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8巻
8-3
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「……さ、レガール。二人の邪魔をしてはいけないわ」
「ん? あぁ、そうだな」
「それじゃあサキちゃん、レオン。またね」
レガール様とメイリー様は立ち上がり、私とレオンさんに手を振って部屋を出ていった。
部屋の外から「それじゃあ、約束通り私の買い物に付き合ってもらうからね」という明るい声が聞こえてくる。
どうやらこのあと、メイリー様とレガール様はショッピングのようだ。
そんなこんなで、レオンさんの部屋で、二人きり。ドキドキしてしまう。
レオンさんも少し気まずそうに視線を斜め上に向けながら、口を開く。
「なんかごめんよ、サキ」
「い、いえ! 大丈夫です」
それから少し間が空いて、レオンさんが言う。
「兄さんと戦って、どうだった?」
「強かったです。対応力がネル流剣術の真髄なのに、他流派の技を組み合わせられたことで互角……いや、上回られちゃいました」
「ははっ、確かにね。僕もネル流を学んでからはそこそこ戦えている気がするけど、それでもまだ兄さんの底は見えない。やっぱり兄さんの剣術や体術のセンスはずば抜けてるよ。でも、サキはいい線いってたじゃないか。剣を弾き飛ばしたんだし」
「でも、他の武器を持ってる可能性を考慮できてませんでした。やっぱりまだまだです」
そう、刺し違える覚悟で――なんて思っていたけど、結局レガールさんに最後の攻撃を避けられている。あれが真剣勝負だったなら、負けていたことだろう。
私が両手を握ってグッと気合を入れると、その様子を見てレオンさんが私の頭を撫でた。
レオンさんの手の温もりが頭から伝わってくる。
目を閉じて、その熱に身を任せると、安らかな気持ちになる。
……って、これ、結構恥ずかしいシチュエーションなんじゃ!?
かぁっと体温が上がり、体がびくっと震える。
するとレオンさんは手を離して「ごめんごめん、つい」と謝ってきた。
いざ手が離れていくと、『もう少し撫でてくれてもいいのに』と思ってしまう。
恥ずかしくてそんなこと、言えないけど。
その代わりに私は、話題を変えることにした。
「あ、あの……レオンさんはその……もし自分がクロード家の当主になったら……」
レオンさんは、めちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
たまにレオンさんはこの表情を浮かべるんだけど、いつもの凛々しい顔と違ってわがままな子供みたいで可愛いんだよねぇ!
「ありえないね。僕は次男だし、兄さんに何かない限り僕は将来、この屋敷を出ていくつもりさ」
それを聞いて、私はふと思い出す。
「そういえばレオンさん。泊まりがけでお出かけして、夜に外で涼んでいた時、私に何か言いかけてませんでしたっけ? 確か……一緒になんとか……みたいな」
「あぁ」
レオンさんは下を向いて、それからキリッとした顔をこちらに向けてくる。
「……サキ、これは僕のわがままだし、君には君の幸せの形がある。だからこの申し出は断ってくれてもいい」
そ、そんなにまっすぐ見つめられたら照れちゃうというかぁ! そんないい顔……うぅ、私からしたら凶器だよ! ある意味顔面兵器だよ!
「サキ」
もう一度レオンさんに名前を呼ばれて、私の体が跳ねる。
「ひゃ、ひゃい!」
こんなに真剣なレオンさんも珍しい……まさか私に告白する気じゃないよね!?
だとしたらな、なんて返事をしよう!? よ、よろしくお願いします? いやいや、普通すぎるよね……私も大好きですとか!?
