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第四章
これなら、いいでしょ?
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「ライラ!いるかしら!?」
私が勢いよくライラの部屋の扉を開けると、ベッドに座ってたライラがびっくりして振り向いた。
「お、お嬢様!?急にどうされたんですか…?」
ライラが若干警戒しながらじっとこっちを見ている。
「ライラ、ごめんなさい」
「え?」
「私、ライシン村で倒れたのに軽率だったね」
私の異能は『おまじない』を使うときだけ、リーフェの消費が上がる。
私自身のリーフェの数値の減りで、特に命を救うようなもの付加しようとすると特に消費する。
それを知っててもあんな風に簡単に助けようとしたのは、あまりにも軽率だった。
「リーシャにライラのこと聞いたの。私、あなたのこと…ううん。使用人やメイドさんがどんな風に主人を見ているかなんて、考えたこともなかった。今まですごく心配かけちゃってたよね…」
「お嬢様…。その…私もお嬢様に対して失礼な態度をとってしまいました…申し訳ございません」
ライラはそう言って頭を下げた。
「それはいいの。私のことを思ってくれてたんだもの」
「お嬢様…」
「でもね、私はあの子犬を見捨てることなんてできないわ。だからライラ、今から異能を使っても大丈夫だということを証明してあげるわ」
「へ?」
「出かけるわよ!」
「え、お嬢様!?い、いったいどちらへ…」
「クラロース家よ」
「えぇ!?」
私はライラを引っ張って、外まで行く。
扉のすぐそこにリーシャが馬車を用意して待っていた。
「さ、乗りなさいライラ」
私はライラを馬車に無理やり乗せて、リーシャに出発してもらった。
「お嬢様…これはどういう…」
「いいから。私はライラの主人だから、メイドを安心させるために動くの」
「は、はぁ…」
よくわからないといった感じでライラは返事をして、しばらく無言で馬車は進んでいった。
「お嬢様、到着しました」
「ありがとう、リーシャ。さ、いくわよライラ」
「お、お嬢様…私…」
「いいから。いくわよ」
ライラを引っ張り出して、門の前に立った。
クラロース家は治療院もしているが、さすがにこの時間ではやっていないか。
そんなことを考えていたら扉が空いた。
「どちら様でございましょう…か…ライラか?」
「お、お久しぶりです…セバさん」
扉からは初老のザ・執事さんみたいな人が出てきた。
「久しぶり。今日はどんな用できたのかね?」
「そ、それは…」
「はじめまして、セバ様。ライラの今の主人のスノウ・ウィンターウッドと言います。突然の訪問、大変失礼いたしました。実は私、セルファム様に用があるんです」
「お嬢さんが?セルファム様は現在ご病気で…」
「ライラがそれを気にして仕事に集中できないんです。だから、主人としてセルファム様を起こしにきました」
「い、今なんと!?セルファム様を起こす!?」
「えぇ。確実に起こします」
「と、とりあえず中へ…私の一存で決められないことですので、旦那様と奥様をお呼びいたします」
私たちは一旦、応接室へ通されて待機していた。
「お嬢様。これはどういうことですか」
「ライラはリーフェ切れで私が倒れることを心配してくれているのよね?」
「そうですが…」
「これはね、私が前に作った物なんだけど」
私はリーシャの持っていた鞄から水筒を出してもらい受け取った。
「これは?」
「そうね…まだリーフェ切れの人に使ったことはないのだけど、このお茶を飲めば体の中はリーフェで満たされるの」
リーフェ切れは私がリーフェの説明を聞いた時に一番警戒していたことだ。ライシン村では『創造』しか知らずに、使いすぎてしまったけど…。
このお茶は、ライシン村から戻って作った物で、実験したところ、私のリーフェ9499が9999に戻ったので、『おまじない』は成功しているはずだ。
「じゃ、じゃあこれを飲めば、セルファム様は!」
「目が覚めるはずよ」
まだ少し状況についていけてないのか、ライラはよくわからない表情をしていた。
まぁ、目が覚めた本人を見ればきっと喜ぶでしょ。えぇ、泣いて喜ばせてやるんだから!
