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第四章

ごめんなさい…気をつけます

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「スノウ様、お待たせいたしました」

まず最初にセバさんが入ってきて、後ろに人影が見えた。

「はじめまして、スノウ様。クラロース家当主、カルファム・クラロースだ。こちらは妻のセリー」

そういってカルファム様とセリー様はお辞儀した。
私も立ち上がってお辞儀をする。

「はじめまして。まずは急な来訪、お詫びいたします」

「いえ、事情はセバより聞きました。セルファムを起こせる方法があると?」

「はい。あります」

私の返事をきいて、クラロース夫妻は表情を明るくした。

「とりあえず、詳しくお話しいたしますね」

私はとりあえず、リーフェを回復させるお茶を作ったことを私の異能のことを伏せて説明した。
したけども、いまいち信用してないな…。まぁ、そうよね。リーフェ切れっていうなればこの人たちからすれば不治の病みたいなもの…だし?

「信用…していただけませんか?」

「すみません…しかし、我々も一応医者の家系です。その悲願であるリーフェの使用過多をその飲み物だけで治せるなんて…」

「…わかりました。もし、これでセルファム様がお目覚めにならなければ、嘘を吐いたお詫びとして私のお店で得た収益をクラロース家に全てお譲り致します」

「…!?お、お嬢様!?」

「そのかわり、もしお目覚めになられたらカルファム様に一つお願いがございます。よろしいですか?」

収益の計算はライラに任せているからどれほどの額になるかわかっているだろう。
ライラの反応を見て、とんでもない額であろうことを察したのか、カルファム様は私の発言に了承し、私たちはセルファム様の部屋に通された。

「わぁ…きれい…」

セルファム様の部屋はなんというか、寂しいほどの綺麗さだった。
部屋にある光はセバさんの持っているロウソクと月光。
ほんのりと吹いている夜風がカーテンを揺らして入ってくる中、窓のすぐ横にあるベッドの上で細身で金髪の男の人が眠っている。

私は部屋に入ってセルファム様をじーと見てみた。

----------------------------
セルファム・クラロース
刻印:赤の十字
異能:癒しの炎ヒールフレア
リーフェ:-800/1000
状態:女神の慈悲
----------------------------

(マイナス…これがリーフェ使用過多の人の状態…)

私の見た限りではリーフェは使うと減って、次の日の朝には回復していたのだが、回復が遅くなる原因でもあるのだろうか…。
それに、この『状態』なんてものは他の人で見たことない。
うーん…謎だ。でもとりあえず回復のお茶をのんでもらわないと困る。
さてさて…。

「うーん…ねぇリーシャ。眠っている人に何かを飲ませるにはどうしたらいいかしら」

「え?もしかしてなにもお考えになっていなかったのですか?」

「え?うん、とりあえず口に入れたらいいのかなーって思ってたけど、実際を見てみるとただなぁって」

「えぇ!?それなのに全財産おかけになったのですか1?」

ライラにまで言われてしまった。
あ、そうだ。

「そうよ!この手があったわ!リーシャ、お茶!」

「お、お嬢様…?何をなさるのですか?」

「いいからいいから!この方法で飲ませているの見たことあるし!」

映画とかでたくさん!

「は、はぁ…」

リーシャから水筒を受け取ってお茶をコップに出して、口に含んだ。
そして、私はそのままセルファム様の顔に顔を近づけた。
近づけたのだが、ライラにお腹から抱き上げられ、一旦引き剥がされる。
その勢いでお茶を飲み込んでしまった。

「お、お嬢様!!いいいいいったい何をされているのですか!?」

「何って…口移しなら飲ませられるかなって」

「く、口移し!?!?いけません!嫁入り前の娘が簡単に接吻を許してはいけません!!!」

「せ、接吻!?これは医療行為であってそういうのじゃ…」

でも、たしかにこの世界で人工呼吸とかなさそうだもんね…助けようと必死になりすぎた…。

「お嬢様、ストローを使ったらいいんじゃなですか?」

「ストロー?あ、なるほど」

要は点滴のストロー版…あ、それなら。

「創造、注射器」

私はクラロース家の人に見られないように昔、注射器の形をしたお菓子があったのを思い出して、その容器を作った。もちろん針は付いていない。

「これなら口に入れられると思うわ」

私は注射器にお茶を入れて、ゆっくりセルファム様の口にお茶を流し込む。

しばらくして…セルファム様はゆっくりと目を開けた。
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