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一章:小学校

怖い夢を見ました。(でもママのおかげで大丈夫です)

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「だめ…はやく…にげて……」

「鞠ちゃん?鞠ちゃん!」

私は身体が揺らされて目を覚ました。
ゆっくりと体を起こすと目の周りが湿っている。たぶん泣いていたのだろう。

「大丈夫?怖い夢でも見ちゃった?」

手で涙を拭って、声の方を見ると優しく私の頭を撫でているママの姿があった。
ママの奥に見える窓の外はまだ真っ暗で、夜なのがわかる。
寝起きの私はぼんやりとした頭でママのお腹のあたりに抱きつく。

「へんなゆめ、みたの…まりが魔法使いで…たくさんの兵隊さんを…魔法でいっぱいいっぱい火で焼いて…でも最後にまりが燃やされちゃうの…」

「そう…怖い夢だったわね…」

「うん…」

「すぐに寝られそう?」

「眠たいけど…怖い…」

「そうよね…じゃあ、ママがおまじないをかけてあげるわね。鞠ちゃんが次は楽しい夢を見られますように…」

ママはそういうと私のおでこに自分のおでこをくっつけた。

「これで鞠ちゃんは次は楽しい夢が見られるわよ。」

「ほんと?」

「うん!だから今日はもうおやすみなさい…」

「うん…おやすみなさい」

私は枕に頭を置き、それに合わせてママも横になり布団をかぶせる。
私の意識はまた夢の世界へゆっくりと歩を進み始め、もう眠りかけるところで、ママは呟いた。

「大丈夫…これからは前世のようなことは起きないわ…」
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