り上げ、殲滅魔道鎧へと流し込んだのだのだ。
こうして、与えられた命令をただ忠実にこなすのみの“滅殺人形”が爆誕したのである。
城内で殲滅魔道鎧の回収に従事していた、コボルト二匹を除く全ての魔物たち(ヘル担当魔物含む)が全滅したのは、滅殺人形一号が稼動を開始して、実に5分後の出来事であった……
そして、この惨事を彼は……コーボルティウスは、未だ知らない……
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豆知識その5
ローパーの本名は 山田 ロパ太郎 です。
最近の悩みは、前髪のセットがキまらないことです。
どうでもいいですね。はい……
ちなみにスライムの本名は 緑野 すらり~ん です。
“~”も名前の一部です。“ー”ではダメなのです。
ホントどうでもいいですね……はい。
今しばらく彼らの活躍に、お付き合いください。
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「……にしても、若けぇモンの適応力ってのは、スゲーな……」
「そーッスか? 慣れれば簡単ッスよ? この石版もチョー便利ッス!」
隊長が、俺ッチが作業しているのを後ろから覗いてそんな事を言ったッス。
最初こそ、戸惑ってなかなかなうまく行かなかったッスけど、流石に4体目ともなれば楽勝ッスよ。
俺ッチは殲滅魔道鎧の背面ハッチ開けると、その中に潜り込んで各種設定の変更をしていったッス。
殲滅魔道鎧のハッチの中には石版(正確には、操作端末って言うらしいッス)と同じような物が入っていたッス。
後は、手持ちの石版に設定方法を聞いて、言われた通りにするだけでオッケーッス。
とは、言っても設定方法は全部同じッスから覚えちまったスけどね。
俺ッチでも出来るくらいの簡単な作業だったッスけど、何故か隊長はうまく出来ないらしいんスよ……
一度、隊長と作業を交代したんすけど、結局上手く出来なくて、それからはずっと俺ッチが作業を担当してるッス。
「はい。これでまた一体設定完了ッス!」
俺ッチが背面ハッチを閉じると、殲滅魔道鎧はブルルっと小さく震えるとユラユラと自分の部屋へと帰って行ったッス。
「これでやっと4体目か……あと何体残ってんだ?」
『現在、2754体ノ殲滅魔道鎧ガ稼動中デス』
隊長のぼやきに石版が反応して、律儀に残りの数を教えてくれたッス。
この石版は聞けばなんでも答えてくれるッス。
聞いても答えてくれない時は、聞き方が悪い時ッスね。丁寧に聞けば、間違いなく答えてくれるッス。
俺ッチは、作業中ずっと石版と話していたッスから、どう聞けば石版が答えてくれるか大体理解したッス。
「うげっ!? まだ、100体も減ってねぇのかよ……」
隊長はそう言って顰めっ面をすると、ヘナヘナとその場に座り込んだッス。
……隊長、別に何もしてないじゃないッスか。
とは、思ったッスが、口には出さなかったッス。
言ったら、絶対怒られるッス……
でも、確かに進み具合は遅いッスよね……
先輩方も奮闘しているとは思うッスけど、このままの作業スピードだと正直いつ終わるかまったく分からないッス。
何か良い方法はないッスかね……
「まとめて設定を変更する方法ってないッスか?」
俺ッチは持っていた石版に尋ねたッス。
『……該当アリ。
一括指令ニヨル設定変更ニツイテ。
自動読ミ上ゲ機能ヲ利用シノスカ?』
「お願いするッス」
『一括指令ハ、魔王ガモッテイルますたーゆにっとカラノミ送信ガカノウデス。
操作ノ手順ハ……』
「ストップッス! いいッス! もう、いいッス!」
まさか魔王サマが持っているアイテムが必要だとは、この方法は使えそうにないッスね。
俺ッチは、しゃべる石版にストップをかけたッス。
「他にはないッスか? もっと誰でも出来る手ごろな感じのヤツがいいんスけど」
『……語群ノ理解ガデキマセン。再度入力ヲオ願イシマス』
あっ、これは聞き方が悪かった時の反応ッス。
え~っと……なんて言えばいいんスかねぇ……
「そうッスね……
例えば、一体の設定が済めば他の機体の設定も勝手に変わる……とか……
あとは……そうっス!
殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を変更させるとか、どうッスか!
で、その変更された殲滅魔道鎧も別の殲滅魔道鎧の設定を変更して回るんスよ!
そうすればあっという間に終わると思うんスよ!」
俺ッチは思いついたままを、石版に話して聞かせたッス。
『……』
石版は考え込んでいるのか、少しの間黙ったままだったッス。
『……該当項目ナシ』
やっとしゃべりだしたと思ったら、これッス。
やっぱり、そんな簡単には行かないもんスね。
地道に一体づつやるしかないスかねぇ……
『デスガ、関連性ノ高イト思ワレル項目ガ複数アリマス。
自動読ミ上ゲ機能ヲ利用シノスカ?』
「おっ! お願いするッス!」
『語群“一体の設定が済めば他の機体の設定も勝手に変わる”ニツイテ。
関連性ノ高イト思ワレル項目・りんくこぴーニツイテ。
語群“殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を変更させる”ニツイテ。
関連性ノ高イト思ワレル項目・行動設定ノ変更・指定行動ノ実行・繰リ返シ動作ノ設定・りんくこぴーノ設定
以上、ガ上ゲラレマス』
「えっと……とりあえず、一つづつ説明して欲しいッス……」
それから、俺ッチは石版の説明を聞いたッス。
まぁ、概要をまとめるとこんな感じッスね。
殲滅魔道鎧って言うのは、そもそも単体同士の連絡が可能らしいんスよ。
で、非常時……例えば魔王サマとの連絡が途絶した場合なんかに、固体同士が連絡を取り合って情報を共有する事が出来るらしいんスね。
このとき、必要であれば受信側の殲滅魔道鎧に自分の設定をコピーする機能もあるそうッス。
この機能が利用される状況の例が幾つかあったッス。
例えば、敵が強くて、または複数で、自身が不利であると判断した場合に戦う仲間を増やす時なんかが該当するらしいッス。
他にも、基本行動を決めてその通りに動かしたり、ある条件で別の行動に切り替わったりといろいろ出来るそうッス。
但し、これらの方法は殲滅魔道鎧同士が近距離……具体的には半径100mくらいらしいッスけど……にいないと出来ないらしいんスよ。
全体を一斉に、となるとやっぱり魔王サマが持ってるアイテムが必要らしく無理みたいッス。
それに、さっきの放送だとそれもうまく行ってないようなことを言っていたッスしね……
そんな石版の説明を一通り聞いた俺ッチは、ピーンっと閃いたッスよ!
「隊長っ!! 名案っ! 名案を思いついたッス! これが成功すればあっという間に解決ッスよ!」
「お……おう……そうか、そいつはすげーな……俺には端末がナニ言ってんだかさっぱりだったが……」
俺ッチは、いつの間にか一緒になって石版の話を聞いていた隊長にそう言うと、早速行動に出たッス。
「そうと決まれば、さっそく殲滅魔道鎧を捕まえに行くッスよ!!」
「おっ、おう……」
と、言うわけで近場をウロウロしていた殲滅魔道鎧を一体確保したッス。
俺ッチは手馴れた動作で殲滅魔道鎧の背面ハッチを開けたッス。
素早く潜り込んで、殲滅魔道鎧の石版の前で手持ちの石版を取り出したッス。
「じゃ、よろしくお願いするッスよ!」
『了解シマシタ。
殲滅魔道鎧ニ新タナ指令ヲ上書キシマス』
石版はそう言うと、表面に一本の棒のような絵が映し出されたッス。
よく見ると棒の端っこには、棒とは別の色のシミみたいなのがあったんスけど、ジッと見てたらそのシミが少しづつ広がっていったッス。
……なんとなくッスけど、これって作業が終わるまでの時間を表しているんじゃないッスかね?
