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第一章
刻印の儀であの人に再会しました
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朝食を終え、私達は教会に行くため馬小屋へ向かった。
「わぁ…お馬さんがいっぱいですね!」
「ふふふ、馬小屋だからね」
ミラさんが歩いていき、1番奥の馬を撫でた。
よく見ると昨日、私達が乗っていた馬だ。
顔に丸い白色の部分があるのですぐにわかった。
「昨日のお馬さん…ですよね?」
「あぁ、この子はノイシュ。私が小さい時からの相棒だよ」
ミラさんが頭をポンポンと叩くとノイシュはぶるるると軽く鳴いた。
「ノイシュ、昨日はありがとね」
私もノイシュの頭を撫でると、ノイシュは私の手をぺろぺろとなめて頭をすり寄せた。
「ノイシュが私以外に懐くなんて珍しいな」
「そうなんですか?」
「私と一緒なら人を乗せたりするが、撫でようとすると噛み付いたりするんだ」
「え!?じゃあ私、危なかったですよね!?」
「でも何事もなくすんだ。さ、行こうか」
ミラさん…豪快というか…なんというか…。
小屋からノイシュを出して、手綱をつけたら、昨日のように私は横座り、その後ろにミラさんがまたがるという形で出発。
「教会って、どんなところなんですか?」
街の中を通って、だんだん人通りが少なくなって、とうとう建物すら見えなくなったところで心配になってきた。
ものすごくボロボロの所とかだったらどうしよう…。
「とても綺麗なところだよ。ガラスに描かれている女神様が常に光を放っている不思議なところだ」
「へぇ…」
それを聞いて少し安心した。
しばらくして、それらしき建物が見えて、ミラさんがあれだよと教えてくれた。
ノイシュから降りて、教会の中に入ると、本当に女神様のガラスが光を放っている。
太陽の向きは反対なのに…。
でもなんかこの女神様…どこかで見覚えがある気が…。
「これはこれは、ミラルド姫様。ようこそ、おいでくださいました」
奥の扉から教祖らしき老人が歩いてきた。
「教祖殿、ご無沙汰している。会ったのはいつ以来だったか」
「ガルディア王子の刻印の儀以来ですので、8年ぶりかと」
「そうか、そんなにたつのか…」
ミラさんはしみじみといった感じでつぶやいた。
「そちらのお嬢様は…」
「は、はじめまして…スノウ・ウィンターウッドといいます」
優しそうな人ではあるけど、やっぱり初めての人は緊張する…。
「この子は昨日、私が森で助けたんだ。どこかから転移させられたようなんだが…刻印がなくてな。自分の身を守るために、今からでも刻印の儀を行えないかとここにきたんだ」
「さようでございますか…しかし、昔からの習わしで5歳に行っております故…上手くいくかは私にも分かりませぬな」
「うむ、やるだけやってみてくれるか?」
「わかりました、では姫様はこちらでお待ちに。スノウ殿、行きましょう」
「は、はい…」
私は教祖様に連れられ奥の部屋へ。
すると、窓も何もない部屋に連れられて心配になる。
いったい何をされるの!?
「では、今から扉を閉めます。真っ暗になりますが、心を鎮めて、女神様に祈りを捧げるのです」
「わかりました」
とは言うものの、そんな具体性のない指示を貰っても…。
扉が閉められてほんとに真っ暗になった。
「祈りって言われても…」
とりあえず、神様に祈るみたいにすればいいのかな。
目を閉じて、胸の前で手を合わせてから、深呼吸する。
(女神様、お願いします…私を助けてくれたミラさんに恩返しがしたいです。もう迷惑をかけたくないです。その為にも、刻印をください。欲張りな物言いかもしれませんが…お願いします)
しばらくそのまま目を閉じる。
しかし、何も起きないためやっぱりダメなのかと思った時、真っ暗なはずなのに、目の前が光だした。
「あなたの願い、聞き届けました」
「あ、あなたは…」
「ふふふ…またお会いできて嬉しいです」
そうだ、あのガラスの女神様も目の前にいる女神様もあの女神様だ。
私をこの世界に連れてきた謎のおばあさん。
「この世界を楽しんでいますか?幸くん。いえ、スノウとお呼びしたらいいでしょうか」
「もう…私がスノウって名乗ってるの知ってる時点で、見ていたんですよね?」
「ふふふ…すみません。でも、あなたならきっとああいう場面では助けようとすると思っていました」
「じゃあ、あの盗賊たちは女神様が仕組んだことだったんですか?」
「仕組んだわけではありません、あの者達はあの日、あの場所でミラルド姫に粛正される運命にありました。そこにあなたを少し混ぜただけです」
なんかわかったようなわからないような…。
「さて、本題に入りますが、私はあなたに頼みたいことがあってこの世界に呼んだのです」
「頼みたいこと?」
「はい、あなたミラルド姫の城で食事をしましたよね?その時に何か思いませんでしたか?」
えっと…2回食事をして…思ったこと…。
今まで出てきたのはステーキ、サラダ、スープ…。
「少し…味が質素というか、薄かった気がします」
「そうなのです、この世界では食文化がほとんど進んでいません。他にも、この世界の人達は皆、あなたの世界で言う衣食住という基本的なところがやや欠如しているのです。それは私が刻印というシステムを与え、それについての修練、鍛錬を率先的に行ってきた結果でもあるのですが…」
「つまり…女神様は私に食文化の発展を担え、とおっしゃってるんですか?」
「その通りです。あなたは私があの世界でみた誰よりも優しく、料理というものに対して真剣でした。あなたならこの世界を任せられると」
「そうは言われましても…急に知らない世界に連れてこられて…母さん達も心配してるだろうし…」
「大丈夫です。もし、あなたが帰りたいのならあの日、私があなたを連れて行った日まで戻します。だから、お願いです。私に協力をしてください」
そう言って女神様はそう言って頭を下げた。女神様にそこまでされては断れない。それに…。
「わかりました、ミラさんには助けていただいた恩返しができてませんし、協力します」
「ありがとうございます!では、あなたに刻印を与えなくてはいけませんね」
「刻印をいただけるんですか?」
「もちろんです。この世界のものでは刻印は持っていて当たり前なのですから。あなたもこの世界の住人として、持っていて然るべきものです。刻印を与えるにあたり、あなたにはいくつかの問に答えていただきます」
そこから、女神様の刻印面接が始まるのだった。
「わぁ…お馬さんがいっぱいですね!」
「ふふふ、馬小屋だからね」
ミラさんが歩いていき、1番奥の馬を撫でた。
よく見ると昨日、私達が乗っていた馬だ。
顔に丸い白色の部分があるのですぐにわかった。
「昨日のお馬さん…ですよね?」
「あぁ、この子はノイシュ。私が小さい時からの相棒だよ」
ミラさんが頭をポンポンと叩くとノイシュはぶるるると軽く鳴いた。
「ノイシュ、昨日はありがとね」
私もノイシュの頭を撫でると、ノイシュは私の手をぺろぺろとなめて頭をすり寄せた。
「ノイシュが私以外に懐くなんて珍しいな」
「そうなんですか?」
「私と一緒なら人を乗せたりするが、撫でようとすると噛み付いたりするんだ」
「え!?じゃあ私、危なかったですよね!?」
「でも何事もなくすんだ。さ、行こうか」
ミラさん…豪快というか…なんというか…。
小屋からノイシュを出して、手綱をつけたら、昨日のように私は横座り、その後ろにミラさんがまたがるという形で出発。
「教会って、どんなところなんですか?」
街の中を通って、だんだん人通りが少なくなって、とうとう建物すら見えなくなったところで心配になってきた。
ものすごくボロボロの所とかだったらどうしよう…。
「とても綺麗なところだよ。ガラスに描かれている女神様が常に光を放っている不思議なところだ」
「へぇ…」
それを聞いて少し安心した。
しばらくして、それらしき建物が見えて、ミラさんがあれだよと教えてくれた。
ノイシュから降りて、教会の中に入ると、本当に女神様のガラスが光を放っている。
太陽の向きは反対なのに…。
でもなんかこの女神様…どこかで見覚えがある気が…。
「これはこれは、ミラルド姫様。ようこそ、おいでくださいました」
奥の扉から教祖らしき老人が歩いてきた。
「教祖殿、ご無沙汰している。会ったのはいつ以来だったか」
「ガルディア王子の刻印の儀以来ですので、8年ぶりかと」
「そうか、そんなにたつのか…」
ミラさんはしみじみといった感じでつぶやいた。
「そちらのお嬢様は…」
「は、はじめまして…スノウ・ウィンターウッドといいます」
優しそうな人ではあるけど、やっぱり初めての人は緊張する…。
「この子は昨日、私が森で助けたんだ。どこかから転移させられたようなんだが…刻印がなくてな。自分の身を守るために、今からでも刻印の儀を行えないかとここにきたんだ」
「さようでございますか…しかし、昔からの習わしで5歳に行っております故…上手くいくかは私にも分かりませぬな」
「うむ、やるだけやってみてくれるか?」
「わかりました、では姫様はこちらでお待ちに。スノウ殿、行きましょう」
「は、はい…」
私は教祖様に連れられ奥の部屋へ。
すると、窓も何もない部屋に連れられて心配になる。
いったい何をされるの!?
「では、今から扉を閉めます。真っ暗になりますが、心を鎮めて、女神様に祈りを捧げるのです」
「わかりました」
とは言うものの、そんな具体性のない指示を貰っても…。
扉が閉められてほんとに真っ暗になった。
「祈りって言われても…」
とりあえず、神様に祈るみたいにすればいいのかな。
目を閉じて、胸の前で手を合わせてから、深呼吸する。
(女神様、お願いします…私を助けてくれたミラさんに恩返しがしたいです。もう迷惑をかけたくないです。その為にも、刻印をください。欲張りな物言いかもしれませんが…お願いします)
しばらくそのまま目を閉じる。
しかし、何も起きないためやっぱりダメなのかと思った時、真っ暗なはずなのに、目の前が光だした。
「あなたの願い、聞き届けました」
「あ、あなたは…」
「ふふふ…またお会いできて嬉しいです」
そうだ、あのガラスの女神様も目の前にいる女神様もあの女神様だ。
私をこの世界に連れてきた謎のおばあさん。
「この世界を楽しんでいますか?幸くん。いえ、スノウとお呼びしたらいいでしょうか」
「もう…私がスノウって名乗ってるの知ってる時点で、見ていたんですよね?」
「ふふふ…すみません。でも、あなたならきっとああいう場面では助けようとすると思っていました」
「じゃあ、あの盗賊たちは女神様が仕組んだことだったんですか?」
「仕組んだわけではありません、あの者達はあの日、あの場所でミラルド姫に粛正される運命にありました。そこにあなたを少し混ぜただけです」
なんかわかったようなわからないような…。
「さて、本題に入りますが、私はあなたに頼みたいことがあってこの世界に呼んだのです」
「頼みたいこと?」
「はい、あなたミラルド姫の城で食事をしましたよね?その時に何か思いませんでしたか?」
えっと…2回食事をして…思ったこと…。
今まで出てきたのはステーキ、サラダ、スープ…。
「少し…味が質素というか、薄かった気がします」
「そうなのです、この世界では食文化がほとんど進んでいません。他にも、この世界の人達は皆、あなたの世界で言う衣食住という基本的なところがやや欠如しているのです。それは私が刻印というシステムを与え、それについての修練、鍛錬を率先的に行ってきた結果でもあるのですが…」
「つまり…女神様は私に食文化の発展を担え、とおっしゃってるんですか?」
「その通りです。あなたは私があの世界でみた誰よりも優しく、料理というものに対して真剣でした。あなたならこの世界を任せられると」
「そうは言われましても…急に知らない世界に連れてこられて…母さん達も心配してるだろうし…」
「大丈夫です。もし、あなたが帰りたいのならあの日、私があなたを連れて行った日まで戻します。だから、お願いです。私に協力をしてください」
そう言って女神様はそう言って頭を下げた。女神様にそこまでされては断れない。それに…。
「わかりました、ミラさんには助けていただいた恩返しができてませんし、協力します」
「ありがとうございます!では、あなたに刻印を与えなくてはいけませんね」
「刻印をいただけるんですか?」
「もちろんです。この世界のものでは刻印は持っていて当たり前なのですから。あなたもこの世界の住人として、持っていて然るべきものです。刻印を与えるにあたり、あなたにはいくつかの問に答えていただきます」
そこから、女神様の刻印面接が始まるのだった。
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