私が燃えている中、控え室の扉が開いた。
私が勢いよくライラの部屋の扉を開けると、ベッドに座ってたライラがびっくりして振り向いた。
「お、お嬢様!?急にどうされたんですか…?」
ライラが若干警戒しながらじっとこっちを見ている。
「ライラ、ごめんなさい」
「え?」
「私、ライシン村で倒れたのに軽率だったね」
私の異能は『おまじない』を使うときだけ、リーフェの消費が上がる。
私自身のリーフェの数値の減りで、特に命を救うようなもの付加しようとすると特に消費する。
それを知っててもあんな風に簡単に助けようとしたのは、あまりにも軽率だった。
「リーシャにライラのこと聞いたの。私、あなたのこと…ううん。使用人やメイドさんがどんな風に主人を見ているかなんて、考えたこともなかった。今まですごく心配かけちゃってたよね…」
「お嬢様…。その…私もお嬢様に対して失礼な態度をとってしまいました…申し訳ございません」
ライラはそう言って頭を下げた。
「それはいいの。私のことを思ってくれてたんだもの」
「お嬢様…」
「でもね、私はあの子犬を見捨てることなんてできないわ。だからライラ、今から異能を使っても大丈夫だということを証明してあげるわ」
「へ?」
「出かけるわよ!」
「え、お嬢様!?い、いったいどちらへ…」
「クラロース家よ」
「えぇ!?」
私はライラを引っ張って、外まで行く。
扉のすぐそこにリーシャが馬車を用意して待っていた。
「さ、乗りなさいライラ」
私はライラを馬車に無理やり乗せて、リーシャに出発してもらった。
「お嬢様…これはどういう…」
「いいから。私はライラの主人だから、メイドを安心させるために動くの」
「は、はぁ…」
よくわからないといった感じでライラは返事をして、しばらく無言で馬車は進んでいった。
「お嬢様、到着しました」
「ありがとう、リーシャ。さ、いくわよライラ」
「お、お嬢様…私…」
「いいから。いくわよ」
ライラを引っ張り出して、門の前に立った。
クラロース家は治療院もしているが、さすがにこの時間ではやっていないか。
そんなことを考えていたら扉が空いた。
「どちら様でございましょう…か…ライラか?」
「お、お久しぶりです…セバさん」
扉からは初老のザ・執事さんみたいな人が出てきた。
「久しぶり。今日はどんな用できたのかね?」
「そ、それは…」
「はじめまして、セバ様。ライラの今の主人のスノウ・ウィンターウッドと言います。突然の訪問、大変失礼いたしました。実は私、セルファム様に用があるんです」
「お嬢さんが?セルファム様は現在ご病気で…」
「ライラがそれを気にして仕事に集中できないんです。だから、主人としてセルファム様を起こしにきました」
「い、今なんと!?セルファム様を起こす!?」
「えぇ。確実に起こします」
「と、とりあえず中へ…私の一存で決められないことですので、旦那様と奥様をお呼びいたします」
私たちは一旦、応接室へ通されて待機していた。
「お嬢様。これはどういうことですか」
「ライラはリーフェ切れで私が倒れることを心配してくれているのよね?」
「そうですが…」
「これはね、私が前に作った物なんだけど」
私はリーシャの持っていた鞄から水筒を出してもらい受け取った。
「これは?」
「そうね…まだリーフェ切れの人に使ったことはないのだけど、このお茶を飲めば体の中はリーフェで満たされるの」
リーフェ切れは私がリーフェの説明を聞いた時に一番警戒していたことだ。ライシン村では『創造』しか知らずに、使いすぎてしまったけど…。
このお茶は、ライシン村から戻って作った物で、実験したところ、私のリーフェ9499が9999に戻ったので、『おまじない』は成功しているはずだ。
「じゃ、じゃあこれを飲めば、セルファム様は!」
「目が覚めるはずよ」
まだ少し状況についていけてないのか、ライラはよくわからない表情をしていた。
まぁ、目が覚めた本人を見ればきっと喜ぶでしょ。えぇ、泣いて喜ばせてやるんだから!
私が燃えている中、控え室の扉が開いた。
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