女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介

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第二章

さぁ、上手にできた和菓子におまじないをかけましょう。

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和菓子作りを初めて30分ほど経過しただろうか。
私はケンセイさんの話を元に花、鳥、月の形を作ろうと思っていた。今は花が終わって鳥を作っている。
ルリちゃんはというと…。

「あっ…」

また練り切りあんから中のこし餡が飛び出してきてがっかりしていた。
これで5つ目の失敗で、さすがに5歳の子には辛いかな?

「スノウおねーちゃんみたいにできない…」

そう!私はこの3日の旅でおねえさんからおねーちゃんに昇格したのだ!
ふふふ…落ち込むルリちゃんも可愛いなぁ。

「ルリちゃん、ちょっと口をあけて」

「え?うん」

ルリちゃんが口をあけて、その中に私は小さく簡単に作った花の和菓子を入れた。

「あまぁい…おいしい…」

ほっぺたをおさえてにっこり笑うルリちゃんはほんとに天使のような子だよ…。

「ふふふ…よかった。そのお菓子にはね、私がおまじないをかけておいたから」

「おまじない?」

「そう、ルリちゃんが上手に和菓子が作れますようにって」

「ほんとに?」

「うん、だから続けてたらきっと上手くいくよ」

「うん。ルリ、頑張る」

そう言ってルリちゃん和菓子作りを再開した。
頑張れルリちゃん!
私も頑張らないと…あれ?

私は急に目眩がしてふらついてしまった。
倒れそうになって慌てて机に手をつく。

「お嬢様!?」

「おねーちゃん?大丈夫?」

ルリちゃんとリーシャ達が慌てて私にかけよるが、私は大丈夫とルリちゃんを見た。

「ちょっと目眩がしただけだから…」

「お嬢様、少し休まれたほうが…」

「大丈夫だよ、もう収まったから。ね?」

「それならよろしいのですが…」

リーシャ達は心配そうな顔をしたまま、元の位置に戻った。

「ルリちゃんも、私は大丈夫だから。さ、はじめよっか」

「う、うん…無理しないでね…?」

ルリちゃんとふたたび和菓子作りを再開して1時間後、私は花、鳥、月の和菓子を完成させた。
ルリちゃんはというと、再開してからすぐに花を作れるようになり、すごく喜んでいた。私も失敗続きからは想像できないできに驚いた。

「おねーちゃんのきれい…」

ルリちゃんは私の作った和菓子を見てうっとりと眺めていた。
確かに、我ながら上手くいったと思う。

「ルリちゃんのも上手にできてるよ。すごいね」

「えへへへ…」

私がルリちゃんの頭を撫でると嬉しそうに笑った。

「これでひーおじいちゃん元気になる…?」

笑顔から一転して、心配そうに私に聞く。

「きっと元気になるよ。じゃあルリちゃんの和菓子も一緒に食べてもらおっか」

「え?ルリのも…?美味しくできてるかな…」

先ほどとは違う緊張しているような心配そうな顔をするルリちゃん。
表情がコロコロ変わっておもしろいかも…。
でも、初めて自分が作った物を他人に食べてもらうのは怖いよね、わかるよ。

「きっとおいしくできてるよ。なんてたってルリちゃんは私の一番弟子なんだから」

「うん…」

「あと、二人でおまじないをしよっか」

「おまじない?」

「そう、ルリちゃんのひーおじいちゃんが元気になるようにね。はい、ここに立って」

ルリちゃんが椅子の上に立って、私と一緒に和菓子を見つめる。

「ひーおじいちゃんがこれを食べて元気になりますように」

ルリちゃんが目を閉じて、顔の前で手を合わせておまじないを言った。

「ケンセイさんのお父さんが、元気になりますように」

私もルリちゃんと同じようにおまじないを口にした。

「これできっとげん…き…に……」

おまじないを言ってから、ルリちゃんに何かを言おうとしたとたん、足から力が抜けていくのがわかった。

「おねーちゃん!?」
「お嬢様!!」

どうやら私は倒れてしまったらしい。
心配そうにかけよるルリちゃんとリーシャとライラの声が聞こえるけど…それも遠くなって、私の意識は薄れていった。
そして、声もわからなくなって、眠りに落ちるような感覚に襲われるのだった。
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