獣たちに愛をこめてっ！

序章

プロローグ

昔々、半獣達が住むこの世界「アニマ」では激しい戦争が起こっていました。

その戦争はなぜ起きたのか、理由は簡単、「どの種族が1番強いのか」という疑問が出たからです。ある種族では「私達のこの立派な角でならどんな者でも貫き倒せる」と、ある種族では「自分のこの牙であればどんな者でも噛み砕く」と。自分の種は絶対的に優位であり他に劣るということはありえないと主張し、争いに発展していきました。

争いは戦争になり、数十年にも渡り続いて行きました。その意味の無い戦争は皆を不幸にし、たくさんの人たちが死んでいきました。その悲劇を狐族のある少年が止めたのです。少年は勇気を出し、各種族の長に対し質問をしたのでした。

「なぜ、争わなくてはならないのか」

と。その純粋でまっすぐな問に対して各種族は幾年をも前の先祖のように自分達の優れている点を述べたのです。それを聞き少年は他の者が持っていない物を誇ったところで、どうすれば決着がつくのかと、続けて質問をしました。その質問に長たちは答えることなどできませんでした。それもそのはずです。

今までしてきたことは自分達の武器をただただふりかざしては自慢し、他を苦しめてきただけなのですから。それに気がついた長たちは狐族の少年を介し、仲を取り戻し、今の平和な世界「アニマ」ができたのでした。しかし、その狐族の少年はその後、どの種族の前にも姿を見せる事はなかったのでした。