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第一章
王子様は本当にいたのです
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「だ、大丈夫ですか!?」
男の人の様子を見て、警戒よりも心配のほうが大きくなってすぐに近づいた。
よく見るとお腹あたりに血が滲み、あちこち怪我をしている。
「急に…獣に襲われて…あそこにある…カバンから…薬をとって…くれ…」
「わ、わかりました!きゃっ!?」
私は男の視線の先にあるカバンを取りに行き、カバンを掴もうとした瞬間、私の腕が掴まれた。
「へっへっへ…こりゃ上物だなぁ」
「こんなところにこんな可愛いお嬢さんが1人で来るなんて危ないんじゃないのかねぇ?ひひひ」
どうやら盗賊らしき人達で、体も大きく、腰には大きな剣を持っていた。
「まったく、不用心だねぇ。もっと人を疑わなきゃダメだぜ?」
さっきまで怪我をしているフリをしていた男が平然とこちらに歩いてきた。
「は、離して!あなた怪我してたんじゃないの!?」
「あぁ?こんなんただの血糊に決まってんだろ?ほーれ」
男が服をめくり上げるとお腹には何も怪我などなかった。
「さーて、これからどこに売り飛ばしてやろうか?お嬢ちゃんくらい可愛いならどこでも高値で売れるだろうよ。その前に、つまみ食いでもするか?」
そう言うって男は私に近づく。
逃げようとしたが、私は腕を掴んできた男に羽交い締めにされ、身動きがとれなかった。
そして、とうとう私に手が届くまでの距離にきた男は、私の胸元を両手で掴み、まるでポテトチップスの袋を開けるように服を破いた。
「おーおー背はちっこいし胸も発展途上って感じだなぁ?」
「見ろよ、刻印もねーぜ。こりゃますますレアだな」
刻印?何を言ってるんだろう…。
私はこれから何をされるのかわからず、だんだん恐怖と嫌悪感が心を支配して言った。
「や、やめて…」
「いいねぇ…その顔…せいぜい楽しませてくれよ」
私の肌を舐め回すように見ている男がそう言って私に触れようとして目をぎゅっとつむる。
その瞬間、私の前を何かが横切るような風を感じた。
「あぁー!?俺の、俺の腕がぁ!?」
恐る恐る目を開けると、男の右腕が地に落ちていて、男は必死に腕を押さえていた。
「貴様ら、寄ってたかって可憐な少女に何をしている」
声のする方を見ると、剣を持ったイケメンが立っていた。
王子だ。長いまっすぐな金色の髪。シュッと伸びた背筋。こういうのを王子様というのだろうと思った。
「てめぇ…よくも!」
他の盗賊2人が剣を抜き、王子様(仮)に向かっていく。
王子様はその2人の攻撃をするりとかわし、私の前まで近づいた。
「怖かっただろう?もう少し待っていてくれ」
私はただコクコクとうなづくと王子様はいい子だと笑って2人に向かっていく。
2人がかりで少し心配だったが、王子様はとても強くて、あっというまに倒してしまった。
「さて、この子の心を穢した代償は貴様らの死だ。覚悟はいいか?」
そう言って王子様は剣を盗賊たちに向ける。
え!?こ、殺すの!?
