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第四章

謀られた帰還

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私は飴を舐めつつ王宮のウルルが指す方向を見つめた。

「えっと…人は二人…かな。一人は羽があって、もう一人はちょっと太り気味で垂れた耳があるわ。太ってる方は大きい椅子に座ってる。あれがウルルのパパ?」

私の説明を聞きながらウルルの表情がだんだん青ざめていった。

「みんな!すぐに降りる準備をして!」

「え?急にどうしたの?」

「いいから!」

私とライラ、リーシャは必要最低限のものをまとめて降りれる状態になった。

怒蓄電ストレスチャージ発散バースト!」

ウルルの右手に雷がバリバリと音を立てて溜まり、その手を上げた瞬間に馬車の屋根を突き破る電撃が放たれた。

「ライラ!リーシャ!貴方達はスノウを抱えて私についてきなさい!スノウは全力でどっちかにしがみついて!」

「了解致しました」
「お嬢様、しっかり捕まってくださいね!」

ウルルが狼の姿に変わり、屋根の上から出る。
それを追うように私の荷物を持ったリーシャと私を抱っこしたライラが飛び出していった。

「きゃー!」

その衝撃の強さに思わず私はぎゅっと目を閉じ叫んでしまった。

飛び跳ねた時の衝撃が弱くなったところでゆっくり目を開けると、私達は宙にいて、下の方には兵隊のような格好をした集団が私達の馬車を囲っていた。

「お嬢様!口を閉じてください!舌を噛んでしまいます!」

「な、なにこれ!なにこれー!?なんで私達逃げてるのー!?」

そのまま建物の屋根に飛び降り走り出す。

「いいから今は逃げるわよ!出来るだけ静かについてきなさい!怒蓄電ストレスチャージ刺激スティムレーション!」

雷がウルルの脚を覆い、目にも留まらぬスピードで屋根の上を飛び乗っていく。
それに合わせてリーシャが指を鳴らすと、リーシャの足裏に水の玉が現れて、それについていく。

「お嬢様、振り落とされないでくださいね!召喚サモンブーツ!」

ライラの足に金属でできたような靴が現れて、ウルル達のスピードに合わせて加速する。
その時の衝撃は馬車を飛び出した時よりも強く、私はとうとう気を失ってしまった。
私のビース訪問はあんなに期待していたお魚のことなど頭の中から搔き消えるほど慌ただしく、かつ危険な始まり方をしたのだった。
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