上 下
120 / 139
番外編

episode R & L 4

しおりを挟む
第三トリルウィンド!」

俺は風を自分の後ろへ起こし、機動力を上げる。
これで俺が足を浮かせている間は、リリアに近い速度が出せるはずだ。

加速してリリアに追いつくと、リリアも負けじと移動する。

第三トリルウィンド!」

「…っ!第二ダブルエレクト!」

激しい移動を繰り返す中で風魔法を放つが、リリアもそれを見てからかわし、雷魔法をこちらに放つ。

やっぱりこういう高速での戦いになると、まだ俺は風魔法は土魔法ほど命中精度がよくないか…。
それにしても、リリアの動き…なんか違和感があるんだよな…。
さっきの風魔法を避ける時も、変に体を捻ってるというか…一瞬、回避に隙ができてるというか…。

ふと、視線を足元に落とす。
もしかして…。

俺は考えたことを試すべく、いったんリリアと距離をとる。
距離を取ったことで、リリアが雷魔法を撃ち込んでくるが、それを避けつつ俺も魔法を使う。

第一シグルクリエイト」

俺はリリアに気づかれないように動く方向を見て、その進行方向の雷が這っている地面を数カ所もり上げる。

よし…これで予想が正しければ…。

俺は再び風魔法を自分の後ろに起こしてもう一度接近を図る。
そして、リリアが反応して俺から離れるために速度を上げた瞬間…。

「えっ!?きゃー!」

リリアの体は勢いそのままに宙に飛び、訓練室の壁に衝突して床に落下した。。

「………第一シグルウィンド」

「あう…」

切れないようにした風を倒れているリリアの頬に撃って、ぺしぺしという音とともに、レフさんが鳴いた。

「痛たたた…」

「大丈夫か?」

「はい…ちょっと頭がクラクラしますが…」

「そうか…よいしょっと」

「…っ!?!?らららラロックさん!?」

俺がリリアを持ち上げると、リリアはとても慌てていた。

「頭がくらくらすんだろ、医務室まで連れてってやる。悪かったな」

「そ、そんなことは別にいいのですが…このままは恥ずかしいと言いますか…なんというか…」

なんかゴニョゴニョ言っててよく聞こえなかったが、気にせずに俺は訓練室を後にした。
途中で何人か生徒とすれちがって注目されたが、けが人がいるんだ。しょうがない。
訓練室に到着して、俺は医務室の治療師に経緯を伝えると、しばらく横になっていれば大丈夫とのことだった。
リリアをベットに下ろして、俺は訓練室に戻ることにした。

「あ、あの!ラロックさん…」

「ん?」

ベットに横になるリリアに声をかけられて俺は振り返る。

「ありがとうございました。とても参考になる特訓でした」

「俺が頼んだことだ。気にするな。俺の方こそありがとな」

「そんな…あの、よろしければまた…お相手をさせていただいてもいいですか?」

「……そうか。助かる」

「…はい!」

俺はリリアの返事を聞いて、なんだか照れ臭くなってリリアの方へ顔を向けずに医務室を出て行った。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

 デジタル・ドラゴン ~迷えるAIは幼子としてばんがります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,593pt お気に入り:1,173

魔法少女、その名はプリティーオーク

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

誰にも愛されずに死んだ侯爵令嬢は一度だけ時間を遡る

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:1,880

勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:156pt お気に入り:9,281

転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,755pt お気に入り:2,127

あなたに未練などありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:568pt お気に入り:5,068

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。