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第三章
だからこれは私の実力じゃなくて…
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ルリちゃんの道場について、私もルリちゃんと同じ道場着に着替えた。
そしてしっかり木刀を持ったルリちゃんがすでに道場の真ん中で待っていた。
しかも、はじにみんなもいるし…。
「おねーちゃん早く!」
「だ、だからね…ルリちゃん、あれは私の実力じゃなくて、異能のおかげで…」
そう、前にどこまで私の『おまじない』の異能の効果があるか試したことがあったのだ。
一度試したのは私の作った飴に、『なめている間だけ前の世界で見たことあるアニメの剣士のような動きができますように』。
それで出来た飴を試しに食べながらルリちゃんの道場でルリちゃんに模擬試合をしてもらったのだ。
そしたら勝っちゃって…。負けた時のルリちゃんなんか目をキラキラさせながら「おねーちゃんこんなに強かったの!?もう一回!」ってずっと言ってたし…。
「なんでもいいの!大会は異能も使っていいからおねーちゃんの異能も使っていいの!」
「えぇ…そういうもの…?」
たしかに今日、飴持ってるけど…。
だんだんルリちゃんの顔がぷくぅーっと膨らんでいく。
「ルリ…約束やぶる人…嫌い…」
嫌い…嫌い…嫌い…。
あの天使のルリちゃんが…いつも私に抱きついて、修羅場のお昼時を超えた時の唯一の癒しが…嫌い…。
「あぁ!ごめんねごめんね!そうだよね!約束したもんね!うん!模擬試合しよっか!ケンセイさん呼んできて!」
私がそういうとルリちゃんはぱぁと表情を明るくして、奥の部屋にケンセイさんを呼びにいった。
呼びに行ってる間に、私ははじで座っているみんなの前にいった。
「いい?今からルリちゃんと模擬試合をするけど、ここで見たことはぜっっっっっっったいに他の人には言わないで!いい!?」
「お、おう?」
「ほかのみんなも!わかった!?」
「「は、はい…」」
よし!これで他には漏れないでしょ!
「おねーちゃん!つれてきた!」
「あ、ケンセイさん。今日もちょっとだけよろしくお願いします」
「おぉ、またあの変わった剣術を見せてくれるのかい?これは楽しみじゃ」
(お、おい…あのムラサメ流のケンセイさんが楽しみって…)
(はい…相当変わった剣術なんでしょう)
(スノウちゃん、相当強いのかな…)
ぼそぼそ話す三人をキッと睨みつけてから、ケンセイさんから木刀を受け取った。
そして、ルリちゃんの前に立って、飴を取り出して口に入れる。
「それでは両者構え!」
ケンセイさんの声に合わせ、ルリちゃんが構える。
(あ、あれ…スノウちゃん…なんかさっきと雰囲気が…)
(なんか…スノウが構えてから…冷や汗が出やがる…)
(あんな構え…初めて見た…これは殺気…?)
(スノウちゃん…なんだか、怖い…)
「始め!」
「ムラサメ流!カミカゼ!」
開始の合図と同時にルリちゃんが動いた。
ルリちゃんはたぶんすごいスピードで私のことを斬ろうとしている。
そう、このコピーしたアニメのキャラクターの特徴は常人離れした反射と動体視力だった。そのせいかルリちゃんの動きはほとんど見えた。
この前の飴の実験でわかったけど、そのアニメのキャラのセリフや技名を言えば勝手に体がそれをしてくれる…みたいな感じだ。
だから、これは私が強いということにはしたくなかったのだ。
「……抜刀術、無見ノ太刀」
感覚としては体が動いているのはわかる。
私のただ見た感じは手を前に動かしながら一緒に体が前に出ているだけ。
でも、これだけはわかった。優しくルリちゃんを斬って、私に木刀は当たらなかったということ。
「やめっ!」
ケンセイさんの合図を聞いて、私はヘタっと床に座り込む。
「勝者スノウ!」
「むぅー!おねーちゃんもう一回!」
また目をキラキラさせてルリちゃんが私のところにくる。
「あ、あのねルリちゃん…やってあげたいのは山々なんだけど…私、体がもう痛い…」
もう一つわかったのが…このアニメキャラモードを使うと、逆手と腰と足が非常に辛い…なぜか利き手は大丈夫なのだ。
おそらく、メレンゲ作りのせい。
「またー?もぉー!」
「ご、ごめんねぇ…」
そういってルリちゃんはまたぷくくぅーと頬を膨らませるのだった。
そしてしっかり木刀を持ったルリちゃんがすでに道場の真ん中で待っていた。
しかも、はじにみんなもいるし…。
「おねーちゃん早く!」
「だ、だからね…ルリちゃん、あれは私の実力じゃなくて、異能のおかげで…」
そう、前にどこまで私の『おまじない』の異能の効果があるか試したことがあったのだ。
一度試したのは私の作った飴に、『なめている間だけ前の世界で見たことあるアニメの剣士のような動きができますように』。
それで出来た飴を試しに食べながらルリちゃんの道場でルリちゃんに模擬試合をしてもらったのだ。
そしたら勝っちゃって…。負けた時のルリちゃんなんか目をキラキラさせながら「おねーちゃんこんなに強かったの!?もう一回!」ってずっと言ってたし…。
「なんでもいいの!大会は異能も使っていいからおねーちゃんの異能も使っていいの!」
「えぇ…そういうもの…?」
たしかに今日、飴持ってるけど…。
だんだんルリちゃんの顔がぷくぅーっと膨らんでいく。
「ルリ…約束やぶる人…嫌い…」
嫌い…嫌い…嫌い…。
あの天使のルリちゃんが…いつも私に抱きついて、修羅場のお昼時を超えた時の唯一の癒しが…嫌い…。
「あぁ!ごめんねごめんね!そうだよね!約束したもんね!うん!模擬試合しよっか!ケンセイさん呼んできて!」
私がそういうとルリちゃんはぱぁと表情を明るくして、奥の部屋にケンセイさんを呼びにいった。
呼びに行ってる間に、私ははじで座っているみんなの前にいった。
「いい?今からルリちゃんと模擬試合をするけど、ここで見たことはぜっっっっっっったいに他の人には言わないで!いい!?」
「お、おう?」
「ほかのみんなも!わかった!?」
「「は、はい…」」
よし!これで他には漏れないでしょ!
「おねーちゃん!つれてきた!」
「あ、ケンセイさん。今日もちょっとだけよろしくお願いします」
「おぉ、またあの変わった剣術を見せてくれるのかい?これは楽しみじゃ」
(お、おい…あのムラサメ流のケンセイさんが楽しみって…)
(はい…相当変わった剣術なんでしょう)
(スノウちゃん、相当強いのかな…)
ぼそぼそ話す三人をキッと睨みつけてから、ケンセイさんから木刀を受け取った。
そして、ルリちゃんの前に立って、飴を取り出して口に入れる。
「それでは両者構え!」
ケンセイさんの声に合わせ、ルリちゃんが構える。
(あ、あれ…スノウちゃん…なんかさっきと雰囲気が…)
(なんか…スノウが構えてから…冷や汗が出やがる…)
(あんな構え…初めて見た…これは殺気…?)
(スノウちゃん…なんだか、怖い…)
「始め!」
「ムラサメ流!カミカゼ!」
開始の合図と同時にルリちゃんが動いた。
ルリちゃんはたぶんすごいスピードで私のことを斬ろうとしている。
そう、このコピーしたアニメのキャラクターの特徴は常人離れした反射と動体視力だった。そのせいかルリちゃんの動きはほとんど見えた。
この前の飴の実験でわかったけど、そのアニメのキャラのセリフや技名を言えば勝手に体がそれをしてくれる…みたいな感じだ。
だから、これは私が強いということにはしたくなかったのだ。
「……抜刀術、無見ノ太刀」
感覚としては体が動いているのはわかる。
私のただ見た感じは手を前に動かしながら一緒に体が前に出ているだけ。
でも、これだけはわかった。優しくルリちゃんを斬って、私に木刀は当たらなかったということ。
「やめっ!」
ケンセイさんの合図を聞いて、私はヘタっと床に座り込む。
「勝者スノウ!」
「むぅー!おねーちゃんもう一回!」
また目をキラキラさせてルリちゃんが私のところにくる。
「あ、あのねルリちゃん…やってあげたいのは山々なんだけど…私、体がもう痛い…」
もう一つわかったのが…このアニメキャラモードを使うと、逆手と腰と足が非常に辛い…なぜか利き手は大丈夫なのだ。
おそらく、メレンゲ作りのせい。
「またー?もぉー!」
「ご、ごめんねぇ…」
そういってルリちゃんはまたぷくくぅーと頬を膨らませるのだった。
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