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序章
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晩秋、十一月上旬のズーデハーフェンシュタット。
私と弟子の二人、オットー・クラクスとソフィア・タウゼントシュタインは、街から少し離れた浜辺で、剣の修練を行なっている。
傭兵部隊では隊員全体の訓練があるが、弟子のみに個人的な助言は立場上することができので、我々は必要があれば休暇を合わせて、集中的に修練をやっている。
少し前まで、修練は城内の適当な広場で行っていた。しかし、私の弟子二人を合わせてもたったの三人という状態であったので、他の者に珍しい物を見るような好奇の目で見られるのが、少々うんざりしていた。そういうこともあって、城外で修練の場を探していた。そして、この浜辺に行きついたというわけだ。ここは他の訪問者も、ほとんどいないので邪魔が入らない。
本来であれば、我々のような旧共和国の出身者は、街の外に出る事は禁止されている。我々のような帝国軍に雇われた傭兵部隊であっても、本来なら、その例外ではなかった。しかし、我々は特別に許可を得ることができた。
許可を出してくれた、帝国駐留軍の司令官ボリス・ルツコイには、我々、傭兵部隊のこれまでの働きを認めてもらっているのであろう。
ブランブルン共和国が滅亡しブラミア帝国の支配下となって、共和国の首都であったここズーデハーフェンシュタットにも帝国軍が駐留している。その駐留軍の司令官の命により傭兵部隊が設立されてからもう半年以上が経った。
我々、傭兵部隊の主な任務は、旧共和国を支持する過激派の取り締まりや暴動の鎮圧と予防。そして、街の周辺に出没する盗賊の征伐のほかに、警察からの依頼で連続殺人の捜査など変わった命令もあった。今のところ、そう言った任務も卒なくこなすことができていた。
傭兵部隊の隊員はほとんどが共和国の出身者であるが、旧共和国派の暴動の鎮圧に帝国の手を貸しているという事で、街ではさほど良い印象を持たれていない。「帝国の犬」と陰口をいわれることもある。
しかし、私は自身の考えがあって傭兵部隊に所属している。なので、陰口はさほど気にしていない。
我々三人はそれぞれ相手を変えながら剣を交えている。
半年前、私の弟子になるまでは、オットーとソフィアも剣をほとんど触ったことがなかったが、今では、剣さばきも大分板について来た。
そして、魔術も火炎魔術、水操魔術を使えるようになっている。
実戦にはもう少し時間がかかりそうだが、危険度の高い適当な任務にも出動命令を出したいと思っている。
早朝から修練を続けて、数時間。日も少し高くなってきた。
「休憩しよう」
私は、オットーとソフィアに声を掛けた。
「はい」
二人は同時に返事をした。
我々は、浜辺のすぐ近く、日陰が出来ている岩場に移動する。
我々は適当な日陰になっている岩に座り、すこし世間話をしていた。
しばらくして、ソフィアが「花を摘みに行く」と、更に岩場の先を進んだ我々から見えない所に向かっていった。
しばらくして、ソフィアが慌てた様子で戻ってきた。
「師、向こうに船が漂着しています」
「船?」
私は驚いて立ち上がった。
「どこだ?」
「こっちです」
私とオットーは、ソフィアの後について岩場を進んだ。
私と弟子の二人、オットー・クラクスとソフィア・タウゼントシュタインは、街から少し離れた浜辺で、剣の修練を行なっている。
傭兵部隊では隊員全体の訓練があるが、弟子のみに個人的な助言は立場上することができので、我々は必要があれば休暇を合わせて、集中的に修練をやっている。
少し前まで、修練は城内の適当な広場で行っていた。しかし、私の弟子二人を合わせてもたったの三人という状態であったので、他の者に珍しい物を見るような好奇の目で見られるのが、少々うんざりしていた。そういうこともあって、城外で修練の場を探していた。そして、この浜辺に行きついたというわけだ。ここは他の訪問者も、ほとんどいないので邪魔が入らない。
本来であれば、我々のような旧共和国の出身者は、街の外に出る事は禁止されている。我々のような帝国軍に雇われた傭兵部隊であっても、本来なら、その例外ではなかった。しかし、我々は特別に許可を得ることができた。
許可を出してくれた、帝国駐留軍の司令官ボリス・ルツコイには、我々、傭兵部隊のこれまでの働きを認めてもらっているのであろう。
ブランブルン共和国が滅亡しブラミア帝国の支配下となって、共和国の首都であったここズーデハーフェンシュタットにも帝国軍が駐留している。その駐留軍の司令官の命により傭兵部隊が設立されてからもう半年以上が経った。
我々、傭兵部隊の主な任務は、旧共和国を支持する過激派の取り締まりや暴動の鎮圧と予防。そして、街の周辺に出没する盗賊の征伐のほかに、警察からの依頼で連続殺人の捜査など変わった命令もあった。今のところ、そう言った任務も卒なくこなすことができていた。
傭兵部隊の隊員はほとんどが共和国の出身者であるが、旧共和国派の暴動の鎮圧に帝国の手を貸しているという事で、街ではさほど良い印象を持たれていない。「帝国の犬」と陰口をいわれることもある。
しかし、私は自身の考えがあって傭兵部隊に所属している。なので、陰口はさほど気にしていない。
我々三人はそれぞれ相手を変えながら剣を交えている。
半年前、私の弟子になるまでは、オットーとソフィアも剣をほとんど触ったことがなかったが、今では、剣さばきも大分板について来た。
そして、魔術も火炎魔術、水操魔術を使えるようになっている。
実戦にはもう少し時間がかかりそうだが、危険度の高い適当な任務にも出動命令を出したいと思っている。
早朝から修練を続けて、数時間。日も少し高くなってきた。
「休憩しよう」
私は、オットーとソフィアに声を掛けた。
「はい」
二人は同時に返事をした。
我々は、浜辺のすぐ近く、日陰が出来ている岩場に移動する。
我々は適当な日陰になっている岩に座り、すこし世間話をしていた。
しばらくして、ソフィアが「花を摘みに行く」と、更に岩場の先を進んだ我々から見えない所に向かっていった。
しばらくして、ソフィアが慌てた様子で戻ってきた。
「師、向こうに船が漂着しています」
「船?」
私は驚いて立ち上がった。
「どこだ?」
「こっちです」
私とオットーは、ソフィアの後について岩場を進んだ。
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