私は王子様の発言を聞いて、あわてて止めに入る。
「わ、私は大丈夫ですから…どうかお命だけは助けてあげてください」
私の言葉を聞いて、王子様はやや驚いた表情を見せたが、剣を鞘に納めた。
「この寛大なお嬢さんに感謝するんだな。さっさと私たちの前から消えろ」
「い、いくぞ…」
盗賊の1人がそういうと他の2人もそれについていきました。
盗賊たちが見えなくなったところで王子様が私に振り返る。
「怖かっただろう?もう大丈夫だよ」
王子様がそう言って私に上着をかけて、優しく抱きしめてくれた。
「うぅ…ぐす…」
私は安心してか、緊張の糸が切れたのか、王子様の胸に顔を埋め、泣きだしてしまった。
男の人の様子を見て、警戒よりも心配のほうが大きくなってすぐに近づいた。
よく見るとお腹あたりに血が滲み、あちこち怪我をしている。
「急に…獣に襲われて…あそこにある…カバンから…薬をとって…くれ…」
「わ、わかりました!きゃっ!?」
私は男の視線の先にあるカバンを取りに行き、カバンを掴もうとした瞬間、私の腕が掴まれた。
「へっへっへ…こりゃ上物だなぁ」
「こんなところにこんな可愛いお嬢さんが1人で来るなんて危ないんじゃないのかねぇ?ひひひ」
どうやら盗賊らしき人達で、体も大きく、腰には大きな剣を持っていた。
「まったく、不用心だねぇ。もっと人を疑わなきゃダメだぜ?」
さっきまで怪我をしているフリをしていた男が平然とこちらに歩いてきた。
「は、離して!あなた怪我してたんじゃないの!?」
「あぁ?こんなんただの血糊に決まってんだろ?ほーれ」
男が服をめくり上げるとお腹には何も怪我などなかった。
「さーて、これからどこに売り飛ばしてやろうか?お嬢ちゃんくらい可愛いならどこでも高値で売れるだろうよ。その前に、つまみ食いでもするか?」
そう言うって男は私に近づく。
逃げようとしたが、私は腕を掴んできた男に羽交い締めにされ、身動きがとれなかった。
そして、とうとう私に手が届くまでの距離にきた男は、私の胸元を両手で掴み、まるでポテトチップスの袋を開けるように服を破いた。
「おーおー背はちっこいし胸も発展途上って感じだなぁ?」
「見ろよ、刻印もねーぜ。こりゃますますレアだな」
刻印?何を言ってるんだろう…。
私はこれから何をされるのかわからず、だんだん恐怖と嫌悪感が心を支配して言った。
「や、やめて…」
「いいねぇ…その顔…せいぜい楽しませてくれよ」
私の肌を舐め回すように見ている男がそう言って私に触れようとして目をぎゅっとつむる。
その瞬間、私の前を何かが横切るような風を感じた。
「あぁー!?俺の、俺の腕がぁ!?」
恐る恐る目を開けると、男の右腕が地に落ちていて、男は必死に腕を押さえていた。
「貴様ら、寄ってたかって可憐な少女に何をしている」
声のする方を見ると、剣を持ったイケメンが立っていた。
王子だ。長いまっすぐな金色の髪。シュッと伸びた背筋。こういうのを王子様というのだろうと思った。
「てめぇ…よくも!」
他の盗賊2人が剣を抜き、王子様(仮)に向かっていく。
王子様はその2人の攻撃をするりとかわし、私の前まで近づいた。
「怖かっただろう?もう少し待っていてくれ」
私はただコクコクとうなづくと王子様はいい子だと笑って2人に向かっていく。
2人がかりで少し心配だったが、王子様はとても強くて、あっというまに倒してしまった。
「さて、この子の心を穢した代償は貴様らの死だ。覚悟はいいか?」
そう言って王子様は剣を盗賊たちに向ける。
え!?こ、殺すの!?
私は王子様の発言を聞いて、あわてて止めに入る。
「わ、私は大丈夫ですから…どうかお命だけは助けてあげてください」
私の言葉を聞いて、王子様はやや驚いた表情を見せたが、剣を鞘に納めた。
「この寛大なお嬢さんに感謝するんだな。さっさと私たちの前から消えろ」
「い、いくぞ…」
盗賊の1人がそういうと他の2人もそれについていきました。
盗賊たちが見えなくなったところで王子様が私に振り返る。
「怖かっただろう?もう大丈夫だよ」
王子様がそう言って私に上着をかけて、優しく抱きしめてくれた。
「うぅ…ぐす…」
私は安心してか、緊張の糸が切れたのか、王子様の胸に顔を埋め、泣きだしてしまった。
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