上 下
39 / 61
2章.学園祭

楽しいクッキー改良計画!

しおりを挟む
買い物を終えた次の日の放課後。
私は家庭科室にクッキー製作係を集まってもらった。

「みんな、また集まってくれてありがとう。実は、私このままだとクッキーは売上トップにならないと思ってるの」

私の発言にネムノちゃんを除くクッキー係5人は驚いているようだった。
まぁ、そうだよね。発案者は先生だけど、作った本人が売れないとか言い出したら。

「アイリスさん。大丈夫だよ!クッキーは十分美味しいしこれなら絶対…」

「いえ!これじゃダメなの!」

係の1人が元気づけようとしてくれたのかその発言を私は容赦なく切った。
私の声に驚いたのかちょっと怯えたような声をあげていた。ごめんなさい…。

「だってそうじゃない?クッキーは美味しいけど、味が1つしかないですもの。」

「それはしょうがないんじゃないのかな…お砂糖は甘いだけだし…」

「そこで、私とネムノちゃんで昨日話し合いで決まったんだけど、ここにいる7人で新しいクッキーの味を作って売るの!」

私の案を聞いてネムノちゃん意外は不安そうにしていた。

「そこで、一昨日ネムノちゃんが試作してたものがこれなんだけど、みんな食べてみて」

私はネムノちゃんが一昨日作ったココア味のクッキーを出した。

「なにこれ?」

「真っ黒だね…焦がしちゃったの?」

「でもネムノちゃんってお料理上手だし焦がすなんて…」

「ささ、みんな食べてみて!」

ざわつくみんなにココアクッキーを渡していく。
恐る恐るみんなは食べた。

「変わった味…少し苦いけど…甘い?」

「あ、でも私この味好きかも…」

「私は普通の味の方が好きかな…甘いの好きだし…」

クッキーを食べてそれぞれが感想をのべているのを見計らって私は味を増やす理由をのべた。

「今、みんなはこれを食べて好き嫌いが出たよね?つまり、お客さんも好き嫌いが出てくるの」

私の言うことでみんなが気がついた。
そう、クッキーは美味しい。それはわかってる。だけど、それは飽きるのだ。5日もある学園祭、毎日来てくれる人もいるらしい中で、そんな人達を初日以降来てくれなくなるのはもったいない。

「つまり、私達で普通の味以外のクッキーを作って、飽きないようにするってこと?」

「そういうこと!そこで、昨日ネムノちゃんと材料を買ってきました!」

私の声に合わせてネムノちゃんが昨日買ってきたプアルとオレーを出した。

「ここにある材料以外も家庭科室にあるものなら使っていいって先生が言ってたから1人1つ、味を作ってみよう!」

「あ、あのアイリスさん…」

「なに?」

「私…レシピとおりになら作るのはできるけどそんな工夫なんて思いつかないよ…」

さすがに急に味をつくれと言われても困るか…。しかし!それも想定済み!

「大丈夫!とっても簡単だから!でもここからはネムノちゃんに説明してもらって!私これからクラス対抗の訓練だから。それじゃあネムノちゃん、後はよろしくね。あ、訓練が終わったら試食に先生達を連れてくるからそれまでに頑張ってみて!」

「うん!アイリスちゃん、頑張ってね!」

私はネムノちゃんに見送られて訓練室へ向かった。

あぁ…ネムノちゃんのエプロン姿で見送り…頑張れる気がする…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

あれ?なんでこうなった?

志位斗 茂家波
ファンタジー
 ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。  …‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!! そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。 ‥‥‥あれ?なんでこうなった?

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

処理中です...