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第四章

ウルルの実力

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「ふのう…ほへはほういう…」

「しっ!電力が落ちちゃう!」

今、馬車の中ではホットプレートのコンセントを咥えるお姫様と、そのホットプレートを見つめるお姫様候補というなかなか謎な光景が広がっていた。

私は電気を出すウルルなら電化製品も扱えるのではと思い駄目元で出してみた。
それがうまくいった。ホットプレートの電源が入った時はテンションマックスだ。
もうなんでもいいから作りたい気分になった。

ちょっと火力に不満があるが、今はそんなことはどうでも良いのだ。

「……できた!」

私はホットプレートの蓋を開けて美味しそうな黄色のフレンチトーストを見つめた。
うん、我ながらよくできてる。

私は紙皿にフレンチトーストを1枚ずつ取り、みんなに渡した。

「おいしそう!」

「ありがとうございます、お嬢様」

「ありがとうございます!」

「それじゃあいただきま…きゃっ!?」

「あ…」

私が手を合わせていただきますと言おうとしたところで馬車が大きく揺れた。
私とライラ、リーシャはあいさつのために紙皿を椅子に置いていたが、ウルルは手に紙皿を持っていたため揺れでフレンチトーストを落としてしまった。
揺れとともにどうやら馬車は止まったようだ。

「あ…あぁ…!私の…フレンチトースト…」

落ちてしまったフレンチトーストを涙ぐみながら見つめるウルル。
そしてゆっくりと落ちたフレンチトーストを紙皿に戻した。

「うん…落ちてないわ…これは落ちてないのよ…」

そう自分に言い聞かせながらフレンチトーストを食べようとしたので、私が慌てて皿を取り上げた。

「落ちてたよ!?お姫様が床に落ちたもの食べちゃダメ!」

「うぅ…!」

マジ泣き!?ていうかさっきの揺れ何!?

「スノウ様!大変です!馬車が賊に囲まれました!」

慌てて御者の人が戸を開けて報告に来た。

「えぇ!?賊!?賊ってあの賊!?」

「どの賊かはわかりませんが、たぶんその賊ですよ」

「いや、冷静すぎでしょ!?襲われそうなんだよ!?」

「まぁ…はい」

あぁもう!これだから魔獣殺しは!

「おらぁ!そこの馬車の中の奴ら!大人しく出てきやがれ!」

おそらくボスであろう男が外で叫んでいた。

「ど、どうしよう…ねぇライラ…?」

私は最初にこの世界に来たときのこと思い出し、だんだん怖くなった。

(あのお嬢様が怯えてらっしゃる?)
(よほどの恐怖があるということでしょうか…?)

「ねぇ…リーシャぁ…」

私はあまりの怖さにリーシャの袖を掴んだ。

(やっぱり普段は強そうに見えても少女なのですね…)

「おらぁ!早くでてきやがれ!」

「ひっ…」

私は賊のボスの叫び声に驚いて小さく悲鳴をあげた。

(私のお嬢様に脅しなんて…この賊…)

「…殺す」

小さく呟いてライラが馬車から出ようとしたが私がライラの袖を掴んだ。

「ライラ…いっちゃダメ…」

私に掴まれて少し困ったようになるライラ。
しかし、困っている間にウルルが無言で馬車を出た。

「ウルル…だめ!」

「あぁん?やっと一人出てきたか」

ウルルを見るために外を見ると周りはゲームでしかみたことないような盗賊の一団が馬車を囲っていた。

「他のやつらも早くでてきや…ぎゃぁ!?」

盗賊のボスが叫んでる途中で急に叫んで倒れた。

「お頭!?てめぇ!お頭になにをぐぉ!?」

また盗賊の一人が倒れた。

「ライラ、リーシャ…そなたらはスノウを守るがよい。こやつらは私が相手をする。そのかわり、スノウに傷一つつけることは許さぬ」

「「はっ!」」

急にウルルが凛々しくなったように見えるけど…。

「そなたら…逃げるなら今のうちだぞ…?」

「ガキ一人が調子のってんじゃねーぞ!」

盗賊の一人が叫ぶと賊の全員がウルルに向かって走り出した。

「ウルル!」

怒蓄電ストレスチャージ……発散バースト!」

ウルルが叫ぶと同時にウルルから目で見えるほどの雷が全体に広がり、眩しすぎて私は目をぎゅっと閉じた。
そしてゆっくりと目を開けると、盗賊全員が倒れて、お肉の焦げたような臭いがした。

「まったく!私の友達が怯えているでしょ!それと、あなた達のせいでフレンチトーストが台無しよ!次は相手を選んで襲うんだね!」

そう言ってぷりぷりと怒ってウルルが戻ってきた。
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