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ユルゲン・クリーガー
追跡1
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クリーガー率いる傭兵部隊は翌朝、コバルスキーが襲撃を受けたという場所に向けて移動を開始した。
移動中、謎の怪物の襲撃に注意しながら、常に斥候を放ち周囲を警戒していた。
五日かけて薄っすらと雪が積もり足の悪い荒野を進み、幸運なことに途中、何事もなく、その日の午前中に目的の地点に到着した。
そこには、第五旅団からなる部隊が襲撃を受けた跡が生々しく残っていた。そして、嫌な臭いが漂っている。辺りは雪が解け、数十もの遺体や彼らの遺品、軍のテントや装備品などが散乱していた。いずれも黒く焼け焦げている。
遺体はかなりの高熱で焼かれたと思われ、通常の火で焼かれたような焼死体とは異なるのは明らかであった。遺体がそのような状態であったため、その身元は判別がつかず、結局、コバルスキーの遺体もわからずじまいであった。
このような高熱の火を使えるということは、怪物は魔術を使うのであろうか?
火を吐く地竜が居るのは何かの書物で見たことがあるが、それが高熱な火であるというのは記載はなかったと記憶している。さらには姿が見えない。そのことから、やはり怪物は地竜ではないようだ。
全ての遺体の確認が終わると、クリーガーは部下たちに遺体を埋葬するように指示を出した。数時間かけて、すべての遺体の埋葬が終わると、全員で他に怪物の痕跡がないか注意深く地面を捜索する。
そして、謎の足跡を見つけるのにそれほど時間はかからなかった。それは襲撃の跡から東の方角、ボールック山脈に向けて続いていた。事前に聞いていた通り、かなり大きな足跡で怪物のその重みで土が深くめり込んでいた。
それにしても他の部隊はどうしているのだろうか? この地点からクリーガーの部隊より近い範囲を捜索していた部隊もいるはずだ。
もしかすると、それらの部隊も襲撃を受けて全滅してしまったのだろうか?
傭兵部隊で構成された、もう一つの捜索隊のことがクリーガーの頭をよぎった。傭兵部隊の副隊長のマイヤーや弟子の二人、クラクスとタウゼントシュタインはたちは無事なのだろうか? 彼らのほうが、この地点から近いところを捜索していた。もし、同じタイミングでここの襲撃の事を知ったとすると、とっくにこの地点に到着しているはずだ。
クリーガーは念のため、この付近を偵察させるため数名を斥候として放った。また、散乱している装備品などで、まだ使えそうなものがあれば利用させてもらうことにした。食料が焼かれずに残っていたものが若干あった。これで、数日分の足しになるだろう。残りの食料の計算をすると、クリーガーの部隊はまだ十日間は補給なしに活動が可能だ。よって、戻ってくることを考えると、五日間は怪物を追うことが可能だ。
数時間後、斥候が戻ってきた。他の部隊や怪物の痕跡はなかったとの報告だった。クリーガーは報告を聞いた後、怪物の足跡を追って、北東方向へ進軍することを決定して全員に伝えた。
そして、クリーガーたちにこの襲撃について伝えに来て、その後同行していた第五旅団のバランニコフも、引き続きクリーガーたちとの同行を希望したのでそれを許可した。彼は、怪物に襲撃され上官であるコバルスキーを殺害されたことに対し、復讐をしたいと怒りを露わにしていた。
時刻はすでに夕方となっており、クリーガーは夜間の進軍は危険だと考え、この場で一夜を過ごすことにした。勿論、警戒のため順番で見張りは置いておく。
部隊が一つ全滅した現場を目の当たりにして、部隊の全員がいつもより緊張感を持っているようだった。いつもは軽口をたたいてるホフマンも口数が少なくなっていた。
クリーガー自身も今回の任務の危険性を身に染みて感じていた。
移動中、謎の怪物の襲撃に注意しながら、常に斥候を放ち周囲を警戒していた。
五日かけて薄っすらと雪が積もり足の悪い荒野を進み、幸運なことに途中、何事もなく、その日の午前中に目的の地点に到着した。
そこには、第五旅団からなる部隊が襲撃を受けた跡が生々しく残っていた。そして、嫌な臭いが漂っている。辺りは雪が解け、数十もの遺体や彼らの遺品、軍のテントや装備品などが散乱していた。いずれも黒く焼け焦げている。
遺体はかなりの高熱で焼かれたと思われ、通常の火で焼かれたような焼死体とは異なるのは明らかであった。遺体がそのような状態であったため、その身元は判別がつかず、結局、コバルスキーの遺体もわからずじまいであった。
このような高熱の火を使えるということは、怪物は魔術を使うのであろうか?
火を吐く地竜が居るのは何かの書物で見たことがあるが、それが高熱な火であるというのは記載はなかったと記憶している。さらには姿が見えない。そのことから、やはり怪物は地竜ではないようだ。
全ての遺体の確認が終わると、クリーガーは部下たちに遺体を埋葬するように指示を出した。数時間かけて、すべての遺体の埋葬が終わると、全員で他に怪物の痕跡がないか注意深く地面を捜索する。
そして、謎の足跡を見つけるのにそれほど時間はかからなかった。それは襲撃の跡から東の方角、ボールック山脈に向けて続いていた。事前に聞いていた通り、かなり大きな足跡で怪物のその重みで土が深くめり込んでいた。
それにしても他の部隊はどうしているのだろうか? この地点からクリーガーの部隊より近い範囲を捜索していた部隊もいるはずだ。
もしかすると、それらの部隊も襲撃を受けて全滅してしまったのだろうか?
傭兵部隊で構成された、もう一つの捜索隊のことがクリーガーの頭をよぎった。傭兵部隊の副隊長のマイヤーや弟子の二人、クラクスとタウゼントシュタインはたちは無事なのだろうか? 彼らのほうが、この地点から近いところを捜索していた。もし、同じタイミングでここの襲撃の事を知ったとすると、とっくにこの地点に到着しているはずだ。
クリーガーは念のため、この付近を偵察させるため数名を斥候として放った。また、散乱している装備品などで、まだ使えそうなものがあれば利用させてもらうことにした。食料が焼かれずに残っていたものが若干あった。これで、数日分の足しになるだろう。残りの食料の計算をすると、クリーガーの部隊はまだ十日間は補給なしに活動が可能だ。よって、戻ってくることを考えると、五日間は怪物を追うことが可能だ。
数時間後、斥候が戻ってきた。他の部隊や怪物の痕跡はなかったとの報告だった。クリーガーは報告を聞いた後、怪物の足跡を追って、北東方向へ進軍することを決定して全員に伝えた。
そして、クリーガーたちにこの襲撃について伝えに来て、その後同行していた第五旅団のバランニコフも、引き続きクリーガーたちとの同行を希望したのでそれを許可した。彼は、怪物に襲撃され上官であるコバルスキーを殺害されたことに対し、復讐をしたいと怒りを露わにしていた。
時刻はすでに夕方となっており、クリーガーは夜間の進軍は危険だと考え、この場で一夜を過ごすことにした。勿論、警戒のため順番で見張りは置いておく。
部隊が一つ全滅した現場を目の当たりにして、部隊の全員がいつもより緊張感を持っているようだった。いつもは軽口をたたいてるホフマンも口数が少なくなっていた。
クリーガー自身も今回の任務の危険性を身に染みて感じていた。
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