女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介

文字の大きさ
上 下
2 / 127
第一章

気がつくと場所も体も見覚えがありません。

しおりを挟む
目が覚めると私は森の中にいた。
…って私?

「なんで私なんて…ってなんか見覚えのないふくらみが…」

下を向くとすぐ近くにほんのりと胸のあたりが、というか胸が膨らんでいた。
服の中をのぞくと明らかに胸が膨らんでいる。

「な、な、なんで!?なにこれ!?」

気がついたら声が高い。目線はあんまり変わらないけど、服もなんだかひらひらしてる。

「あ、あぁ…きっと夢ですね。ありますあります、変わった夢を見るときありますよね。ほら、頬をひっぱても全然いててててて…」

自分の頬を引っ張るととても痛くて、手を放してから引っ張った部分をなでる。

「夢じゃない…のかな」

うん、やっぱりまずは状況を整理しよう。
私は家について、おばあさんが光って…。
あのおばあさん確か…願いを聞き入れたって言ってた。
ということは、私は今どこかの世界で女の子になっている…?

「冗談のつもりだったんだけど…」

そう言って私はため息をついた。

「いえ、せっかく女の子になったんですもの!楽しまないと損よね!まずは人を探さないと…」

私はとりあえず歩きだすことにした。
いろいろ、考えながら歩いていて、わかったことがいくつかあった。
まず、一人称が強制的に頭の中で『私』になること。
あと、考え方や口調が女の子のように変換される。

それと、物をジーっと見つめるとその物の名前や効能が文字として表示されるのだ。
正直これは助かる。食べられるものと食べられないものがわかる。
この世界ではこれが普通なのか、それとも私だけ特別なのか。
それを知るためにも人を探さないと。
しばらく歩くと森を抜けたが、すぐ近くに大きな川で隔たりができていて、向こう岸にいけないようになっていた。

「困ったなぁ…どこかに橋は…ないよね」

周りをきょろきょろ見回しても橋らしきものは何も見えなかった。

「そこに…誰かいる…のか」

川の近くの茂みから、小さいけど、確かに声が聞こえた。

「だれ!?」

この感じだと人に会えたことへの安心よりも警戒のほうが強い。

「頼む…助けてくれ…」

恐る恐る声のほうへ近づくと、傷だらけの男の人が木にもたれかかっていた。



しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く?

シ・ガレット
ファンタジー
おっさんが異世界を満喫する、ほのぼの冒険ファンタジー、開幕! 気づくと、異世界に飛ばされていたおっさん・タクマ(35歳)。その世界を管理する女神によると、もう地球には帰れないとのこと……。しかし、諦めのいい彼は運命を受け入れ、異世界で生きることを決意。女神により付与された、地球の商品を購入できる能力「異世界商店」で、バイクを買ったり、キャンプ道具を揃えたり、気ままな異世界ライフを謳歌する! 懐いてくれた子狼のヴァイス、愛くるしい孤児たち、そんな可愛い存在たちに囲まれて、おっさんは今日も何処へ行く? 2017/12/14 コミカライズ公開となりました!作画のひらぶき先生はしっかりとした描写力に定評のある方なので、また違った世界を見せてくれるものと信じております。 2021年1月 小説10巻&漫画6巻発売 皆様のお陰で、累計(電子込み)55万部突破!! 是非、小説、コミカライズ共々「異世界おっさん」をよろしくお願い致します。 ※感想はいつでも受付ていますが、初めて読む方は感想は見ない方が良いと思います。ネタバレを隠していないので^^;

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。 二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。 失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。 ――そう、引き篭もるようにして……。 表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。 じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。 ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。 ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます

今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。 アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて…… 表紙 チルヲさん 出てくる料理は架空のものです 造語もあります11/9 参考にしている本 中世ヨーロッパの農村の生活 中世ヨーロッパを生きる 中世ヨーロッパの都市の生活 中世ヨーロッパの暮らし 中世ヨーロッパのレシピ wikipediaなど

処理中です...