59 / 75
共和国派の内紛
内紛
しおりを挟む
大陸歴1658年4月22日・モルデン
プロブストは馬を急がせ、戦闘があったという北西の門に向かった。
そこには多くの兵士が集まっていたが、城門は閉じられたままだった。
プロブストは近くにいる兵士に声を掛けた。
「戦闘があったと聞いたが?」
「街道で敵と衝突したそうです」
「今、状況は?」
「敵が我々の部隊を撃退して向かっているとのことです」
「撃退された部隊の者達は?」
「ほとんどがここに戻ってきました」
逃げてきた部隊の者を街の中に入れて門を閉めたのか。
「それで、指揮を執っていた遊撃部隊の者はどうした?」
「姿が見えません」
「なんだと」
プロブストは辺りを見回す。遊撃部隊の者であれは制服ですぐに見つけることが出来すだろうが、見つけることができなかった。まさか、やられてしまったのか?
そうしていると街壁の上から兵士の一人が大声で叫ぶ声が聞こえた。
「敵だ!」
プロブストは急いで馬を降り、街壁の上へ階段を駆け上がる。
正面を見ると街道の先、遠くに街に向かってくる部隊が見えた。
見たところ帝国軍の制服を着ている者は居ないようだ。その数は見たところ千人程度。
あれはベルグブリックに居たという共和国派ではないのか?
プロブストは目を凝らしてみるが、正体を判別することが現状できないので、当面は警戒をすることにした。
数少ない弓兵と、遊撃部隊の魔術師数名を街壁の上に立たせ、近付けば少しでもけん制できるように命令をする。
それを察知してか敵の部隊は近づくのを止め、遠くで待機をしている。
膠着状態のまま数時間経っただろうか。街の西側の城門が開けられ、進撃を開始したと情報が入った。しばらくして、正面で待機していた部隊の側面からモルデンの共和国派が攻撃を開始するのが見えた。
北西の門で待機をしていたプロブストは怒声を上げた。
「出撃命令を出したのは誰だ?」
プロブストは再び街壁に上がり正面遠くを見つめた。
戦闘が起こっているあたりに土埃が激しく立ち込めていた。時折、魔術によるものであろう炎と稲妻が見ることが出来た。
「どうしますか?」
兵士の一人がプロブストに声を掛けた。
「待機だ」
プロブストは諦めたように静かに言った。
一時間程度で戦闘に決着が付いた。
モルデンから出撃した共和国派の勝利に終わったようだ。
プロブスト城門を開けさせ、少数の手勢を率いて戦闘のあったところに向かった。モルデンからの共和国派は敵の数倍の数で出撃したようだ。
プロブストは戦場を見回した。
モルデン共和国派を指揮していた者を捜す。
遊撃部隊のメンバーが居たので声を掛けた。
「おい! 誰が出撃命令を出した?」
声を掛けられた隊員は驚いて答える。
「クーラさんです。コフさんから直接命令を受けたと言っておりましたので、従うしかありませんでした」
「何を言う、指揮官は私だ!」
プロブストは怒りに任せて叫んだ。しかし、それ以上言うのを止めた。戦闘にも勝利し、もう済んだことだ、どうすることもできない。しかし、今後の事もあるのでコフには一言言っておいた方がいいだろう。
そして、プロブストは改めて戦場を見回した。斬られて横たわっている数多くの遺体を見下ろした。
遺体は明らかに帝国軍の兵士ではないようだっだ。そうなると、ベルグブリックにいた共和国派の可能性が高い。まさか我々は同士討ちをしたということか。
プロブストは慌てて城にいるコフのもとへ馬を急がせた。
城内に入り、コフがいると思われる作戦室に向かう。
プロブストは作戦室の扉を勢い良く開けた。
「どういうことですか?」
作戦室の中に居たのはコフ、はじめ数名が居た。プロブストがいきなり飛び込んできたので、だれもが驚いたようだった。
コフは立ち上がった。
「なんのことだ?」
「ここに向かっている部隊に攻撃命令を出したことです。倒した相手は仲間です」
「命令を出したのはクーラだ。私は知らん」
「彼はどこですか?」
「すぐに探させる」
プロブストはその言葉を聞いて、いら立ちを何とか抑えなが、作戦室を後にした。
そして、戦場に戻り、遺体の埋葬などの指示を出したあと、本来の持ち場である街壁の北東の門に戻った。
街壁の上から帝国軍のルツコイの陣を確認した。幸い、帝国軍には動きは無いようだ。こちらの混乱ぶりが、帝国軍に伝わっていなければよいが。
プロブストは馬を急がせ、戦闘があったという北西の門に向かった。
そこには多くの兵士が集まっていたが、城門は閉じられたままだった。
プロブストは近くにいる兵士に声を掛けた。
「戦闘があったと聞いたが?」
「街道で敵と衝突したそうです」
「今、状況は?」
「敵が我々の部隊を撃退して向かっているとのことです」
「撃退された部隊の者達は?」
「ほとんどがここに戻ってきました」
逃げてきた部隊の者を街の中に入れて門を閉めたのか。
「それで、指揮を執っていた遊撃部隊の者はどうした?」
「姿が見えません」
「なんだと」
プロブストは辺りを見回す。遊撃部隊の者であれは制服ですぐに見つけることが出来すだろうが、見つけることができなかった。まさか、やられてしまったのか?
そうしていると街壁の上から兵士の一人が大声で叫ぶ声が聞こえた。
「敵だ!」
プロブストは急いで馬を降り、街壁の上へ階段を駆け上がる。
正面を見ると街道の先、遠くに街に向かってくる部隊が見えた。
見たところ帝国軍の制服を着ている者は居ないようだ。その数は見たところ千人程度。
あれはベルグブリックに居たという共和国派ではないのか?
プロブストは目を凝らしてみるが、正体を判別することが現状できないので、当面は警戒をすることにした。
数少ない弓兵と、遊撃部隊の魔術師数名を街壁の上に立たせ、近付けば少しでもけん制できるように命令をする。
それを察知してか敵の部隊は近づくのを止め、遠くで待機をしている。
膠着状態のまま数時間経っただろうか。街の西側の城門が開けられ、進撃を開始したと情報が入った。しばらくして、正面で待機していた部隊の側面からモルデンの共和国派が攻撃を開始するのが見えた。
北西の門で待機をしていたプロブストは怒声を上げた。
「出撃命令を出したのは誰だ?」
プロブストは再び街壁に上がり正面遠くを見つめた。
戦闘が起こっているあたりに土埃が激しく立ち込めていた。時折、魔術によるものであろう炎と稲妻が見ることが出来た。
「どうしますか?」
兵士の一人がプロブストに声を掛けた。
「待機だ」
プロブストは諦めたように静かに言った。
一時間程度で戦闘に決着が付いた。
モルデンから出撃した共和国派の勝利に終わったようだ。
プロブスト城門を開けさせ、少数の手勢を率いて戦闘のあったところに向かった。モルデンからの共和国派は敵の数倍の数で出撃したようだ。
プロブストは戦場を見回した。
モルデン共和国派を指揮していた者を捜す。
遊撃部隊のメンバーが居たので声を掛けた。
「おい! 誰が出撃命令を出した?」
声を掛けられた隊員は驚いて答える。
「クーラさんです。コフさんから直接命令を受けたと言っておりましたので、従うしかありませんでした」
「何を言う、指揮官は私だ!」
プロブストは怒りに任せて叫んだ。しかし、それ以上言うのを止めた。戦闘にも勝利し、もう済んだことだ、どうすることもできない。しかし、今後の事もあるのでコフには一言言っておいた方がいいだろう。
そして、プロブストは改めて戦場を見回した。斬られて横たわっている数多くの遺体を見下ろした。
遺体は明らかに帝国軍の兵士ではないようだっだ。そうなると、ベルグブリックにいた共和国派の可能性が高い。まさか我々は同士討ちをしたということか。
プロブストは慌てて城にいるコフのもとへ馬を急がせた。
城内に入り、コフがいると思われる作戦室に向かう。
プロブストは作戦室の扉を勢い良く開けた。
「どういうことですか?」
作戦室の中に居たのはコフ、はじめ数名が居た。プロブストがいきなり飛び込んできたので、だれもが驚いたようだった。
コフは立ち上がった。
「なんのことだ?」
「ここに向かっている部隊に攻撃命令を出したことです。倒した相手は仲間です」
「命令を出したのはクーラだ。私は知らん」
「彼はどこですか?」
「すぐに探させる」
プロブストはその言葉を聞いて、いら立ちを何とか抑えなが、作戦室を後にした。
そして、戦場に戻り、遺体の埋葬などの指示を出したあと、本来の持ち場である街壁の北東の門に戻った。
街壁の上から帝国軍のルツコイの陣を確認した。幸い、帝国軍には動きは無いようだ。こちらの混乱ぶりが、帝国軍に伝わっていなければよいが。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる