女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介

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第一章

気がつくと場所も体も見覚えがありません。

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目が覚めると私は森の中にいた。
…って私?

「なんで私なんて…ってなんか見覚えのないふくらみが…」

下を向くとすぐ近くにほんのりと胸のあたりが、というか胸が膨らんでいた。
服の中をのぞくと明らかに胸が膨らんでいる。

「な、な、なんで!?なにこれ!?」

気がついたら声が高い。目線はあんまり変わらないけど、服もなんだかひらひらしてる。

「あ、あぁ…きっと夢ですね。ありますあります、変わった夢を見るときありますよね。ほら、頬をひっぱても全然いててててて…」

自分の頬を引っ張るととても痛くて、手を放してから引っ張った部分をなでる。

「夢じゃない…のかな」

うん、やっぱりまずは状況を整理しよう。
私は家について、おばあさんが光って…。
あのおばあさん確か…願いを聞き入れたって言ってた。
ということは、私は今どこかの世界で女の子になっている…?

「冗談のつもりだったんだけど…」

そう言って私はため息をついた。

「いえ、せっかく女の子になったんですもの!楽しまないと損よね!まずは人を探さないと…」

私はとりあえず歩きだすことにした。
いろいろ、考えながら歩いていて、わかったことがいくつかあった。
まず、一人称が強制的に頭の中で『私』になること。
あと、考え方や口調が女の子のように変換される。

それと、物をジーっと見つめるとその物の名前や効能が文字として表示されるのだ。
正直これは助かる。食べられるものと食べられないものがわかる。
この世界ではこれが普通なのか、それとも私だけ特別なのか。
それを知るためにも人を探さないと。
しばらく歩くと森を抜けたが、すぐ近くに大きな川で隔たりができていて、向こう岸にいけないようになっていた。

「困ったなぁ…どこかに橋は…ないよね」

周りをきょろきょろ見回しても橋らしきものは何も見えなかった。

「そこに…誰かいる…のか」

川の近くの茂みから、小さいけど、確かに声が聞こえた。

「だれ!?」

この感じだと人に会えたことへの安心よりも警戒のほうが強い。

「頼む…助けてくれ…」

恐る恐る声のほうへ近づくと、傷だらけの男の人が木にもたれかかっていた。



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