上 下
51 / 127
第二章

ここまで…長かったですねぇ…

しおりを挟む
メニューを決めてから数日後。
とうとう明日、私のお店にする予定だった建物の改装が終わるそうだ。

その知らせを聞いて私のテンションは一気に上がっていた。
ここ数日で、私は必要な道具を異能で出し、必要な食材を探し回っていた。

そこで私はちょっとした冒険の後、奇跡的にも小麦の代わりになる食材を発見したのだ。
なんと国外に雑草と同じように扱われていたのだ。もったいない…。王妃様に頼んで安定して供給できるように手配をして貰った。
まぁ、この話はまた今度することにして…。

できたらコーヒー豆とかもほしかったけど…さすがにそこまではなかったようだ。
他にも砂糖とかかたくり粉とかいろいろほしいけど…この世界で小麦粉があるだけマシと言うものだろう。

なんとかしばらくは異能でもたすしかない。
そこで今日は、私の異能について研究することにした。

そのために協力を仰いだのが、エオイス様とクロード様だ。
軍事に関わるルインス家は兵強化のための練習メニューだったり、刻印と異能についての研究を行っているため、どうにか私の異能の限界値を知れないかと協力を頼んでいたのだ。

私はライラ達を連れてエオイス様のお部屋へ。
扉の前に立って、ノックの前に1度深呼吸…。だってエオイス様とクロード様…怖いんだもん!

深く息を吸って、吐いてから私はノックして扉をあけた。

「失礼いたします」

中を見るとなんというか…部屋がとてもエオイス様らしい…。
赤色の絨毯に黒のカーテン。
なんというか…吸血鬼とか出てきそう。
部屋の真ん中に置かれた机に座っていたエオイス様が私が入ってきたのを見て、ティーカップを置いた。

「よくいらっしゃいました。スノウ様。どうぞ、こちらに座ってくださいませ」

「は、はい…」

私はカクカクと緊張しながら机まで歩いていく。
まったくもって深呼吸とは意味がないと思いつつ、エオイス様の向かいに座った。

「今日はリーフェについて知りたいそうですわね」

「はい…」

だめだ…緊張しすぎてエオイス様を見れない。
お願い、止まらなくていいから落ち着いて心臓さん…。

「スノウ様、その前に1度立っていただける?」

「え?あ、はい…」

私は言われた通り立ち上がると、エオイス様がボソッと何かを言った。

「え?なんて…」

ーーーポンっ!

「ひぃ!?」

私がエオイス様に何を言ったのか聞き返そうとした瞬間に真後ろで軽い爆発音が聞こえて、緊張とあいまって私は悲鳴をあげた。

驚いた勢いで私はそのまま前に出てしまい、バランスを崩してエオイス様の所へ倒れこんでしまった。

「あの、えっとすみません!エオイス様すぐに離れ…」

何がなにやらパニックになりながらエオイス様から離れようとした所で、エオイス様にぎゅっと抱き寄せられた。

「ふふふ…すみませんスノウ様。あまりにも緊張されておられたので、ほぐして差し上げようかと思いましたの。でも、せっかく話すのですから、そんなに緊張していてはスノウ様にも私にも不利益になりますわ。だから、私に対してそこまで畏怖しないでくださいませ」

あぁ…最近抱きつかれるのに弱くなったなぁ…。
しみじみそう思いながらエオイス様の胸の中で、私の緊張はだんだん溶けていった。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~

あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。 その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。 その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。 さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。 様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。 ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。 そして、旅立ちの日。 母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。 まだ六歳という幼さで。 ※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。  上記サイト以外では連載しておりません。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

今度は悪意から逃げますね!

れもんぴーる
ファンタジー
国中に発生する大災害。魔法師アリスは、魔術師イリークとともに救助、復興の為に飛び回る。 隣国の教会使節団の協力もあり、徐々に災害は落ち着いていったが・・・ しかしその災害は人的に引き起こされたものだと分かり、イリークやアリス達が捕らえられ、無罪を訴えても家族までもが信じてくれず、断罪されてしまう。 長期にわたり牢につながれ、命を奪われたアリス・・・気が付くと5歳に戻っていた。 今度は陥れられないように力をつけなくちゃ!そして自分を嵌めた人間たちや家族から逃げ、イリークを助けなければ! 冤罪をかけられないよう立ち回り、災害から国民を守るために奮闘するアリスのお話。え?頑張りすぎてチートな力が? *ご都合的なところもありますが、楽しんでいただけると嬉しいです。 *話の流れで少しですが残酷なシーンがあります。詳しい描写は控えておりますが、苦手な方は数段飛ばし読みしてください。お願いします。

追放されましたがマイペースなハーフエルフは今日も美味しい物を作る。

翔千
ファンタジー
ハーフエルフのシェナは所属していたAランクの勇者パーティーで魔力が弱いからと言う理由で雑用係をさせられていた。だが、ある日「態度が大きい」「役に立たない」と言われ、パーティー脱退の書類にサインさせられる。所属ギルドに出向くと何故かギルドも脱退している事に。仕方なく、フリーでクエストを受けていると、森で負傷した大男と遭遇し、助けた。実は、シェナの母親、ルリコは、異世界からトリップしてきた異世界人。アニメ、ゲーム、漫画、そして美味しい物が大好きだったルリコは異世界にトリップして、エルフとの間に娘、シェナを産む。料理上手な母に料理を教えられて育ったシェナの異世界料理。 少し捻くれたハーフエルフが料理を作って色々な人達と厄介事に出会うお話です。ちょこちょこ書き進めていくつもりです。よろしくお願します。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!

マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です 病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。 ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。 「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」 異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。 「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」 ―――異世界と健康への不安が募りつつ 憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか? 魔法に魔物、お貴族様。 夢と現実の狭間のような日々の中で、 転生者サラが自身の夢を叶えるために 新ニコルとして我が道をつきすすむ! 『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』 ※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。 ※非現実色強めな内容です。 ※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野忍舞
ファンタジー
英雄になるのを誓い合った幼馴染たちがそれぞれ戦闘向きのスキルを身に付けるなか、俺は魔法の収納庫を手に入れた。 わりと便利なスキルで喜んでいたのだが幼馴染たちは不満だったらしく色々言ってきたのでその場から立ち去った。 お金を稼ぐならとても便利なスキルじゃないかと今は思っています。 ***** ざまぁ要素はないです

処理中です...