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10章

魔術書塔の魔法使い達

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「いや、私の力を借りるためにわざわざ公爵令嬢を呼んでくれたのだ。これで私がまだ何かを望むのは独りよがりすぎる」

 研究者の人は話を聞かない人が多い。でも、筋が通ったちゃんとした流儀を持っている人たちのようだ。

「それではゴードレットさんの部屋に行きましょう」

 無事全員を回収してゴードレットさんの部屋に向かうことに。

「ゴードレットさん、戻りました」

 ゴードレットさんの部屋に入ると、机の上でぐったりと突っ伏すアリスとゴードレットさんがいた。

「お二人ともどうしたんですか⁉︎」

「あ、あぁお姉ちゃん……お姉ちゃんが戻る前に二人でお姉ちゃんの設計図を確認しとこうと思って色々見てたんだけどね……」

「そもそものわしらの実力がこの設計図の作成者……つまるところサキちゃんの実力に追いついておらん……」

 そ、そんなことないと思うけどなぁ。
 首を捻る私をよそに、レオンさんとへルンさんが設計図を見てみる。

「サキ、これはちょっと無茶が……」

「え?」

「内容が高度すぎて……私も半分ほどしか理解が追いつきません……」

「そ、そうなの⁉︎」

 驚く私を見てレオンさんとアリスがはぁっとため息をついた。

「ゴード爺、どこがわかんないんだ?」

 突っ伏すゴードレットさんにラルフさんが声をかける。

「うむ、この部分なんじゃが」

「ここはこっちの魔力線を流れるようにして魔力効率を……」

「じゃがそれだとこちらの仕組みに影響が出るんじゃないのぉ」

「うむ、ではこちらの方でどうだ?」

 次いでエセルさんが設計図の魔力線を指し示す。

「ほう……これは盲点じゃった」

「うむ……サキ嬢、ここの部分だが魔法形成の観点から単純な円形よりも三角錐に近い形の方がいいのではないか?」

「いや、それだと強度の面で影響が出るだろう」

 エセルさんの提案にラルフさんが否定する。

「僕たちはこの設計図をちゃんと理解できていない。サキ嬢、僕たちにもう少し時間をくれ。必ず結果を出す」

 ラルフさん……最初はあんなにそっけなかったのに今はすっごく頼りになる!
 
「うむ、この内容の濃さなら魔術書塔の魔術師全員い声をかけ協力を仰ぐべきだ。へルン、すぐに文を出そう」

「は、はい! すぐに風魔法メールの用意をします!」

「風魔法メール?」

「風魔法で一定の場所と場所を繋いで手紙を届けるやり方です。魔術書塔の外の方と連絡をとるときに使っているんです」

 へルンさんの説明を聞いて、塔から出ていかない人たちがどうやって連絡をとっているのか不思議だったけど、そういうツールも使っているのか。ん? 一定の場所を魔法で繋ぐ……。
 そうだ!

「へルンさん、後で少しでもいいんでその風魔法メールの仕組みを教えてください!」

「え? えぇ、構いませんけど……」

 いいこと思いついちゃった! これでいざという時協力をしてもらえるかも……。
 そこから私たちはそれぞれ作業を始めた。
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