「サキ、いつか僕と一緒に冒険者として旅に出ないかい?」
「……へ?」
予想と少し違う言葉だった。
いや、ちゃんと考えれば文脈的に告白される場面じゃないってわかったはずなのだ。
浮かれすぎちゃったなぁ。
でも、レオンさんと一緒に旅に出たら……きっと楽しいだろう。
私もいろんなところを旅していろんな街や景色を見てみたいと思っていた。
そこにレオンさんがいてくれたら、もっと素敵になるに違いない。
でも、それはパパやママ、この王都にいる人たちと離れなきゃいけないということ。
今生の別れというわけではないが、それでもやっぱり想像すると寂しい。それに、やり残したこともたくさんある。
「……いいですよ」
「本当かい!?」
私の返事を聞いて、レオンさんがあまりにも嬉しそうな顔をするものだから、私はつい笑ってしまう。
「お店のことやリベリオンのこと、王都でできること、全部が一段落してから……それでもよければ、私もレオンさんの夢に同行させてください」
「ああ、そんなにすぐに出るわけじゃない。近い将来、この国が平和になったら……」
「はい。いろいろなことが済んだら……」
レオンさんがまた、私の頭を優しく撫でてくれる。
このひとときが続くといいなと思いながら、私は目を閉じてレオンさんの手の温もりを感じていた。
2 魔術書塔の魔法使い
レオンさんのお家に行ってから数日後。
「お姉さまとお出かけ、嬉しいですわ!」
「私までついてきてもよかったのかな……」
「いいに決まっています! 私が来てくださいと言ったのですから。ね、先生?」
アネット、アリス、お姫様であるプレシアの三人が口々にそう言う。
今私たちがいるのは、私が作った自動車のような魔道具――空間拡張馬車の中。
空間拡張馬車は運転席と客室に分かれていて、客室には空間拡張の術式を施してあるし、アメミヤ工房で開発した家電型の魔道具や、家具も配置しているので、ひろびろ快適に過ごせるのだ。
今日は三人とともに、お出かけだ。
ちなみにレオンさんも一緒に来てはいるんだけど、プレシアの護衛をしている兵士さんと一緒に、別の馬車に乗っているんだよね。
それにしても一緒に馬車に乗っている三人は、密かに王都の貴族たちの注目の的になっているらしい。
アネットはアルベルト公爵家の娘だし、現在三学年のエース。将来有望なので、自分の息子と……などと思っている貴族が何人もいるみたい。
私が『アクアブルムの英雄』と呼ばれているのに合わせて『次の英雄』なんてことをいう人もいるらしいんだよね。
そしてアリスは、巷で『魔石工学の天才児』って呼ばれている。
というのも、現在のアメミヤ工房の新商品に使われている魔法陣の三分の一はアリスが開発に大きく関わったものなのだ。
特に、アリスと私が共同開発したワープロやプリンターはかなり斬新だって話題になって、それで名が広まった。
プレシアは数々の有名な治療師から注目を浴びている。
最初は『お姫様だからお偉いさん方が忖度して、評価されているだけではないか』なんて厳しい声もあったみたい。
だけど私やティルナさんから回復魔法の知識や技術を吸収して、プレシアはどんどん成長していった。その上で誰も思いつかなかった画期的なアイデアを認めた論文を発表し、自力で評価を覆したのだ。
治療院にも足を運んで実践経験を積んでいたみたいで、大怪我をした急患を治したことをきっかけに市民からもかなりの評価を得たんだよね。
ファンクラブまでできちゃって、この間『治療院の女神』とまで呼ばれるようになったって、恥ずかしそうに言ってたっけ。
この三人がいろいろな分野のところで私の名前を出すものだから、英雄の妹たちって意味を込めて『シスターズ』なんて呼ばれているんだとか。パパとママがそう言っていた。
私の知らないところでそこまで有名になっているとは思わなかった。
誇らしさ半分、恥ずかしさ半分って感じ……。
そんな妹たちの話は当然本人たちの耳にも入り、ぐっと距離が近づく。
たまに集まってお茶をする、仲良し三人娘になったみたい。
「それにしても、よく王さまは姫さまの国外へのお出かけを許可してくださりましたわね」
アネットが不思議そうに言うと、プレシアはふふんと誇らしげに鼻を鳴らした。
「それに関しては、先生とアリスの話を参考にしたんですよ」
「私が余計なことを話してしまったばっかりに……」
なんだか申し訳なさそうに両手の先を合わせて、目を伏せるアリス。
王様は王妃様だけじゃなく、プレシアにも弱いからなぁ……。
私はそう思いながらも聞く。
「プレシア、何したの?」
「今回の先生とのお出かけにご同行を許可しないなら私の魔法を夜な夜なお父様にかけて、毎朝疲れた状態で目覚めるようにいたします、とお願いしました」
……プレシア、それはお願いじゃなくて脅しっていうんだよ?
