39 / 127
第二章
ここは私の本領発揮ですね!
しおりを挟む
ミラさんに連れられて、馬小屋へ来ると、ミラさんがノイシュを連れてきた。
「ノイシュ~久しぶり~」
最近は馬車ばかりだったから、久しぶりのノイシュにちょっとテンションが上がった。
私はノイシュの頭をわしわし撫でると、ブルルルと鳴いて、頭をすり寄せてくれた。
「城の外へ行くんですか?」
「あぁ、ちょっと剣術の道場までね」
ミラさんがノイシュにまたがり、私を引っ張り上げる。
こんな風に横になって馬に乗るのも久しぶりな気がする。
「では行こうか」
「あ、その前にリーシャとライラに言わないと…」
「大丈夫、先ほどじぃに伝言をしておいた。そのうち来るだろう」
ミラさん手が早いなぁ…。
ノイシュに乗って街へ出発!
前よりもノイシュのスピードが早くて風が気持ちよかった。
「このスピードは怖いかい?」
「いいえ、風が気持ちいいですし、ミラさんが一緒だから怖くないです」
「ふふふ…嬉しいことを言ってくれるね。あ、あそこだ」
ノイシュのスピードが少しずつ落ちて、止まったところにあったのはなんというか…この街にしては場違い感がすごい建物だった。
そう、和風…。ヨーロッパの街並みの中に1軒だけ日本の道場みたいなものが建ってる感じ…。
「変わった建物だろう?」
「は、はい…でも、私の国の建物に似ています」
「ほう?では、ここの師匠とスノウは同じ国かもしれないね」
「そうかもしれませんね…」
まぁ…ありえないと思うけど…。
ミラさんの後について、中に入ると、中もいかにも和風感漂う内装だった。
江戸時代くらいの剣道場みたいな…。
「ケンセイ殿!いるか!」
ミラさんが叫ぶと奥の部屋から初老の男の人が出てきた。
「これはミラ姫。よくまいられた」
「あぁ、先日の件で、この子に助力をしてもらおうと思って連れてきた」
「この少女に?」
「初めまして…」
私はケンセイさんにじっと睨まれて、ついミラさんの後ろに隠れてしまった。
「こう見えてスノウはコック長よりも優れた料理の腕を持っている。とりあえず話をしてみてくれないか?」
「ほう、あのコック長よりもか。では、話をするゆえ、こちらへ来てくれ」
ケンセイさんのあとについて、私とミラさんは奥の部屋へ入った。
奥の部屋に入ると、懐かしい匂いがした。
広がる薄緑の床。紙と木でできた横開の扉。
そう、ザ・日本の風景な一部屋だった。
「変わった部屋だろう?」
「ええ、でも私の国の部屋に似ています」
「そうなのかい?」
ミラさんは興味深そうに言う。
「まぁ、そこに座ってくれ」
ケンセイさんは座布団を2つ出して、その前に置いてある座布団に座る。
「ほう、お嬢さんはその座り方を誰かに教わったのかな?」
「え?」
自然と座布団の上に正座してしまった。
たしかに、外国の人とかはこんな座り方しないよね…。
「え、えぇ。まぁ…」
「スノウは博識なんだな。私なんか最初どう座っていいかわからなかったよ」
ミラさんも同じように正座して座る。
背筋が伸びて、これが本当の正座なのだろうと思えるものだった。
「さて、頼みというのは菓子を作ってほしい」
「へ?お菓子?」
これはまた予想外…。
「スノウ、作れるかい?」
「え?えぇ、でもただお菓子と言われても困ると言いますか…」
「そうじゃのぉ…わしの村にあった『ちゃがし』と言われる物じゃ」
「え!?茶菓子があったんですか!?」
何その村めっちゃいきたい!
「わしの小さな頃じゃったがの…素材が貴重で、わしも1度しか食べたことがない」
なんだ…せっかくこの世界のお菓子が食べられると思ったのに…。
「ちなみに…どのような形でしたか?」
「花の形をしたり、鳥の形をしたりと様々じゃったが…色合いが綺麗だったのは覚えておる」
「あぁ…和菓子のことか…」
きっと言ってるのはおそらく『ねりきり』のことだろう。
お茶菓子にしては高級な気がするけど…。
「わがし…?つまり、お嬢さんには作れると?」
「えぇ、まぁ」
和菓子も一応私は作れるようにはなった。
何かお菓子の開発に役に立つのではと近くの和菓子屋さんに5歳の時、丸々1年通っていたのだ。
天才だと言われて、将来はこの和菓子屋を継ぐのだと言われていたが、生憎、5歳の私は実家のお菓子屋さんを継ぐ気満々だったからなぁ…。
「和菓子を作るのはかまいませんが、なぜ必要なのですか?」
「うむ、実はわしの父がの…もうあまり長いこと生きられないようなのじゃ」
「……え?」
「そして、昔食べたあの菓子を食べたいと言っていての…。だが、もう素材も作れる人もいない…それをミラ姫に話したところ、もしかしたら作れるかもしれないと聞いてね」
「そう…ですか…。お父さんのために…」
「スノウ、私からも頼む。ケンセイ殿の頼みを聞き入れてくれないか?」
「……わかりました。こんど作ってきます」
これは…思ったよりも重要な仕事を請け負ったかもしれない…。
「ノイシュ~久しぶり~」
最近は馬車ばかりだったから、久しぶりのノイシュにちょっとテンションが上がった。
私はノイシュの頭をわしわし撫でると、ブルルルと鳴いて、頭をすり寄せてくれた。
「城の外へ行くんですか?」
「あぁ、ちょっと剣術の道場までね」
ミラさんがノイシュにまたがり、私を引っ張り上げる。
こんな風に横になって馬に乗るのも久しぶりな気がする。
「では行こうか」
「あ、その前にリーシャとライラに言わないと…」
「大丈夫、先ほどじぃに伝言をしておいた。そのうち来るだろう」
ミラさん手が早いなぁ…。
ノイシュに乗って街へ出発!
前よりもノイシュのスピードが早くて風が気持ちよかった。
「このスピードは怖いかい?」
「いいえ、風が気持ちいいですし、ミラさんが一緒だから怖くないです」
「ふふふ…嬉しいことを言ってくれるね。あ、あそこだ」
ノイシュのスピードが少しずつ落ちて、止まったところにあったのはなんというか…この街にしては場違い感がすごい建物だった。
そう、和風…。ヨーロッパの街並みの中に1軒だけ日本の道場みたいなものが建ってる感じ…。
「変わった建物だろう?」
「は、はい…でも、私の国の建物に似ています」
「ほう?では、ここの師匠とスノウは同じ国かもしれないね」
「そうかもしれませんね…」
まぁ…ありえないと思うけど…。
ミラさんの後について、中に入ると、中もいかにも和風感漂う内装だった。
江戸時代くらいの剣道場みたいな…。
「ケンセイ殿!いるか!」
ミラさんが叫ぶと奥の部屋から初老の男の人が出てきた。
「これはミラ姫。よくまいられた」
「あぁ、先日の件で、この子に助力をしてもらおうと思って連れてきた」
「この少女に?」
「初めまして…」
私はケンセイさんにじっと睨まれて、ついミラさんの後ろに隠れてしまった。
「こう見えてスノウはコック長よりも優れた料理の腕を持っている。とりあえず話をしてみてくれないか?」
「ほう、あのコック長よりもか。では、話をするゆえ、こちらへ来てくれ」
ケンセイさんのあとについて、私とミラさんは奥の部屋へ入った。
奥の部屋に入ると、懐かしい匂いがした。
広がる薄緑の床。紙と木でできた横開の扉。
そう、ザ・日本の風景な一部屋だった。
「変わった部屋だろう?」
「ええ、でも私の国の部屋に似ています」
「そうなのかい?」
ミラさんは興味深そうに言う。
「まぁ、そこに座ってくれ」
ケンセイさんは座布団を2つ出して、その前に置いてある座布団に座る。
「ほう、お嬢さんはその座り方を誰かに教わったのかな?」
「え?」
自然と座布団の上に正座してしまった。
たしかに、外国の人とかはこんな座り方しないよね…。
「え、えぇ。まぁ…」
「スノウは博識なんだな。私なんか最初どう座っていいかわからなかったよ」
ミラさんも同じように正座して座る。
背筋が伸びて、これが本当の正座なのだろうと思えるものだった。
「さて、頼みというのは菓子を作ってほしい」
「へ?お菓子?」
これはまた予想外…。
「スノウ、作れるかい?」
「え?えぇ、でもただお菓子と言われても困ると言いますか…」
「そうじゃのぉ…わしの村にあった『ちゃがし』と言われる物じゃ」
「え!?茶菓子があったんですか!?」
何その村めっちゃいきたい!