シミが棒を埋め尽くしたら終わり……みたいな……
まぁ、とりあえず作業が終われば石版が教えてくれるらしいッスから、俺ッチは待ってるだけでいいッス。
俺ッチは、殲滅魔道鎧の中に手持ちの石版を残して、背中のハッチからひょいっと飛び降りたッス。
「新入り、オメェさっきから一体ナニしてんだ?」
飛び降りた俺ッチに、隊長が近づいてくるとそんな事を聞いてきたッス。
俺ッチは、隊長に今してることを簡単に説明したッス。
ずばり!
“殲滅魔道鎧に殲滅魔道鎧の設定を書き換えさせちゃおうぜ”作戦ッス!
概要はこうッス。
まず、はじめに一体の殲滅魔道鎧を確保するッス。
で、その殲滅魔道鎧に新しい命令を覚えさせるんスよ。
内容は、“魔王城内に散らばっている殲滅魔道鎧を探索して、発見次第帰還命令で上書きする”ッス。
但し、この時ある条件を加えるッス。
一つは、発見・遭遇した殲滅魔道鎧がまだ新しい命令に書き換えられていない機体だった場合は、探索と書き換えの続行。
一つは、発見・遭遇した殲滅魔道鎧が、既に書き換え済みの機体であった場合は三度の接触を持って、帰還命令を発動、作業を終了して帰還する事。
以上の二つが付け加える条件ッス。
一つ目は、書き換えて直ぐに帰還されると結局人手(俺ッチ含めて人じゃないッスけど……)が増えないッスから、ある程度の数を確保するための防止策ッス。
二つ目は、最終的に増えた人手を減らす方法ッス。
三回、っていうのは石版が決めた数ッス。
俺ッチにはよく分からないッスけど、それで十分らしいッス。
順調に進めば、最終的に残るのは一体になるそうッス。
その残った一体を魔王サマの単体命令で回収すれば、この任務は達成されるッス!
ちなみに、この殲滅魔道鎧への命令は俺ッチたちが殲滅魔道鎧を探している間に石版に頼んで作って貰ったッス。
「新入り……オメェ、すげーな……何言ってんのか、さっぱりだったが……うん。なんか、けずーな……」
俺ッチの説明を聞いて、隊長は終始そんなことを言っていたッス。
ポーン
『上書キ作業ガ完了シマシタ。上書キ作業ガ完了シマシタ。』
隊長に、今回の作戦の説明が終わったところで石版から作業完了の知らせが聞こえたッス。
俺ッチは、素早く殲滅魔道鎧の中に潜り込むと石版を回収して、ハッチを閉めて飛び降りたッス。
……
……
あれ?
直ぐに動き出すたと思ったッスけど、殲滅魔道鎧は全然動く気配もなくじっとしたままだったッス。
「動かないッスよ?」
分からないことは、とりあえず石版に聞くのが早いッス。
『指令ノ実行ヲシテイマセン。実行シマスカ?』
さっきみたいに、背中を閉めれば勝手に動くって事ではないらしいッスね……
「お願いす……」
俺ッチは、石版に殲滅魔道鎧を動かすように頼もうとしたとき、ふと思ったッス。
殲滅魔道鎧は侵入者の迎撃が主任務になっている所為か、何かを探すようにとってもゆっくり動いていたッス。
それこそ、移動速度なんて俺ッチたちが歩いて追いつけるくらいの速度ッス。
敵を見つけたら、早く動くのかもしれないッスけど基本速度がコレだと、あんまり役に立ちそうにないッス。
「今から殲滅魔道鎧の移動速度を早くする事って出来るッスかね?」
『高速機動もーどデ起動スレバ可能デス』
「じゃあ、それでお願いするッス」
『倍率ノ設定ヲオ願イシマス』
「倍率? まぁ、一番速くでいいんじゃないッスかね?」
『……設定完了。殲滅魔道鎧起動シマス』
ヴォォン
石版の言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、殲滅魔道鎧が低い唸り声を上げてブルルっと体を振るわせると……
ドッドッドッドッド……ドシュュュュューーーーーーー!!!
「……」
「……」
何だか、すごい速さどっか行っちまったッス……
『殲滅魔道鎧・個体番号0203号正常ニ稼動中……
新規命令、拡散中……』
俺ッチと隊長はそのあまりの速さに、走り去る殲滅魔道鎧の背中を呆然と見送ったまま、しばらくその場に固まってたッス。
石版がそんな事を言って来たのは、俺ッチと隊長がようやく正気に戻った頃だったッス。
「えっと……今どうなってるか分かるッスか?」
『現状ノ作業進行度ノ表示ナラ、可能、デス』
「お願いするッス」
俺ッチたちは石版へと目を落とすと、さっきと同じようにそこには魔王城の地図が映し出されていたッス。
ただ、さっきよりもずっと広い範囲を写していて、地図の上には青い点と赤い点がいっぱい写っていたッス。
青い点が書き換え済みの機体を表していて、赤が未だの機体だと石版は教えてくれたッス。
映し出されている範囲だけで言えば、青と赤は半分づつくらいだったんスけど、見ているうちに次々と青に変って行ったッス。
「おおー! どんどん色が変って行くッスよ!」
「ホントだな。これなら直ぐ終わっちまいそうだな」
俺ッチの横から、一緒に石版を覗き込んでいた隊長も感心したように言っていたッス。
しばらく石版を見ていると、見える限りの赤い点が全て青い点になったッス。青い点たちは少しだけうろうろしたあと、自分たちの所定の格納庫へと帰っるように移動して行ったッス。
「おぉ新入り! 御手柄だなぁおいっ!」
「そっ、そうッスかね?」
「ったりメェだろっ! オメェが考えた方法でうまく行ってんだ!
誰から見ても、オメェの手柄じゃねぇか!
こりゃ、ひょっとすると魔王様から褒美の一つも出るかもしれねぇなっ!
隊長はガハガハ笑うと、俺ッチの背中をバシバシ叩いたッス。
褒美……ご褒美ッスか……
正直、叩かれてる背中が痛かったッスけど、俺ッチの頭の中は隊長が言った“ご褒美”の事で一杯でそれどころじゃなかったッス!
ボーナスッスかねぇ……それともおいしい食べ物ッスかねぇ……なんッスかねぇ……なんッスかねぇ!
「褒美が出たら、かーちゃんと妹たちにうまいモンでも食わせてやんなよ」
「うッス!」
俺ッチはその時、隊長にほくほく顔でそう答えたッス。
おっかぁたち……喜んでくれるッスかね……
-------------------------------------
ところ変わって魔王城内・とある通路
「ったく……なんでポクたちがこんな面倒なことをしなくちゃならないニョロ?
歩きっぱなしで足が疲れたニョロ!」
「ふぅ~、もうその台詞は聞き飽きたプヨ……魔王様の命令なんだから仕方ないプヨ。
ぶつくさ言ってないで、さっさと仕事するプヨ」
無駄に長い通路を、プヨプヨニョロニョロと歩いて(?)いたのは、一匹のスライムと一匹のローパーだった。
ローパーの手(?)には、コボルトのコーボルティウスと同じ石版が握られて(?)いる。
彼ら(?)もまた、コーボルティウス同様、魔王の命によって殲滅魔道鎧の回収作業中に従事していたのであった。
「ん? 今何か聞こえなかったプヨか?」
「……前から気になってたニョロが、スライムってどうやって音を認識してるニョロか?」
「……今、それをつっこむプヨか……それを言ったら、ローパーの足って何処から何処まで足プヨか?
歩くのが疲れたって言ってたプヨが、そもそもどうやって歩いているプヨ?
システムが理解出来ないプヨ」
「……スライムがそれを言うニョロか……それを言ったらポクたちの声は何処から出ているのかと言うことに……」
ゴゴッ……ゴゴゴッ……ゴゴゴゴッッ!
二匹が不毛な会話をしていると、進行方向より何やら鈍い……重く大きな物が転がるような重低音が響いてきた。
間違いない。
スライムが聞いたという物音は、コレのことだろう。と、ローパーは確信した。
二匹は揃って、暗がりに沈む通路の先をじっと見つめた……
スライムやローパーの目が何処にあるのかとか、細かい事を気にしてはいけない。
とにかく見つめていたのだ。
すると……
キラッ
一瞬、スライムには何かが光ったように見えた。そして、次の瞬間には……
ズゴゴゴゴゴゴゴォォォ!!!!
「へぶぉっ!!」
何か……とても巨大な何かが、スライムの横を猛スピードで通り過ぎて行った。
あまりの速さに、スライムにはソレが何であるかなど認識すら出来なかった。
だだ呆然としていたスライムだったが、ふと違和感を覚え、先ほどまでローパーがいた場所へと振り向いた。
……この際スライムの首が何処にあるのか、とか野暮なことは気にしてはいけない。
とにかく、振り向いたのだ。
「……ロパ太郎?」
振り向いたその先に、数秒前まで確かにそこにいた見知ったローパーの姿は無かった。
そこに残っていたものと言えば、無残に割り砕かれた床石がまるで畑の畝(うね)の様に掘り起こされていた跡だけだった。
その跡は、闇の中から生まれ、そして闇の中へと消えて行った……
バシュッ!!
その闇の中で、眩い閃光が迸(ほとばし)ったのを、スライムは見た。
その閃光が、転送魔法の輝きである事を、スライムは知っていた。
今、この辺りにはスライムとローパー以外誰もいない……それはつまり……
「ロっ、ロパ太郎っ!!」
キラッ
その闇の中で、スライムには何かが光ったように見えた。
それは転送魔法とは違う光だ。そして、次の瞬間には……
ズゴゴゴゴゴゴゴォォォ!!!!
「げぼらぁ!!」
何が起きたかなど、スライム自身にも分かりはしなかった。
ただ、なんなくなのだが……自分は何か凄く重いものに踏み潰されたんだな……という感覚だけはあった。
薄れ行く意識の中、スライムは見覚えのある輝きに自分が包まれて行くのを感じた。
バシュッ!!
それは、転送魔法の輝きだった。
-------------------------------------
スライムとローパーのような出来事は、魔王城内の至る所で起きていた。
ある者はローパーと同じく正面から、また、ある者は背後から、はたまたある者は曲がり角の出会い頭に……これが好みの異性であれば恋の一つも生まれそうなものだが、相手があの殲滅魔道鎧であればそんなこと望むべくもない。
待っているのは、速度と質量の圧倒的なまでの暴力だった。
言うまでも無い事だが、ローパーを跳ね飛ばし、スライムを踏み潰し、各種魔物たちに即死級のダメージを与えて回っているのはコーボルティウスによって新たな命令に書き換えられた殲滅魔道鎧たちであった。
今や魔王城・城内は阿鼻叫喚の地獄絵図の様相を呈していた。
魔王城で地獄絵図とは……実に言い得て妙である。
飛び交う怒声、上がる悲鳴、何かがぶつかる破壊音、崩れる崩壊音……エトセトラ、エトセトラ。
コーボルティウスは、殲滅魔道鎧の命令の設定時に、一つ決定的な重大ミスを犯していた。
それは、周囲への安全確認……端的に言ってしまえば“味方に危害をあたえない様にする事”というのを一切考慮に入れなかった事だった。
コーボルティウスの話を聞き入れた操作端末は、プログラム自動生成システムを駆使しコーボルティウスの提案を忠実に再現したプログラムを作り上げ、殲滅魔道鎧へと流し込んだのだのだ。
こうして、与えられた命令をただ忠実にこなすのみの“滅殺人形”が爆誕したのである。
城内で殲滅魔道鎧の回収に従事していた、コボルト二匹を除く全ての魔物たち(ヘル担当魔物含む)が全滅したのは、滅殺人形一号が稼動を開始して、実に5分後の出来事であった……
そして、この惨事を彼は……コーボルティウスは、未だ知らない……
-------------------------------------
豆知識その5
ローパーの本名は 山田 ロパ太郎 です。
最近の悩みは、前髪のセットがキまらないことです。
どうでもいいですね。はい……
ちなみにスライムの本名は 緑野 すらり~ん です。
“~”も名前の一部です。“ー”ではダメなのです。
ホントどうでもいいですね……はい。
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