まあ、人のことは言えないか。
少し前にパパにした『お願い』の方法を、アリスがプレシアに話した影響なんだろうけど……私よりえげつなくて、ちょっとびっくりしちゃった。
「さすがプレシア姫さまですわ! しっかりとお姉さまの技を継承していますの! 私もいつか時が来たら、お父さまに仕掛けてみますの!」
「あぁ……ご令嬢の皆様がどんどん悪い方向に……」
「アリスも何かあればお兄様に仕掛けてみればいいのよ!」
妹たち三人が戯れているのは可愛いけど、内容が内容だけに看過できないよね……。
元々、私が蒔いた種でもあるわけだし。
「三人とも、ほどほどにね?」
「「「はーい」」」
そんなタイミングで、キッチンの方からクレールさんがカップとポット、お茶菓子のクッキーが載ったお盆を持ってやってきた。
「皆様、お茶はいかがですか」
クレールさんはお盆をテーブルに置いてから、私たちに紅茶を淹れてくれた。
「そういえば、今回はどこに向かっていますの?」
クッキーを齧りながら、アネットは私に尋ねる。
他の二人も私の方を見ているし、どこに向かってるのかはわかってなかったみたい。
「今、ミュラに向かってるところだよ」
「ミュラ? 魔法の街ですわね。そちらに何をしに?」
「魔術書塔に用事があるんだよね。パスカルさんとの約束を果たさなくっちゃ」
アネットの質問にそう答えると、プレシアが身を乗り出してくる。
「パスカルといえばこの国を救ったと言われる賢者様! 先生の劇でも、アニエ様が名演技を披露されておりましたね!」
アリスが驚きの声を上げる。
「え!? プレシアちゃん、劇を見に行ったの!?」
「えぇ、今年の劇はとても面白そうだとお父様に言われましたので、一緒に」
「羨ましいですわ! 私はお姉さまより学年が下だから、見に行きたくても行けなかったんですの……」
アネットはそう言って、口を尖らせる。
創作劇の発表会は、学園初等科の五学年の恒例行事。
上級生の劇を見ると、それを模した劇ばかりになってしまうだろうということで、下級生は見られないようになっているんだよね。
アリスも悲しそうに声を上げる。
「私も、ちょうどお店が忙しい時間で……」
「では、この中で先生の勇姿を見たのは私だけということですね!」
またふふんとプレシアは誇らしげな表情を浮かべた。
少しして、馬車が止まった。ミュラに着いたみたいだ。
検問を終えて、私たちは馬車を降りる。
二度目のミュラだ。一度目は、本当にいろいろなことがあったんだよねぇ。
まず魔術書塔で私の魔術書を作って、パスカルさんと出会って、一緒に遊んで。
「サキ」
後ろから声がしたので、振り向く。
すると、手を振って私のところに歩いてくる、レオンさんが見えた。
その奥にある馬車から、たくさんの兵士の人が降りてきている。
この場には一国の姫がいる。警護が厳重になるのは、当然だ。
「護衛の方との車旅はどうでした?」
「なかなか護衛とじっくり話す機会なんてないからね。貴重な経験だったし、楽しかったよ」
「仲良くできました?」
「あぁ、もちろんさ。実は兵士と仲良くなるのにはコツがあってね」
「コツ、ですか?」
私が首を傾げると、レオンさんは得意げに言う。
「まずは僕から貴族家の愚痴をこぼすんだ。そしたらそれを皮切りに、勤め先の愚痴大会が始まる。おかげでいくつか貴族の『いい話』を聞けたよ」
わぁ、レオンさんが悪い顔してる。
レオンさんはそういう情報をみだりに使う人ではないけど、身内に何かがあれば躊躇なくその『いい話』で得た情報を使うんだろうな。
「あ、ついでに僕たちの店でも護衛を募集してるとも言っておいた。『いざって時は頼ってくれ』って何人か言ってくれる人がいたし、僕たちがお店を空けている時のキールやアリス、ティルナさんの安全を保証しやすくなるんじゃないかな。もっとも、現時点でもミシュリーヌやグレゴワルがいると思うから、滅多なことは起こらないと思うけど」
……レオンさん、もしかして私たちが旅立てるように準備してる?