「わしの小さな頃じゃったがの…素材が貴重で、わしも1度しか食べたことがない」
なんだ…せっかくこの世界のお菓子が食べられると思ったのに…。
「ちなみに…どのような形でしたか?」
「花の形をしたり、鳥の形をしたりと様々じゃったが…色合いが綺麗だったのは覚えておる」
「あぁ…和菓子のことか…」
きっと言ってるのはおそらく『ねりきり』のことだろう。
お茶菓子にしては高級な気がするけど…。
「わがし…?つまり、お嬢さんには作れると?」
「えぇ、まぁ」
和菓子も一応私は作れるようにはなった。
何かお菓子の開発に役に立つのではと近くの和菓子屋さんに5歳の時、丸々1年通っていたのだ。
天才だと言われて、将来はこの和菓子屋を継ぐのだと言われていたが、生憎、5歳の私は実家のお菓子屋さんを継ぐ気満々だったからなぁ…。
「和菓子を作るのはかまいませんが、なぜ必要なのですか?」
「うむ、実はわしの父がの…もうあまり長いこと生きられないようなのじゃ」
「……え?」
「そして、昔食べたあの菓子を食べたいと言っていての…。だが、もう素材も作れる人もいない…それをミラ姫に話したところ、もしかしたら作れるかもしれないと聞いてね」
「そう…ですか…。お父さんのために…」
「スノウ、私からも頼む。ケンセイ殿の頼みを聞き入れてくれないか?」
「……わかりました。こんど作ってきます」
これは…思ったよりも重要な仕事を請け負ったかもしれない…。
66
お気に入りに追加
3,229
あなたにおすすめの小説
辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~
あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。
その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。
その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。
さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。
様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。
ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。
そして、旅立ちの日。
母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。
まだ六歳という幼さで。
※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。
上記サイト以外では連載しておりません。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界に行ったら才能に満ち溢れていました
みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。
異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします
水野忍舞
ファンタジー
英雄になるのを誓い合った幼馴染たちがそれぞれ戦闘向きのスキルを身に付けるなか、俺は魔法の収納庫を手に入れた。
わりと便利なスキルで喜んでいたのだが幼馴染たちは不満だったらしく色々言ってきたのでその場から立ち去った。
お金を稼ぐならとても便利なスキルじゃないかと今は思っています。
*****
ざまぁ要素はないです
テンプレを無視する異世界生活
ss
ファンタジー
主人公の如月 翔(きさらぎ しょう)は1度見聞きしたものを完璧に覚えるIQ200を超える大天才。
そんな彼が勇者召喚により異世界へ。
だが、翔には何のスキルもなかった。
翔は異世界で過ごしていくうちに異世界の真実を解き明かしていく。
これは、そんなスキルなしの大天才が行く異世界生活である..........
hotランキング2位にランクイン
人気ランキング3位にランクイン
ファンタジーで2位にランクイン
※しばらくは0時、6時、12時、6時の4本投稿にしようと思います。
※コメントが多すぎて処理しきれなくなった時は一時的に閉鎖する場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる