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2章.学園祭

フラッグ防衛戦

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お嬢様が旗を取りいかれて周囲を警戒する。

「そんなすぐにこないよ。今から気を張るといざってとき動けなくならない?」

またこいつはそんな呑気なことを…。

「相手が何人でどんな攻撃をしてくるかわからないだろ。」

「でもまだ開始してすぐだよ?」

「もしかしたらということもあるだろう」

「んー…どういうとき?」

クロバは俺に聞く。
そうだな…開始直後でもここに来る方法…。

「例えば筋力強化でここまで1人投げるとか」

「それならもう来てもいいころだけど、それなりに音も出ちゃうだろ?」

「確かに…ではサフラのように加速するとか」

「この木を生い茂る中を?水の上はさすがに無理だろうし、この崖を登るのも大変だろう」

「そうか…」

いつの間にかクロバとフラッグをどうやって開始直後で取りにいけるかの談義になっていた。

「いやいや、それじゃあやっぱりさ…」

「そうか?じゃあ……」

俺は言葉を止めた。

「クロバ、わかるか?」

「もちろんさ、なんなら場所を当てあうかい?」

「そんなふざけてる暇があるかもわからないだろ?」

「でも気配が感づかれてる時点で大丈夫だと思うんだけど…」

話の途中で川から細かい氷の弾が飛んできた。
クロバはそれを全て風で吹き飛ばし、俺も木刀で全て叩き落とした。

「そんな簡単に落とされるとちょっとショックだなぁ」

川の近くの木の影から女の子が出てきた。

「始めまして、1組のナナカ・ラビーサと言います。」

ナナカはスカートの端をもち淑女の礼をした。
お嬢様と同じ貴族か…?

「これはご丁寧にどうも、6組のクロバ・フェズと言います」

そう言ってクロバは右手を胸に当て紳士の礼をする。

「そんな呑気なことを…」

「いやいや、された礼は返さないと。これでも一応僕は貴族だからね」

「そうか」

もうこいつのやることにつっこんでたらきりがない。
これからはスルーしていこう。

「それで、お前は1人で俺たちを相手すると?」

「うーん…ほんとは2人なんですけど…1人はまだ来てないみたいですね…」

ということは2人でフラッグを取りに来てるのか…。ん?待てよ…?
俺はふと疑問に思ったことをナナカに聞いた。

「……お前、それ言ってよかったのか?」

「「………」」

しばらくの無言。

「しまったぁぁぁ!?敵に情報を与えてしまいました!?どうしましょう!これじゃチュロちゃんの奇襲がぁ!」

「ということは君は囮かぁ…これは1人フラッグを離れない方がいいね」

「そうだな」

「あぁぁぁ!?私また情報を…!?」

ナナカは頭を抱えて落ち込んでいた。
なんかこいつに似てるやついた気がする…。

「なんかどことなくオシロちゃんに似てるね」

「奇遇だな。俺もそう思ってた」

特にドジってすぐに同じドジ踏んで落ち込むところがな…。

「で、でも!ここで頑張れば失敗も取り戻せます!いきますよ!」

ナナカが叫ぶとまた川から氷が飛んでくる。
俺はもう一度木刀で叩き落として、ナナカの方へ向かう。

「クロバ、フラッグたのむ」

「わかった、頑張って」

クロバは手を振りながら言う。
とことん呑気なやつ…。
俺はそのまま木刀を構えてナナカを攻撃した。
しかしナナカは後ろに飛び避け、そのまま木のエリアの方へ下がっていく。

罠か…?奥で俺をさっきの氷で迎え撃つ?いや、この木の中じゃまともに当たらないだろう…。
あいつの耳からして兎族だろう。兎族の特性は『氷晶』。
冷気を操れると聞いたが、手元の水を固めることくらいしかできないはずだ。

俺はそのまま木刀を握り直しナナカを追いかけた。
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