魔法の数字

初昔 茶ノ介

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2章:学園生活

突然の襲撃

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ヴェルくんとクロくんの魔法がぶつかった光がだんだん消えていき、二人の姿が見えてきた。
2人ともただ立っているだけで、防具を見るとヴェルくんの胸の光は消えていた。

「そこまで!勝者、1組クロ。これにより初等部1組昇組試験、戦闘部門を終了します。また、結果は試験の後に発表します。それでは、解散」

ママはそれだけ告げると闘技場から出ていった。

「ヴェルくん……」

負けちゃったけど、いい勝負だったと私は思う。
ヴェルくんは持てる力を全部使って、クロくんから2点をとって、本気の魔法まで使わせたんだから。
私はヴェルくんのところに走っていった。

「ヴェルくん…お疲れ様…」

「あぁ…リンさん。ごめんね、負けちゃったよ」

「うぅん…かっこよかった…」

私はニコッと笑ってヴェルくんに抱きついた。

「私もぉ~かっこよかったとぉ~思いますよぉ~」

そう言いながらリリスさんはヴェルくんから私を引き剥がした。

「リリス、君の方は大丈夫かい?」

「私はぁ~合格しかぁ~ありえないよぉ~」

ヴェルくんがリリスさんに聞くと自信に満ちた返事をした。
2人が話をしているところにクロくんが歩いてきた。

「クロくん…お疲れ…様」

「あぁ、リンか。いったいどうやったらここまで強くできたんだ?っていうか先生、絶対狙って俺を当てただろ」

「あぁ…ママなら…やりそう…」

私とクロくんはなんとも言えない表情をした。

「リン、この後は何をするの?このリリス?って子の試験を見るにしても時間がまだまだあるわよ?」

確かにハナちゃんの言う通り、昇組試験の治癒部門は午後からなので、だいぶ時間が空いてしまった。

「うーん…みんな疲れてるし…ちょっと休憩…」

ーーーゴォーーン!!!

私が話をしている時に闘技場の外から、轟音が響いてきた。

「な、何!?」

「なんかヤバそうな音がしたぞ?」

「とりあえず外にでましょう」

私達が闘技場から出ようとした瞬間、それは闘技場の壁を紙のように壊して入ってきた。

「な、なんだあれ!?」

「あれは…キメラ!?なんで学園に危険指定魔物が!?」

入ってきたものは教科書で読んだことのある第二級危険指定魔物のキメラに特徴が合致していた。
大きな獅子の体に背中には翼、尾は蛇と教科書通りだ。

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?早く逃げるわよ!」

すでに私達以外の人たちは闘技場にはおらず、私達も出口に走り出した。
しかし、キメラが高速で動き、私達の目の前に立つ。

「そんな…」

みんなの表情がだんだんと青ざめていく。
こうなったら…。

「クレアちゃん…」

「なんにゃ?」

「私が式を立てる…時間作れる?」

「まぁ4等式分くらいなら余裕にゃ」

「じゃあ…お願い…」

「んー…まぁりょーかいにゃ」

「あ、あんた達あれと戦おうっていうの!?リンダメだよ!」

「違う…から。ハナちゃん達は私から離れない…で。クレアちゃん」

「任せるにゃ」

キメラが私達を手で潰そうとしてくると同時に、クレアちゃんの氷魔法が発動して手を弾き飛ばす。
そして、私も式を立て始めた。
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