ニコニコしてるけど、強かだ。
そんな風に思っていると、後ろからアネットが声をかけてくる。
「お姉さま! プレシアとアリスとミュラの街を歩いてきたいのですが、よろしいでしょうか?」
三人娘が上目遣いで私の許可を待っている。
シスターズ……可愛いなぁ。
「あぁ……うん。必ず護衛の人たちと一緒に行動してね?」
「「「はーい!」」」
「それとみんな、お出かけ前に渡したお守り、ちゃんと持ってるよね?」
「はいですわ!」
「うん、ちゃんと持ってるよ」
「先生から頂いたものは常に持ち歩いてます!」
アネット、アリス、プレシアはお守りを翳して、元気な返事をしてくれた。
「よし。それじゃあ護衛の皆さん、よろしくお願いします」
私がシスターズのそばで控えていた護衛の方に頭を下げると、彼らは敬礼してくれた。
そうしてシスターズたちは、元気に出かけていった。
「さて、行きましょうか」
「そうだね」
レオンさんと一緒に、魔術書塔へ来た。
すると、門番に声を掛けられる。
「キサマたちはイゼンの……」
「お久しぶりです。また試練をしますか?」
「ソナタのマジュツショはツクられタ。もうヒツヨウない」
以前は魔術書塔の審査を受けたいと言った途端、急に襲われたので少し身構えていたが、今回は大丈夫みたいだね。
そんなわけで、特になんのアクシデントもなく魔術書塔に入る。
そして、魔術書の管理者であるヘルンさんの部屋へ向かう。
「そういえば、パスカルさんは『あの塔にいる人たちは研究するばかりで、魔術を役に立てようとしてくれない』なんて言っていたけど、この塔内にヘルンさん以外の人がいるってことだよね?」
「そのはずです。気配は今のところありませんが……」
実は今回はパスカルさんの遺産を受け取りに来ただけじゃなくて、魔術書塔の人にもお願いがあるんだけど……。
実は魔術書塔にいるのはヘルンさんだけでした、なんてことがないといいなぁ。
やがて、へルンさんの部屋に着いた。私は扉をノックする。
「へルンさん、お久しぶりです。サキですけど……いらっしゃいますか?」
……あれ、返事がない。
「うーん……中から返事もないし判断ができないね。鍵も閉まっているんだろう?」
「そうじゃないですかね……っあれ?」
当然閉まってるものだろうと思っていたけど、ノブを回しつつ扉を軽く押してみると、扉が五センチほど開いた。
よくはないけど、部屋の中を見てみようかな。
「お邪魔しまぁ~……ヘルンさん!? どうしたんですか!?」
部屋の中には、散乱した紙の海に倒れるへルンさんがいた。
すぐに駆け寄って体を少し起こすと、へルンさんは「うぅっ」と唸ってから薄ら目を開けた。
「あぁ……私、こんな可愛い女の子に看取られて逝けるなんて……」
「縁起でもないこと言わないでください! 何があったんですか!?」
そう聞いた瞬間、へルンさんのお腹からくぅっという、お腹の虫が鳴く音が聞こえた。
「もしかして、研究に没頭しすぎて何も食べてないんじゃないかい?」
レオンさんの言葉に対して、私は「へ?」なんていう間抜けな声を上げてしまう。
へルンさんの方を向くと、そっと目を逸らされた。
「何やってるんですかぁ~!」
「ヒィ! お、お助けを!」
そう言いながら、へルンさんのお腹はさらに鳴き声を上げる。
このままでは落ち着いて話ができない。
私はキッチンスペースを使わせてもらって、有り合わせの食べ物でサンドイッチを作ってあげる。
ヘルンさんは、次々とそれを手に取り、口に運んでいく。
「お、おいひいれす……」
本当に美味しそうにサンドイッチを頬張るへルンさんを横目に、私はやれやれとばかりにはぁっと息をついた。
「まったく……研究熱心になるのはいいですけど、体調管理はしっかりしてください」
「サキは人のこと言えない気がするけど……」
レオンさんが何か失礼なことを言っている気がするけど、声が小さすぎて聞き取れない。
『サキもでしょ』みたいなことかな。空腹で倒れるなんてしないのに! 失礼な!
それから少しして、サンドイッチを平らげたヘルンさんは、丁寧に手を合わせる。
「ごちそうさまでした。ところで、お二人はどうして魔術書塔に?」
「あ、それは……」
私はパスカルさんが託してくれた研究成果を受け取りに来たこと、そして魔術書塔の権限を譲り受けたことを伝えた。
へルンさんは「そうですか」と一言呟いてから顔を伏せてしまう。
そして、五秒くらいしてから、意を決したように私の方を見た。
「パスカル様は、最後になんとおっしゃっていましたか?」
「へルンさんと話し合って、魔術書塔の知識をみんなのために役立ててほしいと」
「そうですか……わかりました。私は、サキさんに全面的に協力します! 何かあったら頼ってください!」
「ありがとうございます!」
「きっと、魔術書塔の魔術師たちも同じ意見なはずです!」
「やっぱり他にも魔術師はいるんですね」
私の言葉に、ヘルンさんは『心外な!』って感じの顔をする。
「もちろんですよ!」
「他の魔術師を見たことがなかったので、つい」
「それもそうでしたね。では、他の魔術師に挨拶に行きましょう。私がいればスムーズでしょう?」
「それはありがたいです!」
「では、行きましょうか」
これでなんとか魔術書塔の人と仲良くなれたらいいな。
よーし、魔石工学の進歩のために、頑張るぞ!
「ん? あぁ、そうだな」
「それじゃあサキちゃん、レオン。またね」
レガール様とメイリー様は立ち上がり、私とレオンさんに手を振って部屋を出ていった。
部屋の外から「それじゃあ、約束通り私の買い物に付き合ってもらうからね」という明るい声が聞こえてくる。
どうやらこのあと、メイリー様とレガール様はショッピングのようだ。
そんなこんなで、レオンさんの部屋で、二人きり。ドキドキしてしまう。
レオンさんも少し気まずそうに視線を斜め上に向けながら、口を開く。
「なんかごめんよ、サキ」
「い、いえ! 大丈夫です」
それから少し間が空いて、レオンさんが言う。
「兄さんと戦って、どうだった?」
「強かったです。対応力がネル流剣術の真髄なのに、他流派の技を組み合わせられたことで互角……いや、上回られちゃいました」
「ははっ、確かにね。僕もネル流を学んでからはそこそこ戦えている気がするけど、それでもまだ兄さんの底は見えない。やっぱり兄さんの剣術や体術のセンスはずば抜けてるよ。でも、サキはいい線いってたじゃないか。剣を弾き飛ばしたんだし」
「でも、他の武器を持ってる可能性を考慮できてませんでした。やっぱりまだまだです」
そう、刺し違える覚悟で――なんて思っていたけど、結局レガールさんに最後の攻撃を避けられている。あれが真剣勝負だったなら、負けていたことだろう。
私が両手を握ってグッと気合を入れると、その様子を見てレオンさんが私の頭を撫でた。
レオンさんの手の温もりが頭から伝わってくる。
目を閉じて、その熱に身を任せると、安らかな気持ちになる。
……って、これ、結構恥ずかしいシチュエーションなんじゃ!?
かぁっと体温が上がり、体がびくっと震える。
するとレオンさんは手を離して「ごめんごめん、つい」と謝ってきた。
いざ手が離れていくと、『もう少し撫でてくれてもいいのに』と思ってしまう。
恥ずかしくてそんなこと、言えないけど。
その代わりに私は、話題を変えることにした。
「あ、あの……レオンさんはその……もし自分がクロード家の当主になったら……」
レオンさんは、めちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
たまにレオンさんはこの表情を浮かべるんだけど、いつもの凛々しい顔と違ってわがままな子供みたいで可愛いんだよねぇ!
「ありえないね。僕は次男だし、兄さんに何かない限り僕は将来、この屋敷を出ていくつもりさ」
それを聞いて、私はふと思い出す。
「そういえばレオンさん。泊まりがけでお出かけして、夜に外で涼んでいた時、私に何か言いかけてませんでしたっけ? 確か……一緒になんとか……みたいな」
「あぁ」
レオンさんは下を向いて、それからキリッとした顔をこちらに向けてくる。
「……サキ、これは僕のわがままだし、君には君の幸せの形がある。だからこの申し出は断ってくれてもいい」
そ、そんなにまっすぐ見つめられたら照れちゃうというかぁ! そんないい顔……うぅ、私からしたら凶器だよ! ある意味顔面兵器だよ!
「サキ」
もう一度レオンさんに名前を呼ばれて、私の体が跳ねる。
「ひゃ、ひゃい!」
こんなに真剣なレオンさんも珍しい……まさか私に告白する気じゃないよね!?
だとしたらな、なんて返事をしよう!? よ、よろしくお願いします? いやいや、普通すぎるよね……私も大好きですとか!?
「サキ、いつか僕と一緒に冒険者として旅に出ないかい?」
「……へ?」
予想と少し違う言葉だった。
いや、ちゃんと考えれば文脈的に告白される場面じゃないってわかったはずなのだ。
浮かれすぎちゃったなぁ。
でも、レオンさんと一緒に旅に出たら……きっと楽しいだろう。
私もいろんなところを旅していろんな街や景色を見てみたいと思っていた。
そこにレオンさんがいてくれたら、もっと素敵になるに違いない。
でも、それはパパやママ、この王都にいる人たちと離れなきゃいけないということ。
今生の別れというわけではないが、それでもやっぱり想像すると寂しい。それに、やり残したこともたくさんある。
「……いいですよ」
「本当かい!?」
私の返事を聞いて、レオンさんがあまりにも嬉しそうな顔をするものだから、私はつい笑ってしまう。
「お店のことやリベリオンのこと、王都でできること、全部が一段落してから……それでもよければ、私もレオンさんの夢に同行させてください」
「ああ、そんなにすぐに出るわけじゃない。近い将来、この国が平和になったら……」
「はい。いろいろなことが済んだら……」
レオンさんがまた、私の頭を優しく撫でてくれる。
このひとときが続くといいなと思いながら、私は目を閉じてレオンさんの手の温もりを感じていた。
2 魔術書塔の魔法使い
レオンさんのお家に行ってから数日後。
「お姉さまとお出かけ、嬉しいですわ!」
「私までついてきてもよかったのかな……」
「いいに決まっています! 私が来てくださいと言ったのですから。ね、先生?」
アネット、アリス、お姫様であるプレシアの三人が口々にそう言う。
今私たちがいるのは、私が作った自動車のような魔道具――空間拡張馬車の中。
空間拡張馬車は運転席と客室に分かれていて、客室には空間拡張の術式を施してあるし、アメミヤ工房で開発した家電型の魔道具や、家具も配置しているので、ひろびろ快適に過ごせるのだ。
今日は三人とともに、お出かけだ。
ちなみにレオンさんも一緒に来てはいるんだけど、プレシアの護衛をしている兵士さんと一緒に、別の馬車に乗っているんだよね。
それにしても一緒に馬車に乗っている三人は、密かに王都の貴族たちの注目の的になっているらしい。
アネットはアルベルト公爵家の娘だし、現在三学年のエース。将来有望なので、自分の息子と……などと思っている貴族が何人もいるみたい。
私が『アクアブルムの英雄』と呼ばれているのに合わせて『次の英雄』なんてことをいう人もいるらしいんだよね。
そしてアリスは、巷で『魔石工学の天才児』って呼ばれている。
というのも、現在のアメミヤ工房の新商品に使われている魔法陣の三分の一はアリスが開発に大きく関わったものなのだ。
特に、アリスと私が共同開発したワープロやプリンターはかなり斬新だって話題になって、それで名が広まった。
プレシアは数々の有名な治療師から注目を浴びている。
最初は『お姫様だからお偉いさん方が忖度して、評価されているだけではないか』なんて厳しい声もあったみたい。
だけど私やティルナさんから回復魔法の知識や技術を吸収して、プレシアはどんどん成長していった。その上で誰も思いつかなかった画期的なアイデアを認めた論文を発表し、自力で評価を覆したのだ。
治療院にも足を運んで実践経験を積んでいたみたいで、大怪我をした急患を治したことをきっかけに市民からもかなりの評価を得たんだよね。
ファンクラブまでできちゃって、この間『治療院の女神』とまで呼ばれるようになったって、恥ずかしそうに言ってたっけ。
この三人がいろいろな分野のところで私の名前を出すものだから、英雄の妹たちって意味を込めて『シスターズ』なんて呼ばれているんだとか。パパとママがそう言っていた。
私の知らないところでそこまで有名になっているとは思わなかった。
誇らしさ半分、恥ずかしさ半分って感じ……。
そんな妹たちの話は当然本人たちの耳にも入り、ぐっと距離が近づく。
たまに集まってお茶をする、仲良し三人娘になったみたい。
「それにしても、よく王さまは姫さまの国外へのお出かけを許可してくださりましたわね」
アネットが不思議そうに言うと、プレシアはふふんと誇らしげに鼻を鳴らした。
「それに関しては、先生とアリスの話を参考にしたんですよ」
「私が余計なことを話してしまったばっかりに……」
なんだか申し訳なさそうに両手の先を合わせて、目を伏せるアリス。
王様は王妃様だけじゃなく、プレシアにも弱いからなぁ……。
私はそう思いながらも聞く。
「プレシア、何したの?」
「今回の先生とのお出かけにご同行を許可しないなら私の魔法を夜な夜なお父様にかけて、毎朝疲れた状態で目覚めるようにいたします、とお願いしました」
……プレシア、それはお願いじゃなくて脅しっていうんだよ?
