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1章.入学

心配性のオシロ

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心配だ…。ただただ心配だ…。
お嬢様が給食の1件から雰囲気が違う…。
こういう時のお嬢様は何か起こすと私はこの3ヵ月のメイド業務で理解した。

そんなお嬢様が包丁を持つだなんて!!
とりあえず、私も調理を始めよう…。何かあったら支えよう…。

私の予定の料理は無難に焼き魚にした。私は魚が好きなので調理実習の話が出た時からもうすでに決めていた。

ただ、課題としてなにか一つ工夫を加えるということで、ただ魚を焼くだけではいけないのだ。

そこで、私は理想の焼き魚を作ることにした!
それは…骨を気にしなくていい焼き魚!
あの骨のせいで何回喉が大変なことになったか…。そこで、魚を背中から開いて骨をすべて取って、さらに味を均等にするため中にも塩をかけてじっくり焼く!

これで完璧な焼き魚ができるはず!
これは我ながらいい料理になったんじゃないかなぁ…!

自分で自分の発想を褒めて骨を取った魚をオーブンに入れた。

自分の作業がひと段落着いたところでお嬢様の様子を見に行くことにした。

何やらマトー(トマト)とニーオン(玉ねぎ)と格闘中だった。

「お嬢様、大丈夫ですか?お手伝いいたしましょうか?」

「あ、オシロちゃん。ううん、大丈夫だよ!料理は愛情!自分でやらないと気持ちは伝わらないからね!」

「は、はぁ…」

お嬢様のエプロン姿…可愛い…。っとそんなこと言ってる場合じゃない…。

「ですが、お嬢様に刃物を持たせるなど…」

「うーん、私ってそんなに心配?」

読まれた!?

「い、いえ。そういうわけでは‥」

「じゃあ、大丈夫だよね!オシロちゃんも自分の作業に集中して!」

「は、はい…」

私は大人しく自分の調理台に戻った。

それにしても…あんなにたくさんのマトーどうするんだろ…?
気にしてもしょうがないし、私の調理に集中しよ。

オーブンが焼けたと音がなると私はオーブンの蓋を開けて魚を取り出した。

お、美味しそぉー!この魚、骨がないから苦労なく食べられるんだよね!?あぁ…自分の分も作っておけばよかった…。

私は先生があらかじめ2人分作るよう言っていたので、先生2人分ともしよかったらとお嬢様の分を焼いていたが、できばえをみて、自分が食べたくなった。
しぶしぶ、それを皿に盛り付けて先生のところへ持っていった。

「どうぞ、私の理想の焼き魚です」

先生2人が目の前に置かれた焼き魚を見て、学院長先生が私に聞いてきた。

「普通の焼き魚とどう違うんだね?」

「私は焼き魚が好きで、食べる時に骨があるのが嫌でした。だからそのめんどくささを省くために、焼く前に魚を開いて骨をすべて取り出し、味が均等になるように中にも塩をかけました」

私は焼き魚の説明をすると学院長先生がほぉと感心したような声を出して、先生2人が魚を食べた。

「うむ、確かに骨がないから食べやすい」

「中にも塩をかけることでどこでも適度な塩の味がして美味しいですね」

「ありがとうございます!」

「しかし、食べる側への配慮は完璧ですが、工夫が少々普通ですね」

「は、はい…」

「でも充分美味しかったので、オシロちゃん合格です」

「ありがとうございます」

私はお礼だけ言って片付けをするために調理台へ戻った。

……いいもん。普通でも私はこれが好きなんだもん!!






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