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第二章

ここは私の本領発揮ですね!

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ミラさんに連れられて、馬小屋へ来ると、ミラさんがノイシュを連れてきた。

「ノイシュ~久しぶり~」

最近は馬車ばかりだったから、久しぶりのノイシュにちょっとテンションが上がった。
私はノイシュの頭をわしわし撫でると、ブルルルと鳴いて、頭をすり寄せてくれた。

「城の外へ行くんですか?」

「あぁ、ちょっと剣術の道場までね」

ミラさんがノイシュにまたがり、私を引っ張り上げる。
こんな風に横になって馬に乗るのも久しぶりな気がする。

「では行こうか」

「あ、その前にリーシャとライラに言わないと…」

「大丈夫、先ほどじぃに伝言をしておいた。そのうち来るだろう」

ミラさん手が早いなぁ…。
ノイシュに乗って街へ出発!

前よりもノイシュのスピードが早くて風が気持ちよかった。

「このスピードは怖いかい?」

「いいえ、風が気持ちいいですし、ミラさんが一緒だから怖くないです」

「ふふふ…嬉しいことを言ってくれるね。あ、あそこだ」

ノイシュのスピードが少しずつ落ちて、止まったところにあったのはなんというか…この街にしては場違い感がすごい建物だった。
そう、和風…。ヨーロッパの街並みの中に1軒だけ日本の道場みたいなものが建ってる感じ…。

「変わった建物だろう?」

「は、はい…でも、私の国の建物に似ています」

「ほう?では、ここの師匠とスノウは同じ国かもしれないね」

「そうかもしれませんね…」

まぁ…ありえないと思うけど…。
ミラさんの後について、中に入ると、中もいかにも和風感漂う内装だった。
江戸時代くらいの剣道場みたいな…。

「ケンセイ殿!いるか!」

ミラさんが叫ぶと奥の部屋から初老の男の人が出てきた。

「これはミラ姫。よくまいられた」

「あぁ、先日の件で、この子に助力をしてもらおうと思って連れてきた」

「この少女に?」

「初めまして…」

私はケンセイさんにじっと睨まれて、ついミラさんの後ろに隠れてしまった。

「こう見えてスノウはコック長よりも優れた料理の腕を持っている。とりあえず話をしてみてくれないか?」

「ほう、あのコック長よりもか。では、話をするゆえ、こちらへ来てくれ」

ケンセイさんのあとについて、私とミラさんは奥の部屋へ入った。

奥の部屋に入ると、懐かしい匂いがした。
広がる薄緑の床。紙と木でできた横開の扉。
そう、ザ・日本の風景な一部屋だった。

「変わった部屋だろう?」

「ええ、でも私の国の部屋に似ています」

「そうなのかい?」

ミラさんは興味深そうに言う。

「まぁ、そこに座ってくれ」

ケンセイさんは座布団を2つ出して、その前に置いてある座布団に座る。

「ほう、お嬢さんはその座り方を誰かに教わったのかな?」

「え?」

自然と座布団の上に正座してしまった。
たしかに、外国の人とかはこんな座り方しないよね…。

「え、えぇ。まぁ…」

「スノウは博識なんだな。私なんか最初どう座っていいかわからなかったよ」

ミラさんも同じように正座して座る。
背筋が伸びて、これが本当の正座なのだろうと思えるものだった。

「さて、頼みというのは菓子を作ってほしい」

「へ?お菓子?」

これはまた予想外…。

「スノウ、作れるかい?」

「え?えぇ、でもただお菓子と言われても困ると言いますか…」

「そうじゃのぉ…わしの村にあった『ちゃがし』と言われる物じゃ」

「え!?茶菓子があったんですか!?」

何その村めっちゃいきたい!

「わしの小さな頃じゃったがの…素材が貴重で、わしも1度しか食べたことがない」

なんだ…せっかくこの世界のお菓子が食べられると思ったのに…。

「ちなみに…どのような形でしたか?」

「花の形をしたり、鳥の形をしたりと様々じゃったが…色合いが綺麗だったのは覚えておる」

「あぁ…和菓子のことか…」

きっと言ってるのはおそらく『ねりきり』のことだろう。
お茶菓子にしては高級な気がするけど…。

「わがし…?つまり、お嬢さんには作れると?」

「えぇ、まぁ」

和菓子も一応私は作れるようにはなった。
何かお菓子の開発に役に立つのではと近くの和菓子屋さんに5歳の時、丸々1年通っていたのだ。
天才だと言われて、将来はこの和菓子屋を継ぐのだと言われていたが、生憎、5歳の私は実家のお菓子屋さんを継ぐ気満々だったからなぁ…。

「和菓子を作るのはかまいませんが、なぜ必要なのですか?」

「うむ、実はわしの父がの…もうあまり長いこと生きられないようなのじゃ」

「……え?」

「そして、昔食べたあの菓子を食べたいと言っていての…。だが、もう素材も作れる人もいない…それをミラ姫に話したところ、もしかしたら作れるかもしれないと聞いてね」

「そう…ですか…。お父さんのために…」

「スノウ、私からも頼む。ケンセイ殿の頼みを聞き入れてくれないか?」

「……わかりました。こんど作ってきます」

これは…思ったよりも重要な仕事を請け負ったかもしれない…。
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