まあ、人のことは言えないか。
少し前にパパにした『お願い』の方法を、アリスがプレシアに話した影響なんだろうけど……私よりえげつなくて、ちょっとびっくりしちゃった。
「さすがプレシア姫さまですわ! しっかりとお姉さまの技を継承していますの! 私もいつか時が来たら、お父さまに仕掛けてみますの!」
「あぁ……ご令嬢の皆様がどんどん悪い方向に……」
「アリスも何かあればお兄様に仕掛けてみればいいのよ!」
妹たち三人が戯れているのは可愛いけど、内容が内容だけに看過できないよね……。
元々、私が蒔いた種でもあるわけだし。
「三人とも、ほどほどにね?」
「「「はーい」」」
そんなタイミングで、キッチンの方からクレールさんがカップとポット、お茶菓子のクッキーが載ったお盆を持ってやってきた。
「皆様、お茶はいかがですか」
クレールさんはお盆をテーブルに置いてから、私たちに紅茶を淹れてくれた。
「そういえば、今回はどこに向かっていますの?」
クッキーを齧りながら、アネットは私に尋ねる。
他の二人も私の方を見ているし、どこに向かってるのかはわかってなかったみたい。
「今、ミュラに向かってるところだよ」
「ミュラ? 魔法の街ですわね。そちらに何をしに?」
「魔術書塔に用事があるんだよね。パスカルさんとの約束を果たさなくっちゃ」
アネットの質問にそう答えると、プレシアが身を乗り出してくる。
「パスカルといえばこの国を救ったと言われる賢者様! 先生の劇でも、アニエ様が名演技を披露されておりましたね!」
アリスが驚きの声を上げる。
「え!? プレシアちゃん、劇を見に行ったの!?」
「えぇ、今年の劇はとても面白そうだとお父様に言われましたので、一緒に」
「羨ましいですわ! 私はお姉さまより学年が下だから、見に行きたくても行けなかったんですの……」
アネットはそう言って、口を尖らせる。
創作劇の発表会は、学園初等科の五学年の恒例行事。
上級生の劇を見ると、それを模した劇ばかりになってしまうだろうということで、下級生は見られないようになっているんだよね。
アリスも悲しそうに声を上げる。
「私も、ちょうどお店が忙しい時間で……」
「では、この中で先生の勇姿を見たのは私だけということですね!」
またふふんとプレシアは誇らしげな表情を浮かべた。
少しして、馬車が止まった。ミュラに着いたみたいだ。
検問を終えて、私たちは馬車を降りる。
二度目のミュラだ。一度目は、本当にいろいろなことがあったんだよねぇ。
まず魔術書塔で私の魔術書を作って、パスカルさんと出会って、一緒に遊んで。
「サキ」
後ろから声がしたので、振り向く。
すると、手を振って私のところに歩いてくる、レオンさんが見えた。
その奥にある馬車から、たくさんの兵士の人が降りてきている。
この場には一国の姫がいる。警護が厳重になるのは、当然だ。
「護衛の方との車旅はどうでした?」
「なかなか護衛とじっくり話す機会なんてないからね。貴重な経験だったし、楽しかったよ」
「仲良くできました?」
「あぁ、もちろんさ。実は兵士と仲良くなるのにはコツがあってね」
「コツ、ですか?」
私が首を傾げると、レオンさんは得意げに言う。
「まずは僕から貴族家の愚痴をこぼすんだ。そしたらそれを皮切りに、勤め先の愚痴大会が始まる。おかげでいくつか貴族の『いい話』を聞けたよ」
わぁ、レオンさんが悪い顔してる。
レオンさんはそういう情報をみだりに使う人ではないけど、身内に何かがあれば躊躇なくその『いい話』で得た情報を使うんだろうな。
「あ、ついでに僕たちの店でも護衛を募集してるとも言っておいた。『いざって時は頼ってくれ』って何人か言ってくれる人がいたし、僕たちがお店を空けている時のキールやアリス、ティルナさんの安全を保証しやすくなるんじゃないかな。もっとも、現時点でもミシュリーヌやグレゴワルがいると思うから、滅多なことは起こらないと思うけど」
……レオンさん、もしかして私たちが旅立てるように準備してる?
ニコニコしてるけど、強かだ。
そんな風に思っていると、後ろからアネットが声をかけてくる。
「お姉さま! プレシアとアリスとミュラの街を歩いてきたいのですが、よろしいでしょうか?」
三人娘が上目遣いで私の許可を待っている。
シスターズ……可愛いなぁ。
「あぁ……うん。必ず護衛の人たちと一緒に行動してね?」
「「「はーい!」」」
「それとみんな、お出かけ前に渡したお守り、ちゃんと持ってるよね?」
「はいですわ!」
「うん、ちゃんと持ってるよ」
「先生から頂いたものは常に持ち歩いてます!」
アネット、アリス、プレシアはお守りを翳して、元気な返事をしてくれた。
「よし。それじゃあ護衛の皆さん、よろしくお願いします」
私がシスターズのそばで控えていた護衛の方に頭を下げると、彼らは敬礼してくれた。
そうしてシスターズたちは、元気に出かけていった。
「さて、行きましょうか」
「そうだね」
レオンさんと一緒に、魔術書塔へ来た。
すると、門番に声を掛けられる。
「キサマたちはイゼンの……」
「お久しぶりです。また試練をしますか?」
「ソナタのマジュツショはツクられタ。もうヒツヨウない」
以前は魔術書塔の審査を受けたいと言った途端、急に襲われたので少し身構えていたが、今回は大丈夫みたいだね。
そんなわけで、特になんのアクシデントもなく魔術書塔に入る。
そして、魔術書の管理者であるヘルンさんの部屋へ向かう。
「そういえば、パスカルさんは『あの塔にいる人たちは研究するばかりで、魔術を役に立てようとしてくれない』なんて言っていたけど、この塔内にヘルンさん以外の人がいるってことだよね?」
「そのはずです。気配は今のところありませんが……」
実は今回はパスカルさんの遺産を受け取りに来ただけじゃなくて、魔術書塔の人にもお願いがあるんだけど……。
実は魔術書塔にいるのはヘルンさんだけでした、なんてことがないといいなぁ。
やがて、へルンさんの部屋に着いた。私は扉をノックする。
「へルンさん、お久しぶりです。サキですけど……いらっしゃいますか?」
……あれ、返事がない。
「うーん……中から返事もないし判断ができないね。鍵も閉まっているんだろう?」
「そうじゃないですかね……っあれ?」
当然閉まってるものだろうと思っていたけど、ノブを回しつつ扉を軽く押してみると、扉が五センチほど開いた。
よくはないけど、部屋の中を見てみようかな。
「お邪魔しまぁ~……ヘルンさん!? どうしたんですか!?」
部屋の中には、散乱した紙の海に倒れるへルンさんがいた。
すぐに駆け寄って体を少し起こすと、へルンさんは「うぅっ」と唸ってから薄ら目を開けた。
「あぁ……私、こんな可愛い女の子に看取られて逝けるなんて……」
「縁起でもないこと言わないでください! 何があったんですか!?」
そう聞いた瞬間、へルンさんのお腹からくぅっという、お腹の虫が鳴く音が聞こえた。
「もしかして、研究に没頭しすぎて何も食べてないんじゃないかい?」
レオンさんの言葉に対して、私は「へ?」なんていう間抜けな声を上げてしまう。
へルンさんの方を向くと、そっと目を逸らされた。
「何やってるんですかぁ~!」
「ヒィ! お、お助けを!」
そう言いながら、へルンさんのお腹はさらに鳴き声を上げる。
このままでは落ち着いて話ができない。
私はキッチンスペースを使わせてもらって、有り合わせの食べ物でサンドイッチを作ってあげる。
ヘルンさんは、次々とそれを手に取り、口に運んでいく。
「お、おいひいれす……」
本当に美味しそうにサンドイッチを頬張るへルンさんを横目に、私はやれやれとばかりにはぁっと息をついた。
「まったく……研究熱心になるのはいいですけど、体調管理はしっかりしてください」
「サキは人のこと言えない気がするけど……」
レオンさんが何か失礼なことを言っている気がするけど、声が小さすぎて聞き取れない。
『サキもでしょ』みたいなことかな。空腹で倒れるなんてしないのに! 失礼な!
それから少しして、サンドイッチを平らげたヘルンさんは、丁寧に手を合わせる。
「ごちそうさまでした。ところで、お二人はどうして魔術書塔に?」
「あ、それは……」
私はパスカルさんが託してくれた研究成果を受け取りに来たこと、そして魔術書塔の権限を譲り受けたことを伝えた。
へルンさんは「そうですか」と一言呟いてから顔を伏せてしまう。
そして、五秒くらいしてから、意を決したように私の方を見た。
「パスカル様は、最後になんとおっしゃっていましたか?」
「へルンさんと話し合って、魔術書塔の知識をみんなのために役立ててほしいと」
「そうですか……わかりました。私は、サキさんに全面的に協力します! 何かあったら頼ってください!」
「ありがとうございます!」
「きっと、魔術書塔の魔術師たちも同じ意見なはずです!」
「やっぱり他にも魔術師はいるんですね」
私の言葉に、ヘルンさんは『心外な!』って感じの顔をする。
「もちろんですよ!」
「他の魔術師を見たことがなかったので、つい」
「それもそうでしたね。では、他の魔術師に挨拶に行きましょう。私がいればスムーズでしょう?」
「それはありがたいです!」
「では、行きましょうか」
これでなんとか魔術書塔の人と仲良くなれたらいいな。
よーし、魔石工学の進歩のために、頑張るぞ!
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