7 / 14
第6話 坑道
しおりを挟む
ソフィアは坑道をどんどん奥へと進む。
コークマッツから受け取った地図には、網の目のような坑道全体が細かく記載されているが、出口までは比較的簡単なようだった。地図によると、かなり進んだ後、左に進み、そしてさらに進む。その後、再び左へ進むと最初の救難活動をやっている坑道へと出ることができるようだ。
ソフィアは松明の灯りを頼りに、足元を注意しながら先へと進む。
奥へ進むにつれて、坑道内の気温が下がって来る。かなり肌寒くなってきた。
しばらく進むと、ソフィアは地図にない横穴を見つけ困惑した。
よく見ると、その穴は先日コークマッツから聞いた通り、大きさが少し小さく、掘り進め方も荒いものだった。
ソフィアはその横穴を覗き込むように頭を下げた。そして、松明を持った手も下げ、横穴の奥が良く見える様にした。
目に入ったのは、中は少し先で曲がっている様子だった。さらに奥を見通すには、先に進まないといけないが、ここで時間をつぶしている場合ではないと考え、地図にない穴は無視することにした。
先を進むと、途中、他にも横穴だけでなく地面や天井に縦穴を見つけることができた。この穴は一体なぜ出来たのだろうか?
さらに坑道を奥へと急ぐ、すると地面に剣が落ちているのを見つけた。
これは王国軍の兵士の物のようだ。ソフィアは屈んで剣を手にした。剣先には茶色い液体がべっとりと付着している。これは血ではないようだが、いったい何だろう?
この剣は行方不明となっている兵士のものであろうか?
ソフィアは拾い上げた剣を地面に置いて、他に落ちているものが無いかどうか地面を注意深く見回した。すると地面にはどうやら大量の血と思われるものが、引きずられた様に奥へ伸びているのに気が付いた。
ソフィアは気になって、その血の跡を追うように奥へと進んでいった。途中でまた別の小さな横穴があり、そちらのほうに血の跡が続いている。
おそらく、この血は先ほどコークマッツ達と奥へ入っていった兵士のものであろう。怪物と戦いになったと言っていた。
状況から見て、怪物と戦った兵士が連れさられてしまったようだった。
ソフィアは急に恐怖を感じ、自分の剣を抜いた。そして、血の跡は無視して、本来の進むべき坑道を進む。早く脱出しなくては。
ソフィアは師であるクリーガーに剣を習い始めて半年と少し、まだまだ剣の腕前はいまいちで自信がなかった。しかし、魔術を師や傭兵部隊の魔術師マイヤーから習っていたので、火炎魔術と水躁魔術が使える。
そう言うこともあり、ソフィアは、いざという時は、魔術で切り抜けることにこころに決めた。
ソフィアは坑道を奥へと進む。
手にしていた剣を地面に突き刺し、ポケットに入っていた地図を取り出し、それを確認する。そろそろ左へ曲がることができる別の坑道とつながっているはずだ。ここまでの途中でも怪物が掘ったと思われる横穴が度々あり、これが地図にある別の坑道かどうか少々、迷うことがあった。
横穴を見つけると、その穴の大きさが小さく掘りの跡が荒ければ、ソフィアが通るべき坑道でないと認識して、先をまっすぐに進む。
しばらく進むと、坑道の奥の方から、聞いたことの無い、唸り声のようなものが聞こえた。
ソフィアは一旦進むのをやめ、注意深く耳を澄ませて、その唸り声のようなものを聞く。坑道の壁に共鳴して声の主の正確な位置はわからないが、近くではないということはわかる。
ソフィアはハッとして、索敵魔術を使えば、声の主がどれぐらいの距離に居るか判別できることを思い出した。
ソフィアは意識を集中させ、索敵魔術を使う。しかし、近くには何も感じることができなかった。
さらに集中力を高め、注意深く索敵を行う。すると、坑道をしばらく進んだ辺りに何者かが四つか五つ居ることが確認できる。しかし、それが人間か怪物の識別は出来ない。
兵士の生存者がいるのだろうか?
もしくは、感じ取ったものが全て怪物であれば、こちらは一人だ。それらに遭遇したとすれば、戦闘に不慣れなソフィアに勝ち目はないだろう。
ソフィアは奥へ進むのをやめ、その場でしばらくどうするか考えた。しかし、これまでの道を戻っても、落盤した地点に戻るだけだ、外へ脱出することは出来ない。
ここは、脱出するには進むしか選択肢がないと、ソフィアは腹をくくって再び、ゆっくりと慎重に前に進みだした。
コークマッツから受け取った地図には、網の目のような坑道全体が細かく記載されているが、出口までは比較的簡単なようだった。地図によると、かなり進んだ後、左に進み、そしてさらに進む。その後、再び左へ進むと最初の救難活動をやっている坑道へと出ることができるようだ。
ソフィアは松明の灯りを頼りに、足元を注意しながら先へと進む。
奥へ進むにつれて、坑道内の気温が下がって来る。かなり肌寒くなってきた。
しばらく進むと、ソフィアは地図にない横穴を見つけ困惑した。
よく見ると、その穴は先日コークマッツから聞いた通り、大きさが少し小さく、掘り進め方も荒いものだった。
ソフィアはその横穴を覗き込むように頭を下げた。そして、松明を持った手も下げ、横穴の奥が良く見える様にした。
目に入ったのは、中は少し先で曲がっている様子だった。さらに奥を見通すには、先に進まないといけないが、ここで時間をつぶしている場合ではないと考え、地図にない穴は無視することにした。
先を進むと、途中、他にも横穴だけでなく地面や天井に縦穴を見つけることができた。この穴は一体なぜ出来たのだろうか?
さらに坑道を奥へと急ぐ、すると地面に剣が落ちているのを見つけた。
これは王国軍の兵士の物のようだ。ソフィアは屈んで剣を手にした。剣先には茶色い液体がべっとりと付着している。これは血ではないようだが、いったい何だろう?
この剣は行方不明となっている兵士のものであろうか?
ソフィアは拾い上げた剣を地面に置いて、他に落ちているものが無いかどうか地面を注意深く見回した。すると地面にはどうやら大量の血と思われるものが、引きずられた様に奥へ伸びているのに気が付いた。
ソフィアは気になって、その血の跡を追うように奥へと進んでいった。途中でまた別の小さな横穴があり、そちらのほうに血の跡が続いている。
おそらく、この血は先ほどコークマッツ達と奥へ入っていった兵士のものであろう。怪物と戦いになったと言っていた。
状況から見て、怪物と戦った兵士が連れさられてしまったようだった。
ソフィアは急に恐怖を感じ、自分の剣を抜いた。そして、血の跡は無視して、本来の進むべき坑道を進む。早く脱出しなくては。
ソフィアは師であるクリーガーに剣を習い始めて半年と少し、まだまだ剣の腕前はいまいちで自信がなかった。しかし、魔術を師や傭兵部隊の魔術師マイヤーから習っていたので、火炎魔術と水躁魔術が使える。
そう言うこともあり、ソフィアは、いざという時は、魔術で切り抜けることにこころに決めた。
ソフィアは坑道を奥へと進む。
手にしていた剣を地面に突き刺し、ポケットに入っていた地図を取り出し、それを確認する。そろそろ左へ曲がることができる別の坑道とつながっているはずだ。ここまでの途中でも怪物が掘ったと思われる横穴が度々あり、これが地図にある別の坑道かどうか少々、迷うことがあった。
横穴を見つけると、その穴の大きさが小さく掘りの跡が荒ければ、ソフィアが通るべき坑道でないと認識して、先をまっすぐに進む。
しばらく進むと、坑道の奥の方から、聞いたことの無い、唸り声のようなものが聞こえた。
ソフィアは一旦進むのをやめ、注意深く耳を澄ませて、その唸り声のようなものを聞く。坑道の壁に共鳴して声の主の正確な位置はわからないが、近くではないということはわかる。
ソフィアはハッとして、索敵魔術を使えば、声の主がどれぐらいの距離に居るか判別できることを思い出した。
ソフィアは意識を集中させ、索敵魔術を使う。しかし、近くには何も感じることができなかった。
さらに集中力を高め、注意深く索敵を行う。すると、坑道をしばらく進んだ辺りに何者かが四つか五つ居ることが確認できる。しかし、それが人間か怪物の識別は出来ない。
兵士の生存者がいるのだろうか?
もしくは、感じ取ったものが全て怪物であれば、こちらは一人だ。それらに遭遇したとすれば、戦闘に不慣れなソフィアに勝ち目はないだろう。
ソフィアは奥へ進むのをやめ、その場でしばらくどうするか考えた。しかし、これまでの道を戻っても、落盤した地点に戻るだけだ、外へ脱出することは出来ない。
ここは、脱出するには進むしか選択肢がないと、ソフィアは腹をくくって再び、ゆっくりと慎重に前に進みだした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる